Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/e48be1dbfac08ec1ad0dabfbebdf00a38b894233
第二次世界大戦中に活躍した、デイムラーの偵察車「ディンゴ」の実績を買われ、1948年10月にデイムラーはイギリス軍からの偵察用装輪装甲車の開発を受託した。1950年にはプロトタイプが完成し、検証や修正が加えられた後、量産が始まったのは1952年からのことだった。 【画像】イギリスがかつて誇った偵察車両がオークションに!(写真30点) デイムラー・フェレットは1971年までに合計4400台強が生産された。イギリスでは陸軍や空軍がフェレットを用いたほか、イギリス連邦加盟国で広く使用された。インド、ブルキナファソ、スーダン・ザンビア、インドネシア(警察)、ミャンマー、ネパール、パキスタン、ヨルダンなどでは改良を加えたうえで現役として運用しているそうだ。 フェレットは、実質旧型モデルにあたるディンゴの基本設計を引き継いでいた。車両中央に配されたディファレンシャルが車輪のスリップによる駆動力の損失をなくす「H型ドライブトレイン」、車高の高さを抑えられる「パラレル・ドライブシャフト」などは、ディンゴ譲りだった。 搭載されたガソリンエンジンは排気量4.26リッター、水冷6気筒の「B60」と呼ばれるもの。推奨されているのはE10ガソリン(エタノール10%混合)に有鉛化添加剤を入れること。環境には…、お世辞にも優しくない。ちなみにこのエンジン、ロールス・ロイス製であった。ちょっとだけ“特別”感を覚えてしまうのは、ロールス・ロイスというブランドを贔屓目で見てしまうからだろうか。 最高出力は129bhp、最高速度58mph、航続距離190マイルと謳われていた。全長は3830mm、全幅1900mm、全高1880mmとなかなかコンパクトだが、分厚い鉄板のおかげで車両重量は4400kgもある。定員は2名だ。 そんな車がグッドウッド・リバイバルと併催される、「ボナムズ」のオークション(9月17日開催予定)に出品されている。出品者は1993年にフェレットをオークションにて購入したが、車両の履歴は一切把握していないそうだ。ただ、落札した時点でフェレットはオーバーホールされており、現在の塗装が施されていたという。 出品者は少なくとも年に一度は乗るようにしていたが、それでも大した距離は走っていないという。最近ではバッテリーがあがらないように、充電器に繋げていた。直近で遠出したのは11カ月前で、ダービーシャーまで運転(操縦?)したが、不具合は無かったという。 売却の理由は置き場所がなくなること、そして高齢ゆえにフェレットが対象となる3.5トン以上の運転免許証を更新できなかったから。落札予想価格は2万~2万5000ポンド、とやや控えめに聞こえる。 2014年にRMサザビーズでは、似たような条件のデイムラー・フェレットが5万4050ドルで落札されていた。グッドウッド・リバイバルはクラシックカーの祭典ではあるが、同時に第二次世界大戦の勝利を祝うものでもある。当時の戦闘機によるデモンストレーション・フライトを眺めていると、戦勝モードが漂ってくるものだ。 そんな雰囲気のなか、イギリスがかつて誇った偵察車両…、入札は意外と盛り上がるように思えてならない。 文:古賀貴司(自動車王国) Words: Takashi KOGA (carkingdom)
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