2018年5月31日木曜日

増加するネパール人労働者 企業のCSR活動がつくる日本の未来

Source:https://www.zaikei.co.jp/article/20180527/444216.html
2018年5月27日、GOOGLEニュースより

少子高齢化問題を抱えている日本社会において、人手不足を埋める働き手として、日本で働く外国人の存在感は日ごとに大きくなっている。中でも、ここ数年で急増しているのがネパールの人々だ。
【こちらも】過去最高となった日本の外国人労働者数、そのメリットとデメリットは?
 ネパールは中国とインドという大国に挟まれた南アジアの内陸国。日本人には「世界最高峰のエベレストがある国」といった方がピンとくるのではないだろうか。そんなネパールは、アジア諸国の中でも特に日本への関心が高い国として知られており、外交関係樹立以来60年以上にわたって、友好関係を築いてきた。2011年3月に発生した東日本大震災の際にはネパール政府から真っ先に支援物資が届いたり、逆に2015年4月にネパールで大地震が発生した折には、日本からも災害救助隊が派遣されるなど、同じアジアの友邦として互いに助け合い、絆を深めている。
 そんなネパールへのCSR活動を展開している日本企業も多い。
 ネパールでは森林の伐採が進み、それに伴う土砂崩れなどが深刻化していることを受け、ローヤルゼリーなどのミツバチ産品の製造・販売を行う山田養蜂場は1999年から、同国で植樹活動を続けている。20年目を迎える今年、これまで植樹した樹木が合計46万本以上に達するというから驚きだ。同社では当初、ネパールへ衣類を送付するなどの支援を行っていたが「ただ物やお金を送るだけの活動では、かえって彼らの自立を妨げることになるかもしれない。本当の意味での自立支援活動に繋げたい」との思いから、自然環境を未来の子どもたちへ受け渡すことのできる植樹活動を選んだ。同社では今年も7月に、同国の世界遺産である「チャングナラヤン寺院」にて植樹祭を実施し、2700本を植樹する予定をしており、4泊6日で一般の参加者も参加できるツアーも企画している。
 また、刻み昆布の「ふじっ子」や加工煮豆の「おまめさん」などで知られる食品メーカーのフジッコ<2908>は、ネパールで深刻な保健問題となっている、ヨード欠乏症の根絶に尽力する熱田親憙氏の活動を支援し、「昆布ミネラルカプセル」を無償提供している。
 京セラ<6971>は、未だ無電化地域の多いネパールの学校施設にむけて、教育環境改善の目的で太陽光発電システムと電化設備を寄贈している。教育水準を向上させることは、ネパールの将来的な発展の大きな一助となることだろう。
 教育だけでなく、ネパールは医療面でもたくさんの問題を抱えている。地域によっては診療所が無かったり、重病人や怪我人を医療設備の整った近隣の市に移送したくても、その手段がなかったりする。そんな現状を鑑みて、インテリアの通信販売会社・ベガコーポレーション<3542>は、設備の整った日本の救急車を寄贈するなどの支援を行っている。
 ネパールからの留学生や労働者はこれからも増え続けることが予測される中、企業のこうした地道な活動の一つ一つは、ネパールだけでなく、日本にとってもきっと良い影響をもたらすことだろう。労働力不足が叫ばれる日本社会を救う大きな力になるかもしれない。(編集担当:松田渡)

南アジアでは、女子生徒の3分の1が生理中に学校を欠席

Source:https://www.sankei.com/economy/news/180524/prl1805240381-n1.html
2018.5.24、GOOGLEニュースより

 特定非営利活動法人ウォーターエイドジャパン
-5月28日月経衛生デーに、世界の月経の課題について考える-
 国際NGOウォーターエイドとユニセフ(国連児童基金)の新しい報告書によって、南アジアの学校では、適切なトイレの設置や生徒への月経衛生教育に改善がみられることがわかりました。しかし現在も、およそ3分の2の女の子は初経を迎えるまで月経についての知識を得る機会がなく、3分の1以上の女の子が毎月生理になると学校を欠席しています。
 5月28日は、月経衛生デー
月経衛生デーは、話題にすることを避けられがちな月経について話をすること、そして安全な水やトイレを使えないことが月経中の女性に及ぼす影響や、そうした環境下に置かれている世界中の何十億人もの女性たちについて考えるための日です。
 報告書「南アジアの学校における月経衛生管理」
国際NGOウォーターエイドとユニセフ(国連児童基金)の新しい報告書によって、南アジアの学校では、適切なトイレの設置や生徒への月経衛生教育に改善がみられることがわかりました。南アジア(アフガニスタン、バングラデシュ、ブータン、インド、ネパール、パキスタン、スリランカ)では、学校の衛生設備は5年前の2013年に比べて21%増加しており、いくつかの国では学校のカリキュラムに月経に関する内容が組み込まれるようになりました。
 しかしこうした進歩にも関わらず、36~66%の女の子が初経(初潮)を迎えるまでの間に必要な情報を受けとれていないこともわかりました。
 スリランカ、バングラデシュ、パキスタンに住む女の子の3分の1以上が、水が使えない、プライバシーが保たれていない、生理用品を処理できる場所がないといったトイレ施設の不備や、スポーツをしてはいけない、学校に行ってはいけない、宗教的な場所を訪れてはいけないといった社会・文化的な制約によって、毎月生理中に学校を欠席しています。
 報告書の主要なポイントは以下です。
 バングラデシュでは、98%の中学校に適切な機能を備えたトイレがありますが、プライバシーの配慮や生徒の人数に応じた数を確保することに関しては課題が残っています。
南アジアでは、月経に関する情報が不足している、もしくは不明瞭です。スリランカでは66%の女の子が、初経を迎える前に月経に関する知識を持っていなかったと報告しています。
南アジアの女の子の3分の1以上は、生理中に学校を欠席しています。バングラデシュの31%の女子が出席状況に月経の影響を受けており、アフガニスタンとスリランカでは約37%が影響を受けています。
南アジアの多くの国は、世界保健機関(WHO)が定める「25人の生徒に対して女子トイレ1つ」という基準からは程遠い状況です。ネパールのシンドゥリ郡では、170人の女の子に対してトイレは1つでした。
インドだけで年間10億を超える生理ナプキンが捨てられており、効果的な廃棄物管理が必要であることは明確です。廃棄物処理の民間セクターとの連携や、生理用品を取り扱う企業の社会的責任を促していく必要があります。
 世界の月経に関するタブーを紹介する動画を作成
ウォーターエイドは5月28日の月経衛生デーに向けて、世界中の女性と男性を対象に、月経について話をし、様々な面で女性に制約を与えている月経に関する迷信やタブーを打ち破るよう呼びかけています。世界のタブーを紹介する動画「世界の「ルール」を破れるか」もご覧ください。
 ウォーターエイドとは
2030 年までにすべての人が安全な水とトイレを利用できる世界を目指し、貧困下で生活する人々の水と衛生状況改善に専門的に取り組む国際NGO です。1981 年にロンドンで設立され、2018 年現在、34 か国で水・衛生支援を実施しています。
http://www.wateraid.org/jp

