ネパールでは熊の見せ物は1973年に禁止されているが、一部の大道芸人の間では伝統的な職業となっており、南部の一部地域では存続していた。
 警察や動物愛護団体は、ナマケグマを見せ物にしていた者らを1年以上かけて追跡。19日、インドとの国境に近いラウタハト(Rautahat)に居場所を突き止めたという。
 踊る熊は、子どものときに捕らえられて売買され、後足で踊るように仕込まれる。熱した鉄棒で鼻に穴が開けられ、ひもや鎖で引っ張って自由に動かせるようにされる。
 動物愛護活動家らによると、救出された熊は19歳の雄のランギラ(Rangila)と17歳のメスのスリデビ(Sridevi)。2頭とも、縮こまる、歩き回る、足をなめるといったトラウマの兆候がみられるという。
 インド亜大陸で踊る熊の伝統は13世紀にさかのぼり、王族の支援を受けたイスラム教徒のカランダル(Qalandar)人に属する調教師が、富裕層の人や権力者の前で芸を披露していた。
 ナマケグマはインド、ネパール、スリランカ、ブータンに生息し、国際自然保護連合(IUCN)がまとめている絶滅危惧種の「レッドリスト」に含まれている。生息地の縮小や密猟の横行で数が減り続けており、現在は2万頭ほどと推定されている。(c)AFP