Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/fe5e9063b0c94090808ba6281ae4b5d88ad7ae54
日本語とネパール語の近似性がTwitter上で大きな注目を集めている。 きっかけになったのはネパール語学習botアカウント「ネパール語たん」(@nepali_uni)が投稿した日本語とネパール語の語順の比較図。 【写真】ネパール東部バクタプルのトウマディー広場 どこか日本と似ているような 「私は/ホテル/の/向かい/にある/お店/で/見た/スーツを/着て/み/たい/です/。」 「म/होटल/को/अगाडि/भएको/पसल/मा/हेरेको/सुट/लगाएर/हेर्न/चाहान्/छु/।」(※「/」は文節の区切り) 繁雑な文章にも関わらず、なんとこの2つの文章では語順がまったく同じ。日本語を英語や中国語に訳す場合、いろいろと語順を入れ替えなければ成立しないことにくらべると驚くべき近似性だ。 ネパール語たんの投稿に対し、Twitterユーザー達からは 「異国の言葉でここまで同じ文法になることがあるなんて…不思議ねぇ」 「ここまで語順が一致するとは知りませんでした! ダンニャバード」 「司馬遼太郎先生が 『蒙古語と日本語は語順や文法が概ね共通(大意)』 と複数個所で記述しており、どうやら日本語の出処として中央アジア高原周辺に淵源を求めるのは大筋で間違ってはいないと思われます。」 など数々の驚きの声が寄せられている。 ネパール語たんの運営者にお話を聞いた。 「14歳でネパールにあこがれて以来、交流活動や文化のPR活動をしています。ネパール語話者の少なさから情報発信の必要性を感じ、2020年にこのアカウントを始めました。日本語とネパール語の語順は今回紹介した文章のようにほとんど同じになることが多々あります。みなさん、そういった部分に興味を持っていただけたのか、大きな反響があって嬉しいです。アカウントでは他にも『朝起きたら眉毛がなくなっていた』や『汚い水を飲んだから病気になった』など『いつ使うねん!?』みたいなネパール語も紹介しているので、この機会にぜひ多くの方にご覧いただきたいです」 ◇ ◇ ネパール語とはどのような成り立ちの言語なのだろうか。運営者の恩師で、ネパール語通訳・翻訳者、東京外国語大学OA講師の野津治仁さんにもお話を聞いた。 「ネパール語は言語の発展過程から言うと意外に思われるかもしれませんが、英語などと同じ印欧語族に属します。日本語と比較して、文法的には必ずしも似ているとは言えません。世界の言語を文法や動詞の形に注目して分類した場合、日本語が『膠着語』であるのに対し、ネパール語は『屈折語』に分類されます。つまりネパール語は主語によって動詞が変化するという、日本語とは文法上大きな違いがあります。きっちりとマスターしようとすると動詞の活用など文法を覚えることに加えて、独特のデバナガリ文字と日本語にない発音や、文化の違いによる言い回しの違いなどを身につける必要があります。 とはいえ基本語順は同じなので、沢山単語を覚えてそれを最低限の文法知識で順番につなげれば言いたいことを伝えることができるでしょう。日本人にとっては間口の広いとっつきやすい言語だと言えます。 日本とネパールは文化・宗教など背景は異なりますが、どこか懐かしい気持ちを抱かれる日本人が多いのではないでしょうか。近年、日本在住のネパール人の数も10万人近くにまで増え、ますますネパールを身近に感じる機会が増えています。今回この投稿に対してこれほどの反響があったことは、長年ネパールとネパール語に携わっている者として驚くとともにたいへん嬉しく思っています。そして改めて広く日本の人々にネパールとネパール語を正しく伝えていかなければと、思いを新たにしたところです。 ◇ ◇ 野津さんの言う通り、ネパールは食文化等を通し、日本人にとって近しい国の一つ。また、首都カトマンズの宗教建築や世界遺産である古都バクタプルの街並み、世界の屋根と言われるヒマラヤ山脈などは観光地として大きな注目を集めており、ツアー旅行も多々企画されているようだ。飲食店や現地に行った際、言葉が通じれば吸収できる楽しさや知識は何倍にも大きくなると思う。質問大歓迎ということなので、ご興味のある方はぜひまずはネパール語たんでネパール語の洗礼を受けていただきたい。 ◆ネパール語たん(uni)プロフィール 14歳からネパールに憧れネパールとの交流活動、文化PR活動に携わるように。現在は名古屋のWeb制作会社「株式会社HomePageShop」でMEO対策の専門スタッフとして勤務するかたわら、Twitterアカウント「ネパール語たん」でネパールの言語や文化、トリビアについて情報発信している。出世して自由にネパールと行き来できるようになるのが夢。 ◇ ◇ ◆野津治仁さんプロフィール ネパール語通訳・翻訳者 ネパール語講師 他にJICA語学諮問委員、JICA研修監理員等 1960年奈良県生まれ ネパール国立トリブバン大学修士課程ネパール語・文学専攻 1983年の初訪ネ以来ネパール滞在通算約8年。現在までに多数の翻訳、執筆、首相・皇太子をはじめとする通訳、現地でのテレビ・映画出演をこなす。主な著書・訳書に「旅の指さし会話帳25ネパール」、「CDエクスプレス ネパール語」、「アジア語楽紀行 ネパール」、「ナソ 忘れ形見」等 (よろず~ニュース特約・中将タカノリ)
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