南アジアの女子生徒、3分の1が生理中に学校欠席 トイレ不足など背景

Source:http://www.afpbb.com/articles/-/3175630?cx_position=3

2018年5月23日、GOOGLEニュースより

【5月23日 AFP】南アジア諸国で、生理期間中に学校を休む女子生徒が全体の3分の1超に上っていることが、22日に発表されたNGOなどの報告書で明らかになった。トイレ数の不足のほか、生理中の女性を不浄する慣習などを原因に挙げている。
 報告書は、水・衛生問題に取り組む国際NGOウォーターエイド(WaterAid)と国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)がまとめたもの。それによると、南アジア諸国では初潮を迎えるまで生理のことを知らない少女も多く、スリランカではその割合が3分の2に達していた。
 人口が17億人を超える南アジアでは、多くの学校が十分な数の女子トイレを備えていない。これに加え、適切な生理用品が手に入らない事情もあり、一部の女子生徒は生理期間中は家にいることを選んでいる。
 ウォーターエイドのティム・ウェインライト(Tim Wainwright)最高経営責任者(CEO)は「女の子には、教育を受けるという奪うことのできない権利がある。だが、彼女たちが生理用品や清潔な個人用トイレがないために授業を受けられないと感じているとき、その権利は失われてしまっている」と指摘。その上で各政府に対し、すべての学校で清潔な水ときちんとしたトイレ、それに良い衛生状態を確保する必要があると訴えた。
 報告書によれば、ネパール東部のある地区では女子生徒170人に対してトイレが1つしかなかった。25人に1つのトイレの設置を推奨している世界保健機関(WHO)の基準からほど遠く、他の南アジア諸国もこの国際基準に届いていない。(c)AFP

鹿県初、多言語24時間対応へ 大島地区消防、6月スタート

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180530-00010004-nankainn-l46
5/30(水) 、ヤフーニュースより

 鹿児島県の大島地区消防組合は6月1日から、119番通報を15カ国語で対応する。外国人の通報者と消防本部通信指令室、コールセンターの3者が同時通話できる仕組みを導入するもので、24時間365日対応できる体制としては県内初。外国人観光客増加を見据え、外国語の通報へ迅速で的確な対応を目指す。

 管内の奄美大島と喜界島6市町村からの通報に対応。日本語での会話が困難な外国人から119通報が入った場合、通信指令室からコールセンターに通訳を依頼。3者間で通話をしながら相互通訳を行う。さらに救急現場での活動では、救急車両などに配備した携帯電話を使用してコールセンターにつなぎ、スピーカー状態にして救急隊員、外国人傷病者との3者間同時通話を行い、円滑な意思疎通を図る。

 対応言語は英語、中国語(北京語)、韓国語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語、ポルトガル語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ロシア語、タガログ語(フィリピンの公用語)、ネパール語、マレー語の15としているが、実際には北京語以外の中国語など、他にも対応できる言語はあるという。

 大島地区消防組合消防本部によると、これまでに外国語での119番通報はなく、あった場合には、通報者に対し「近くにいる日本語話者に代わってください」と5カ国語(英、中、韓、タガログ、ポルトガル)の音声案内で伝えることになっていたという。

 2016年ごろ、世界自然遺産登録へ向けた動きなどから、外国人観光客増加を想定したシステム導入の話が浮上。18年5月29日までに、コールセンターとの業務委託契約、試験運用などを行い体制を整えた。30、31日には消防署員への熟知訓練を実施する。

 川畑洋一消防長は「外国語での通報への対応は将来的に必要になるもの。県内で初の試みということで、好事例になるようしっかり取り組みたい」と話している。
奄美の南海日日新聞

「移民流入」日本4位に 15年39万人、5年で12万人増 支援策の充実急務

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180530-00010004-nishinpc-soci
5/30(水)、ヤフーニュース
 人口減と少子高齢化による人手不足を背景に、日本で働く外国人が増え続ける中、経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国の最新(2015年)の外国人移住者統計で、日本への流入者は前年比約5万5千人増の約39万人となり、前年の5位から韓国を抜いて4位に上昇した。OECDの国際移住データベースから判明。日本が事実上の「移民大国」であることが浮き彫りになった。日本語教育の推進など定住外国人の支援策が急がれる。

 国際移住データベースは、世界約200の出身国・地域別に1年間のOECD加盟35カ国への外国人移住者を集計している。日本への移住者は「有効なビザを保有し、90日以上在留予定の外国人」を計上しているという。
求められる共生政策の充実
 15年のトップ10は(1)ドイツ(約201万6千人)(2)米国(約105万1千人)(3)英国(47万9千人)(4)日本(約39万1千人)(5)韓国(約37万3千人)(6)スペイン(約29万1千人)(7)カナダ(約27万2千人)(8)フランス(約25万3千人)(9)イタリア(約25万人)(10)オーストラリア(約22万4千人)-となっている。

 日本は10、11年の7位から12~14年に5位、15年は4位と徐々に上昇。外国人流入者は5年間で約12万人増えた。15年の日本への移住者のうち、国・地域別で1万人を超えたのは、多い順に中国▽ベトナム▽フィリピン▽韓国▽米国▽タイ▽インドネシア▽ネパール▽台湾-だった。

 政府はこれまで、建前上は労働移民の存在を認めてこなかった。現実には途上国からの留学生を含めた外国人労働者が欠かせない存在となっており、生活者として受け入れて支援する共生政策の充実が求められている。

=2018/05/30付 西日本新聞朝刊=
西日本新聞社

東京パラ「共生ホストタウン」に川崎・神戸など追加

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180529-00000050-jij-pol
5/29(火)、ヤフーニュース
 政府は29日、2020年東京パラリンピックに出場する選手との交流を機に、障害者や高齢者らが住みやすいまちづくりに取り組む「共生社会ホストタウン」に、川崎市や神戸市など7件を追加登録したと発表した。

 登録数はこれで計13件となった。

 英国チームを交流相手とする川崎市は、誰もが利用しやすいユニバーサルデザインタクシーの普及などに力を入れる。オーストラリアチームやネパールの水泳チームの合宿地となる神戸市は、市内での多目的トイレ増設や市営地下鉄のホームドア設置を進める。

 追加登録された自治体は次の通り。

 岩手県遠野市、川崎市、神戸市、鳥取市・鳥取県、福岡県田川市、同県飯塚市、大分市。 

中印関係「雪解け」は一時的

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180529-00010000-wedge-asia
5/29(火) 、ヤフーニュースより
 中国の習近平国家主席とインドのモディ首相は、4月27~28日に、中国の武漢で非公式な首脳会談を行った。インド政府の発表によれば、要点は次の通りである。
 両首脳は、中印両国が経済大国、戦略的主要国として同時に興隆することが、地域と世界にとり重要な意味を持つと考える。平和的、安定的で、バランスの取れた中印関係が、現在のグローバルな不確実性の安定化にとり有益なファクターである、との見方を共有する。中印2国間関係の適切な管理は、地域の発展と繁栄に資するものであり、「アジアの世紀」の前提条件となる。

 両首脳は、中印国境問題に関する特別代表の作業への支持を表明し、公平、合理的、相互に受け入れ可能な解決を追求する努力を強化するよう求めた。中印国境地帯全域の平和と静穏の維持が、両国関係全体の発展において重要であることを強調。国境問題の管理における、両国軍間の信頼醸成、相互理解、予測可能性を高めるための戦略的ガイダンスを発表。国境地帯における偶発事態を防ぐべく、両国軍にさらなる信頼醸成の実施を指示した。

 両首脳は、2国間の貿易と投資を、均衡的で持続可能なやり方で前進させることで合意した。文化的、人的交流の促進についても議論し、新たなメカニズムの構築を模索することで合意した。

 両国は、戦略的対話を強化する必要につき合意。かかる戦略的対話は相互理解に役立ち、地域と世界の安定に貢献する。

 中印はそれぞれ、成長と経済発展を通じて世界の平和と繁栄に大きな貢献をしており、今後とも世界の成長のエンジンであり続けるだろう。開放的、多極的、多元的、参加型のグローバル経済秩序は、あらゆる国の発展追求を可能にし、世界中の貧困と不平等の除去に貢献する。

 気候変動、持続可能な発展、食料の安全、感染症との戦い、テロ対策など、グローバルな問題で、両国は協力する。

出典:‘India-China Informal Summit at Wuhan’インド外務省

 今回の非公式首脳会談は、毛沢東ゆかりの地である武漢で開催され、両首脳は、船上でお茶を飲み、インド音楽を聴くなどして、友好ムードを演出したという。中国外務省は、習近平が「今回の会談で両国関係の新たな1ページを開きたい」と語り、モディが「今回の会談は歴史的意義を持つ」と述べた、と発表している。両国とも、何らかの形で経済関係を好転させたい意図があることは、上記会談の要点からも見て取れる。しかし、中印関係が緊張する戦略的構図に何ら変化がないのであるから、武漢での首脳会談で演出された「雪解け」は、あくまでも一時的なものにとどまると考えられる。

 中印関係を緊張させる第一の要因は、1962年の中印国境紛争の原因ともなった、ヒマラヤにおける国境問題である。昨年だけをとってみても、次のような小競り合いが起こっている。6月に中国がブータンのドクラム高原に道路を建設し始めたことに対抗し、8月にはブータンの擁護者であるインドが部隊を派遣、中印両軍がにらみ合った。12月末には、インドが実効支配するアルナーチャル・プラデーシュ州で、中国による道路建設に対し、インド軍とインド・チベット国境警察が出動し、中国側の作業員を追い返すなどしている。

 中印間の緊張の大きな要因には、国境問題に加え、中国のインド洋への進出、中国とパキスタンの関係緊密化がある。両者はともに、最近中国が強力に推進している巨大経済圏「一帯一路」構想とも関連している。

 「一帯一路」のうち「一路」に当たる「海洋シルクロード」は、歴史的にインドの影響下にあったインド洋を舞台にしている。中国は、インド洋沿岸国へのインフラ投資を強化している。スリランカやモルディヴへの港湾建設は、その典型的な例である。また、中国はインド洋に海軍を積極的に展開し、インドに強い警戒感を与えている。

 そして、「一帯一路」には、インドの宿敵パキスタンが含まれる。この点は、インドにとって極めて重大である。インドとパキスタンは、カシミール地方をめぐって常に一触即発の状態にあるが、「一帯一路」の主要構成要素と位置づけられる「中国パキスタン経済回廊」は、そのカシミール地方を通過する。インドが強く反発するのは当然である。

 したがって、インドは「一帯一路」への警戒を隠さず、上記首脳会談の直前の4月24日に北京で開催された上海協力機構(SCO)外相理事会のコミュニケで、参加国中唯一「一帯一路」への支持を表明していない。「一帯一路」にはネパールも含まれるが、武漢での会談後の5月11日にはモディ首相が、親中派が政権の座についているネパールを訪問し、両国の関係強化で一致するなど、巻き返しを図っている。

 そして、インドは、中国のインド太平洋地域における影響力の増大に危機感を抱き、日米豪に接近している。日本が掲げる、自由、民主主義、市場経済、海洋の自由といった価値を基本に据えた「自由で開かれたインド太平洋戦略」は、インドにとっても魅力的に映ると思われる。中印関係が劇的に好転する要因は見当たらず、インドと日米豪との接近は続くことになろう。
岡崎研究所

日本人コンビニ店員が、このまま「絶滅危惧種」になる可能性

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180529-00055833-gendaibiz-bus_all
5/29(火)、ヤフーニュースより

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なんでこんな増えたの? ふだん何してるの? 全国の大手コンビニで働く外国人店員はすでに4万人超。実に20人に1人の割合だ。ある者は東大に通いながら、ある者は8人で共同生活をしながら――。彼らはなぜ来日し、何を夢見るのか? 知られざる隣人たちと日本の切ない現実と向き合った入魂のルポルタージュ『コンビニ外国人』の著者が、いつのまにか世界第5位の「外国人労働者流入大国」となったニッポンの現状に迫る。
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この国に何が起こっているのか
 コンビニにいま“異変”が起きている。とくに東京都心でその変化が顕著だ。

 四国に住む友人は、東京のコンビニの劇的な変化を見て「最初はびっくりした」と言う。

 「だってインド人みたいな人がレジにいて、『お箸は何膳にしますか? 』とか日本語もペラペラだし、外国人のスタッフ同士の会話も日本語でしょう。出張で上京するたびに外国人スタッフの数が増えてる気がするけど、彼らを見ると『東京に来た! 』って実感するんだよね」

 彼が言う“インド人みたいな人”というのは、おそらくネパール人かスリランカ人のことだろう。

 東京23区の深夜帯に限って言えば、実感としては6~7割の店舗で外国人が働いている。昼間の時間帯でもスタッフ全員外国人というケースも珍しくはない。中国、韓国、ベトナム、ネパール、ウズベキスタン……名札を見るだけでも、国際色豊かな実体がわかる。

 つい数年前までは考えられなかった状況だが、この波は、急速に地方にも広まりつつある。

 現在、全国には5万5000店舗以上のコンビニがあり、2017年、スタッフとして働く外国人の数は大手3社だけで4万人を越えた。全国平均で見ると、従業員20人のうち1人は外国人という計算になる。

 ご存じの通り、日本は単純労働を目的とした外国人の入国を認めていない。にもかかわらず、「いつから移民の受け入れ国になったんだ?」と不思議に感じている人も多いはずだ。

 いったいいま、この国に何が起こっているのか。そして、彼らはいったいどういう人たちなんだろう――。

 そんな素朴な疑問から、取材をはじめることにした。
「安いから日本人は働きたくないでしょう」
 近所のファミリーマートでよく顔を合わせるウズベク人のJ君は、深夜のコンビニで働きはじめて1年以上が経った。平日の午前中は日本語学校で学ぶ留学生である。

 実は、コンビニで働く外国人のほとんどは、J君のような私費留学生だ。つまり、「留学ビザ」で日本に入国し、勉強しながら働いている。純粋な労働者ではない。

 コンビニ以外でも、たとえば居酒屋や牛丼チェーンなどで働いている外国人もほとんどが留学生だ。

 「夜勤のシフトで時給は1100円から始めて、いまは1300円になりました。時給は日本人といっしょです」とJ君は言う。

 「本当は昼間に働きたいけど、夜勤のほうが時給がいいし、人も足りないので、店長にも『夜に入ってほしい』と言われます。うちの店は夜勤の日本人は1人だけ。コンビニは安いから日本人はあまり働きたくないでしょう」

 経営者に聞くと、やはり「募集をかけても日本人はほとんど来ません」ということだ。

 こうした状況の背景には、コンビニ業界ばかりか日本全体が抱える深刻な問題がある。人手不足である。

 現実として全時間帯で人手が足りない店舗もあり、業界内では「24時間営業を見直すべき」という声も出始めている。しかし、いまのところ大手各社が拡大路線を取り下げる気配はない。

 業界最大手のセブン-イレブン・ジャパンの古屋一樹社長は、雑誌の取材に対して「24時間営業は絶対に続けるべきだ」と明言し、「加盟店からも見直すべきという要望は上がってきていない」としている。

 業界第2位のファミリーマートと第3位のローソンは、深夜帯に一定時間店を閉めたり、無人営業をするといった実証実験をはじめているが、業界トップのセブン-イレブンが「絶対に続ける」と言っている限り、深夜営業を取りやめることは難しいだろう。

 店舗数もこれからまだまだ増えていくはずだ。ローソンは、2021年までには現在より4000店舗多い18000店舗まで規模を拡大する意向を示している。

 そうした大手チェーンの拡大路線が続く一方で、現場では疲弊感が広がっている。

 世田谷区でコンビニを経営するAさんも人手不足に悩んでいる。

 「店の前にバイト募集の貼り紙を出して1年以上になるけど、まったく反応がない。平日の昼間なら960円、深夜なら1200円以上提示しても日本人はなかなか来ないんです。

 これまで外国人を雇ったことはないけど、今後は考えていかないと店が回っていかない。(シフトに穴が空くと自分が対応するしかないので)自分の身体も心配です」

 このように、コンビニで働く外国人スタッフが急増している一義的な原因は、現場の深刻な人手不足にある。ネット上では「外国人が日本人の雇用機会を奪っている」という論調もあるが、実態は違う。

 大学生の甥に聞くと、「コンビニで働いている日本人の友だちはいない」そうだ。

 「だってキツそうだし。同じ時給ならカラオケ店員のほうがラクそうじゃん」

 ちなみに東京都の最低賃金は958円(2017年10月~)。737円の九州・沖縄地区と比べると200円以上の差があるが、コンビニの昼間の時給は、全国どの地域でもほぼ最低賃金からスタートという店舗が多い。

 日本人が好まないアルバイトを外国人留学生が肩代わりしている実情が透けて見えてくる。人手不足に悩む現場からすると、外国人留学生はいまや貴重な労働力なのである。
「アルバイトは週に28時間まで」のはずが…
 本来、留学生は「就労」することはできない。だが、実際には多くの留学生が働いているのはどういうことだろう。

 実は、留学生のアルバイトは「資格外活動」として認められているのだ。実際、約27万人いる外国人留学生のうち約26万人が何らかのアルバイトをしている(厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」2017年10月)。

 しかし、留学生として入国している以上、その本分は「勉強すること」。もちろん無制限に働いていいわけではない。いわゆる出入国管理法で決められている上限は、原則的に“週に28時間まで”とされている。

 夏休み期間などは週に40時間まで許されるが、基本的には1日平均で4時間まで。仮に時給1000円で計算すると、週に28時間働けば2万8000円。4週間で11万2000円の額面となる。

 「なんだ、悪くないじゃないか」と思った人もいるだろう。

 だが、多くの留学生は100万円を超すような借金を背負って来日している。その借金を返済しながら生活費を稼ぎ、寝る間を惜しんで勉強している留学生も少なくない。月に11万円の稼ぎで東京で暮らすのは難しい。当然、より高い時給を求めて、深夜帯のアルバイトが多くなる。

 近所のナチュラル・ローソンで働いているスリランカ人のSさんも深夜帯で働く1人。朝8時にコンビニのバイトを終えると、通勤ラッシュの満員電車に乗って日本語学校へ向かう。

 「最近はアルバイトと勉強が忙しくて昨日もおとといも4時間しか寝ていません。この生活が続くと思うとカラダがたいへん。日本に来る前は、日本の大学に入って日本で就職したいと考えていましたが、それはたぶん難しいです。勉強する時間もお金もない」

 28時間以上働いていることを摘発されれば母国に強制送還される。だが、そのリスクを承知のうえで“出稼ぎ留学生”と化す者もいる。日本での学業を諦めて、借金とともに帰国する留学生も少なくない。

 問題は、留学生たちは、なぜそれほど多くの借金を背負って来日するのか、である。
留学生たちの“ジャパニーズ・ドリーム”
 そもそもなぜ、これほど留学生が増えているのか。なぜ、彼らは多額の借金を背負ってまで来日するのか――。

 その根本には日本政府が推し進める「留学生30万人計画」がある。日本をより開かれた国にすることを謳い、2020年までに30万人の留学生受け入れを目指すのが目標だ。

 「優秀な留学生を獲得し、戦略的に国際競争力を高めるため」に入国審査を簡素化し、日本語学校などの外国人受け入れ法人へ補助金導入を実施している。一方では、彼らは労働力としても期待されているはずだ。

 つまり、海外から見ると、日本は「留学ビザが取りやすく、勉強しながら働ける国」なのである。

 日本を目指す若者にしてみれば、日本語を覚えてお金持ちになること、それが彼らの“ジャパニーズ・ドリーム”だ。

 留学生が急増しているベトナムやネパールなどでは、「日本に行きたい」という若者を集めて送り出すブローカーが多く存在する。そうしたブローカーに手数料を払い、紹介された日本語学校に1年分の授業料を先払いするために、来日前に100万円もの借金を抱えるのである。

 なかには実家の田畑を売って、親戚中から借金してまで来ている留学生もいる。「日本に行けば月に20万円は稼げる。借金は数ヵ月で返せる」と半ば騙されて来日する留学生も少なくない。

 受け入れ先の日本語学校は、いまや全国に600校あまりが乱立する。もちろん教育機関として真摯に留学生と向き合っている学校もあるが、留学生からの搾取を目的としたような悪徳校も少なくない。“国際貧困ビジネス”とも言うべき、憂慮すべき事態が横行しているのも事実なのである。

 その闇は深く、混沌としている。

 キラキラとした夢を持って、いざ憧れの日本に来てみれば、深夜のコンビニで働いても月に12,3万円稼ぐのがやっと。生活はキツい。

 深夜のコンビニでは酔っぱらいの客に絡まれることもある。朝の通勤ラッシュ時にはレジに行列ができて、日本人の客たちは無言で金を払い、商品を受け取っていく。人種差別的な暴言を吐かれることもある。

 だが、彼らに話を聞いていると皆、「日本はいい国です」という。2006年まで内戦が続き、2015年には巨大地震に見舞われたネパールからの留学生などは、「日本は地震からもフッコ(復興)しているし、安全。夢みたいな国です」とまで言う。

コンビニ外国人店員、なぜこんなにいるのか

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180527-00222111-toyo-soci
5/27(日)、ヤフーニュースより

もはや毎日のように顔を合わせている人たちについての話だ。地域によって差はあるものの、都市部のコンビニでは外国人スタッフの存在はすっかり当たり前になった。自宅の最寄りのコンビニともなると7割くらいが外国人店員という印象なのだが、その割に知っていることはあまりにも少ない。タイトル『コンビニ外国人』を見た瞬間、自然と手が伸びた。

 中身はコンビニの話にとどまらない。コンビニ店員のほとんどを占める私費留学生を中心としながらも、技能実習生、その他の奨学生、さらには在留外国人全般にわたる幅広い視野で外国人労働者の置かれる状況がまとめられた1冊である。
■日本語学校や大学で学びながら労働

 近い将来変わる見込みがあるものの、現状は技能実習生がコンビニでバイトをすることは認められていない。コンビニで働く人外国人のほとんどは、日本語学校や大学で学びながら原則「週28時間」の範囲で労働する、私費留学生だ。中国・韓国・ベトナム・ネパール・スリランカ・ウズベキスタンなど、様々な国からやってきた人々に著者は話を聞く。

 日本にやってきた理由や暮らし向きは人によって様々で、なんとなくのイメージが覆される例も少なくない。ベトナムの裕福な家庭に生まれたことで逆に自分の力で生きたいと思うようになり、学費も生活費も自分で稼いでいる青年。ローソン主催の奨学制度を活用し、東大の大学院に入った留学生。同じ日本語学校でも、学費や生活費をすべて親が出しているケースもあれば、すべて自力で賄っている場合もある。
 色々な人がいる上で、バイトと勉強漬けの忙しい日々を送る留学生が多いのもまた事実だ。親戚中から借金して留学の初期費用を貯め、2年目からの学費や生活費をバイトで稼ぐ計画で来てはみたものの、週28時間の労働で捻出できる額には限度がある。それ以上働いていると著者に吐露する学生も何人かいた。留学前に触れられる情報にも個人差があり、現地で悪質なブローカーに当たってしまい、労働時間に制限があることすら聞かされないまま留学を決めてしまうケースも後をたたないという。
様々な事例を紹介しつつ、中盤からは日本の留学生受け入れにおける構造的な問題へと話題が移っていく。現行制度のおさらいや近年の法改正の概要、諸外国との比較などに加え、悪徳ブローカーや日本語学校に留学生が搾取される構造といった暗部にも切り込んでいく。入り組んだ内容であり、本書の一番の読みどころでもある。

 熱心で誠実な学校や経営者がたくさんいることを前置きした上だが、日本語学校と現地の仲介人が手を組むことで、留学生をとりまく環境が怪しげな人材派遣ビジネス化する状況にも触れられている。日本国内に600以上ある日本語学校のうち、公立は1校のみというのも驚きだった。詳細は実際に読んでいただきたいが、高い学費の謎に加え、過去の不祥事なども振り返っていく部分を読むと、出口の見えない複雑な構造に行き当たる。
 そうした仕組みに依存する人々の姿も映し出される。会長や理事長が逮捕されて廃校になった日本語学校の周りから聞こえてくるのは、貴重な働き手を失った地元の経営者たちの嘆きだ。もちろん地域差はあるが、違法就労がダメだとはわかりつつも「日本人より真面目に働いていた」、「本当に残念」という本音を隠せないくらいに人手不足は深刻化している。

 ベトナムでは日本語学校が林立し、日本語ブームが起きているそうだ。ネパールからの留学生も急増中で、特に著者の故郷である沖縄では、この4年で10倍というペースでネパール人が増えているという。ただ、「東京オリンピック以降はオーストラリアや韓国に切り替える」といった送り出す側の本音も囁かれているらしく、勢いが長続きすることはないだろう。
■もう知らないままでは済まされない

 悲観的な話ばかりが書かれているわけではない。日本初の公立日本語学校を開設した北海道・東川町のきめ細やかな留学生受け入れ制度や、日本で外国人が起業する際のハードルを緩和する「スタートアップビザ」が福岡市を筆頭に広がりつつあることなど、着実に進む変化にもスポットは当てられている。

 コンビニで働く外国人という身近な存在をとっかかりにして、徐々に外国人労働者の全体的な話へ広げていく切り口のうまさが何よりの魅力だ。このタイトルでなければ手に取らなかったかもしれない。一読して、もう知らないままでは済まされないと思った。読めばいかに自分の生活が、彼らの存在と、彼らをとりまくいびつな構造によって成り立っているか思い知らされるはずだ。
 数多くのインタビュー、数字から見る規模感と潮流の変化、そして社会的な受け入れ体制のいびつな現状など、外国人労働者をとりまく状況が200ページちょっとで大づかみできる。より深く掘り下げた本へのステップになるような、最初の1冊としておすすめしたい。
峰尾 健一 :HONZ

危急種インドサイの赤ちゃん誕生、3週間で一気に成長

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180525-00010001-nknatiogeo-int

5/25(金) 、ヤフーニュースより


好奇心が強く、冒険好きで、手に負えない
 英国のチェスター動物園で、インドサイの赤ちゃんが生まれた。飼育係によれば、すでに性格のようなものが形成されつつあるという。

 哺乳類の飼育責任者ティム・ローランズ氏は「彼は生まれてすぐ、自信に満ちた若者になりそうな雰囲気を醸し出していました。とても好奇心が強く、冒険好きで、“手に負えない”という表現がぴったりです」と話す。

 名前はまだ決まっておらず、今後、性格を考慮して命名される予定だ。
20世紀には絶滅寸前に
 このサイは5月3日、アシャという母親から生まれた。誕生時の体重は約60キロもあり、おとなになったら2トンを超える可能性が高い。インドサイは角が1本しかなく、ユニコーンにちなんで「ライノセロス・ウニコルニス(Rhinoceros unicornis)」という学名が付いている。よろいのような分厚い皮膚も特徴のひとつだ。

 生まれたての赤ん坊が立ち上がり、よろめきながら歩く様子がカメラに収められているが、1カ月足らずで急激に成長し、動画では、母親のすぐ後ろを弾むように走り回っている。アシャはこれから1年半にわたって子育てし、その後、単独行動に戻る。

 飼育係たちはインドサイの個体数増加に貢献できるかもしれないと喜んでいる。インドサイは国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで、絶滅の恐れがある「危急種(VU)」に指定されている。野生のインドサイを脅かしているのは、角を売って大きな利益を得ようともくろむ密猟者たちだ。インド北西部では、本来の生息地も失われつつある。

「今回生まれた子供が野生に戻される可能性は低いですが、絶滅危惧種の繁殖プログラムで重要な役割を担ってほしいと思っています」とローランズ氏は話す。チェスター動物園は「ヨーロッパ絶滅危惧種プログラム(EEP)」に参加している。動物園や水族館が絶滅の危機にある種を繁殖目的で貸与や交換、譲渡するためのシステムだ。今回生まれた子供も9歳になって成熟したら、ヨーロッパの別の動物園に移動する可能性が高い。

「野生の個体を脅かしている問題に対策が施され、安全な生息環境を確保できるようになれば、未来の世代が(野生に)戻る可能性はもちろんあります」

 インドサイは今も絶滅の危機にあるが、ここに至るまでの復活劇は動物保護におけるサクセスストーリーと考えられている。20世紀末、インドサイは200頭以下に減少し、絶滅寸前まで追い込まれた。世界自然保護基金(WWF)によれば、現在、3500余りの個体が確認されているという。インドとネパールの政府が保護活動に力を入れ始めたことが大きい。
インドサイだけではない
 密猟や生息地の破壊という差し迫った脅威にさらされているサイはインドサイだけではない。3月には、キタシロサイが最後の雄を失ってしまった。現在、2頭の雌しか残されておらず、保護活動家たちは100万ドル(約1億円)をかけて人工授精技術を開発し、新しい個体を誕生させようと必死に努力している。

 5月に入り、米サンディエゴ動物園の科学者チームがミナミシロサイの人工授精を成功させた。まだ道のりは長いが、チャレンジしてみる価値はありそうだ。
文=Sarah Gibbens/訳=米井香織

政府の無策でネパール大地震の被災者にのしかかる「借金地獄」

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180523-00021128-forbes-int
5/23(水) 、ヤフーニュースより

約9000人が犠牲者となったネパール大地震から3年が過ぎ、現地では貧困による「人身売買」が広がっているのだが、自国のみならず、被害者女性たちの多くが連れて行かれるインドでも、政府は「人身売買の撲滅」を訴え、取り締まりの強化をアピールしている。

とはいえ、それでも「人身売買」がいっこうに減る傾向にないのは、それだけ原因となっている貧困が深刻化していることでもある。

言うまでもなく、その背景にはネパール政府の無策さがある。大地震から3年を経て、ようやく住宅再建も本格的に動き出したように見えるが、工事のために高利貸しからの借金を強いられた人たちも多く、さらなる重圧が被災者たちにのしかかっている。

ネパール政府が「復興」を声高に言う一方で、その足元はもろく、放置すれば足場が崩壊するのは必至なのが実情だ。

支援金を得るために高利貸しから借金

地震の最大被災地であるシンドパルチョーク県の県都チャウタラへは、首都カトマンズから車で3時間以上、山道を走らなくてはならない。ネパールには車の通れるトンネルはなく、道路は急峻な山道を縫うように通っている。舗装のない道路では、大きな揺れの連続で何度も座席からひっくり返りそうになるほどだ。

ようやくたどり着いたチャウタラ近郊の集落では、あちこちで家の再建作業が進んでいた。集落にあるのは47世帯。とりまとめ役のトク・スレスタさん(48)によると、地震で全世帯の家が倒壊し、2人が死亡したという。

政府の援助が届かず、昨年夏までは住宅再建は手つかずだったが、その後から一気にペースが進んだ。「何軒かがまとまって共同で建築資材を購入し、安く仕入れることができるようになった。専門知識のある石工も指導してくれている」スレスタさんはそう話し、雨期の始まる7月までに再建が完了することに自信を見せた。
 
集落の世帯をグループ化するとともに、石工を養成して再建の指導に当たらせるといった取り組みは、国際協力機構(JICA)の支援で行われている。支援の対象地区では、再建の着工率が8割を超えた。

だが、そうした「モデル地区」でも、住民の不安は消えていない。集落に住む50代の男性は、住宅再建の費用として20万ルピー(約20万円)を借りた。利子は30%。男性の月収が約3000ルピーであることを考えれば、それがいかに無謀な借金であるかがわかるだろう。
不安をさらに煽る悪質な銀行員の存在も
「再建にかかるカネが足りなかった」というのが借金の理由だが、高利貸しに頼る以外、方法はなかったのだろうか。実は、ネパール政府は民間銀行などに対し、住宅再建費用には2%の低利子で融資するよう指導している。だが、実際はほとんど機能していない。「返済能力」をタテに融資を断るケースが相次ぎ、なかには借り手に賄賂を要求してくる悪質な銀行員もいる。
 
ネパール政府は、被災した家屋を再建するため、1戸あたり30万ルピーの支援金を用意している。これは、ネパールでは小さな一軒家を建てるのに相当する費用だ。

支援金は一度には支給されず、3段階に分けて手渡される。1段階目は書類審査で「(書類を)出せば誰でももらえる」(地元記者)というもの。ここで支給されるのは5万ルピーだ。2段階目は、家の基礎部分が建てられたら15万ルピー、3段階目は、屋根を掲げる段階になれば10万ルピーという案配だ。
 
「段階ごとのチェックをして、耐震性のある住宅を再建する」というのが政府の弁だ。しかし、実際には最初の5万ルピーは生活費に消え、さらに15万ルピーを得るため、それよりも多い金額を高利貸しから借り、建築資材を買うという現象が起きている。

今年7月が2段階目の申請締め切りのため、多くの人が借金をして期限に間に合わせようとし、それによって建築資材の値上がりも起きているというから、まさに悪循環だ。

再建に着手できていないのは21万戸

ネパール政府による統計では、地震によって倒壊した建物は約79万戸。今年4月現在で、このうち約69万戸が1段階目の支援を受け、2段階目まで進んだのは約32万戸、3段階目までになると約9万戸に減っていく。

実際に再建に着手できていない家屋は、統計では約21万戸にのぼっている。7月に向けて、これらの数字は大きく変化することが予想されるが、その背景に借金まみれの構図があれば、けっして「復興が進んでいる」とは言えないだろう。

ネパールでは昨年12月に新憲法の下で初めての総選挙が行われ、野党統一共産党(UML)などの左派連合が勝利し、今年2月には新首相が就任した。大地震後、実に5回目の首相交代となる。新憲法では、2年間は首相の交代ができないことになっており、政府当局者は「これで安定した政治状況のもとで、復興のスピードアップを図れる」と自信をみせた。

選挙前には行政機能がストップし、シンドパルチョーク県などの山間部ではまったく機能していなかったと言っていい。それだけに新政権に対する期待も多いが、貧困層にのしかかる借金は、いずれネパール社会では大きな問題となることは間違いない。

連載 : South Asia Report
佐藤 大介

2018年5月23日水曜日

ネパールは自らの国情にあった国家建設を=外交部

Source: http://japanese.cri.cn/20180518/4608e51f-419b-cde4-c81b-1f96cbfeeea9.html
2018-05-18、GOOGLEニュースより

   外交部の陸慷報道官は18日の定例記者会見で、「ネパール両党の合併を歓迎し、ネパールが早期に国家の発展目標を実現できるよう祈念する」との政府のスタンスを示しました。
 報道によりますと、ネパールの統一共産党(UML)と共産党毛沢東主義派(毛派)が17日、合併して新たにネパール共産党になったということです。陸報道官はこの報道に関する質問に答え、「ネパールの良き隣人および友人として、同国が自ら自国の国情に適した社会制度と発展の道筋を選択することを支持し、両党の合併を歓迎する。中国側は引き続きネパールと互恵協力を深化させ、両国及び国民の幸福の為に努めていきたい」と述べました。(怡康、む)

2018年5月22日火曜日

ホテル業界は歓迎 実習から就労、「双方に利益」

Source: https://www.nishinippon.co.jp/feature/new_immigration_age/article/418038/
 政府が検討する外国人受け入れの拡大策は、人手不足にあえぐ業界にとっては朗報となりそうだ。中でも訪日外国人客の急増に沸くホテル業界は、既に熱い視線を送っている。留学生についても就労手続きの簡素化が盛り込まれ、留学から就労への門戸も広がる。
 外国人旅行者の姿が目立つ那覇市の繁華街、国際通り。ホテルパームロイヤルNAHAで働くネパール出身のサントシュ・パウデルさん(35)は日本語と英語を使いこなし、フロント業務を担う。「給料もボーナスも日本人と同じ。働くのが楽しい」と胸を張った。
 母国の大学を出て、沖縄県内の日本語学校に留学した。卒業後は語学力を生かし、正社員として採用された。ただし、ホテル側にとっては、採用時に入国管理局から理由書の追加提出を求められるなど、煩雑な就労手続きが必要だった。高倉直久総支配人は「手続きの簡素化はありがたい」と歓迎する。
 沖縄県内はホテルの建設ラッシュに沸く一方、人手不足が懸念され、技能実習への「宿泊業」の追加にも期待が膨らむ。「ホテル側は人材難を解消でき、実習生も日本の高品質なサービスを身に付け、帰国後も生かせる。双方に利益がある」と高倉総支配人はみる。
 ただ、サントシュさんのように恵まれた職場に巡り合えるとは限らない。受け入れ先によっては、賃金の未払いや過重労働を強いられるケースもある。
 昨年11月施行の技能実習適正化法では、受け入れ先を監督する「外国人技能実習機構」が新設され、人権侵害には罰則規定も設けられた。さらに政府は今後、外国人向けの支援を強化し「日本人と外国人が共生できる社会の実現」にも力を入れるとする。
 実習生の支援を続ける全統一労働組合(東京)の佐々木史朗書記長は「機構側の人員は限られ、監督態勢は整っていない」と指摘。「労働者としての権利を守り、教育、医療制度の整備など生活者としての支援も欠かせない」とセーフティーネットの整備を求めた。
=2018/05/20付 西日本新聞朝刊=

栗城史多さん、エベレストで死亡。事務所が発表「遺体となり発見されました」(UPDATE)

Source: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180521-00010004-huffpost-int
5/21(月)、ヤフーニュースより
エベレストの山頂を目指していた、登山家の栗城史多(くりき・のぶかず)さん(35)が21日朝、エベレストのキャンプで亡くなっているのが見つかったと、ネパールの「ザ・ヒマラヤンタイムス」が報じた。ベースキャンプの担当者が電話で伝えたところによると、シェルパがキャンプで栗城さんが亡くなっているのを発見したという。死因は明らかになってない。

現地のメディア onlinekhabarによると、今回の登頂計画をサポートしている「ボチボチトレック」のマネージングディレクター、ティカラム・グルング氏の話として、栗城さんは、7200メートル付近のキャンプ3で亡くなっていたという。


栗城さんのFacebookによると、日本時間の午前10時ごろ、「栗城中継班」からのメッセージとして、栗城さんの体調悪化を理由に、7400m地点から下山することになったと伝えていた。
栗城さんは、2009年以降、エベレスト登頂に7度挑み続け、2012年には両手、両足、鼻が重度の凍傷になり、右手親指以外の両手9本の指の先を失う困難に直面しながらも、エベレストの頂を目指していた。

日本時間午前0時ごろの投稿では、「今は、このエベレストを苦しみも困難も感じ、感謝しながら、登ってます」などと、Facebookに投稿していた。
【UPDATE】事務所が死亡発表
栗城さんのFacebookで21日午後3時ごろ、以下のように死亡が発表された。
-------------------------------------------------------------
栗城事務所の小林と申します。

このようなお知らせになり大変申し訳ございませんが、
エベレストで下山途中の栗城が遺体となり発見されました。

下山を始めた栗城が無線連絡に全く反応しなくなり、
暗い中で下から見て栗城のヘッドランプも見当たらないことから
キャンプ2近くの撮影隊が栗城のルートを登って捜索し、
先ほど低体温で息絶えた栗城を発見いたしました。

生きて帰ることを誓っておりましたのに、
このような結果になり大変申し訳ございません。

生きて帰るため執着しないと誓っておりましたのに、
最後に執着してしまったのかもしれません。

皆様へのご報告が遅くなりなりましたこと、
心よりお詫び申し上げます。

何m地点で発見されたかなど
これ以上の詳細が日本でわからず大変恐縮ですが、
またわかり次第お知らせ申し上げます。
錦光山雅子

グルカ兵は誰のために戦うのか?傭兵として海外に出るネパール人

Source: https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180521-00010001-wedge-life
5/21(月) 、ヤフーニュースより

カトマンズには語学学校とビザ取得代理店が雨後の筍のごとく
(2017.2.25~4.26 61日間 総費用13万2000円〈航空券含む〉)

 峠を越えてカトマンズの中心部に近づくと、やたらと語学学校とビザ取得代行の看板が目に付く。語学学校は英会話スクールが大半であるが、中には日本語・トルコ語・韓国語などもある。

 ビザとは就労ビザを指しているようで、“ヨーロッパで働こう”“日本での就労お任せください”みたいな英語のキャッチ・コピーが並んでいる。“ヨーロッパで働こう”の看板の下には“トルコ、ポーランドのビザ手配”とある。トルコやポーランドは外国人労働者にとりビザ取得が容易なのであろうか。

ネパール人の日本での就労ビザ手数料は100万円以上!?
 4月10日。ナガルコットの眺めの良いゲストハウスで相部屋になったのは70歳の元中華料理のコックのHさん。Hさんは仕事を辞めてから、ネパールに魅せられて毎年ネパールで数カ月過ごしている。

 Hさんは昵懇のネパール人男性Y氏の家で一週間過ごす計画という。Y氏が来て雑談していたらY氏は数カ月後に日本に出稼ぎに行くためにビザを申請中という。Y氏はがっしりした体格であり、日本ではネパール料理店でコックをするという。

 Y氏によるとエージェントに支払った金額は1万2000ドル(当時のレートで140万円相当)。しかし1万~1万5000ドルが日本の就労ビザの相場なので1万2000ドルは妥当らしい。どんな仕組みなのかY氏も知らないというが、べら棒に不当な裏金が動いているのだろうか。

 Y氏によると、日本で数年働けばネパールで立派なマンションが建てられるという。日本は彼らにとって“黄金の国ジパング”らしい。ちなみに2017年6月時点の日本政府統計では在日ネパール人は7万4000人。

 参考までに同時期の在日外国人は総計247万人である。多い順に並べると中国71万人、韓国45万人、フィリピン25万人、ベトナム23万人、ブラジル18万人である。やはりアジアが圧倒的に多い。
出稼ぎ大国のネパール
 カトマンズの宿屋のマネージャーが「ネパール人の10人に1人が外国で出稼ぎ労働者として働いている」と話していたことを思い出した。ネパールの日本大使館情報では2012年に新規出国した出稼ぎ労働者は36万人。同年度の出稼ぎ労働者による海外からの外貨送金はネパールのGDPの23%を占めるという。出稼ぎ労働者の送金が滞ると国家経済が破綻するという構図である。
 2017年時点でネパールの人口は2920万人で過去20年間に700万人も増加している。おそらく2017年の新規出国出稼ぎ労働者は50万人を越えているのではないか。1人平均5年海外に滞在していると仮定すれば、現時点で250万人以上が出稼ぎ労働者として海外に滞在している計算だ。10人に1人が出稼ぎ労働者という話はかなり事実に近いと思われる。

ナガルコットの日本人妻
 4月11日。ナガルコットはカトマンズから35キロ東に位置する山村。カトマンズからバスで数時間と近く、ヒマラヤ山脈の展望台として人気スポットだ。村外れの雑貨屋でお茶を飲んで30代半ばの主人と雑談。

 なんとナガルコットには日本人女性と結婚した男性が10人もいるとのこと。人口千人足らずの鄙びた山村に10人もの日本人妻がいることになる。主人の話によると夫婦ふたり日本で稼いで、貯めたお金でナガルコットに戻りゲストハウスやレストランを開業する夫婦が多いという。

 主人は日本女性と結婚した地元の男達は日本で大いに稼げて“果報者”だと盛んに羨ましがっていた。

グルカ兵のナイフ
 カトマンズ市街を歩いているとナイフの専門店が何軒もあることに気づいた。観光客向けのようだ。グルカ兵がナイフを持って格闘している看板が目を引く。グルカ兵が携帯するククリと呼ばれる戦闘用ナイフの専門店である。

 ある店で聞くと、現在でもネパール人青年が志願して英国陸軍で軍務に就いているという。おおよそ1万人くらいがグルカ兵として海外に出ているようだ。勇猛なグルカ兵は近代英国陸軍の先鋒部隊として知られている。

 ネパールの山岳地帯の建築現場で働いている労働者は、小柄であるが頑健そのもの。50キロくらいの資材を平気で担いで梯子を登っている。英国陸軍の給与がネパール国内労働者の平均賃金の10倍近いことから元気で優秀な若者が志願するという。また軍務を一定期間全うすれば英国市民権を与えられるという特典も魅力らしい。
究極の進路選択
 他の店ではグルカ兵が活躍している写真が展示されていた。第一次世界大戦や第二次世界大戦のグルカ兵の部隊写真からフォークランド紛争での出兵などが並んでいた。最近ではイラク戦争に出征した英国王室のハリー王子を囲んだ部隊写真があった。

 店の主人によると、最近ではマレーシア等でガードマンとして働く若者も多いという。さらには英国陸軍よりも給与が高い欧米の民間軍事会社と契約を結んで、イラクやアフガンで傭兵として危険な任務に従事するネパール人も多数いるようだ。

 平和な山村で貧困生活を送るか、危険な傭兵業務に従事して短期間で一攫千金を得るかという選択肢である。

他国民のために命を懸けて戦う傭兵とは
 世界の歴史を振り返れば傭兵はいつの時代でも存在した。ローマ時代の後半になると、ローマ市民からなる正規軍団は有名無実となり、周辺属国出身の傭兵部隊によりローマ帝国の版図を守った。中世では当時貧しかったスイス人の傭兵部隊が活躍。今でもバチカン市国の法王庁はスイス人衛兵が警護している。
 帝政ロシアではコサック騎兵軍団が組織され、日露戦争でも大日本帝国陸軍を悩ませた。現在でもコサックの末裔はロシア軍特殊部隊“スペツナズ”の中核を担っている。

 フランス外人部隊も上位指揮官だけがフランス人で下士官以下外国人という近代傭兵組織である。外人部隊は途上国からの志願者が大半であるが、ソ連崩壊直後はロシア・ウクライナ・東欧出身者が激増した。

 豊かな国が国益のために、他国の貧しい若者を傭兵として自国の軍隊に組織するということが歴史の法則のようだ。残念であるがネパールの若者に究極の選択を課している根本原因である経済格差は容易に解消されそうもない。
国連平和維持軍は現代の傭兵部隊なのか
 世界平和遺産のダージリン・トイ・レール(ダージリン鉄道)の急坂に設けられたループの中に軍人慰霊碑が立っている。1947年のインド独立後に世界各地でなくなった兵士を祀る慰霊碑のようだ。見たところ、150人近くの氏名が刻まれていた。

 ダージリン鉄道の隣席のインド人観光客の男性によると、パキスタンとの国境紛争を除けば大半の犠牲者は国連軍に参加して戦った兵士である。ローカル紙にはしばしば地元出身兵士が国連平和維持活動で亡くなった追悼記事が掲載される。国連平和維持活動での待遇(給与)が高いのでインド兵は率先して志願する。現在海外展開しているインド兵は一万人以上という。

 ちなみに国連平和維持活動に従事している将兵の出身国は、2014年時点でインド、パキスタン、バングラデッシュが上位三ヶ国。エチオピア、ナイジェリア等アフリカ諸国に続きネパールが7番目である。途上国出身兵が太宗を占めている。
米国海兵隊は経済大国日本の傭兵なのであろうか
 ネパールの若者のことを考えていたら、ふとアメリカ軍の志願兵の若者を思い出した(2017年3月20日掲載の『アメリカの貧しい若者の犠牲の上に平和を享受している日本』ご参照)。

 一朝有事があれば自衛隊だけで日本の国土及び国益を守ることは不可能だ。しかし大半の日本人は、米国に基地を提供して「思いやり予算」という金銭まで提供しているのだから、アメリカ軍が日本を守ることは当然と考えていないだろうか。

 これは米国海兵隊の若者を暗に日本の傭兵とみなしている傲慢な浅慮であると憂慮する。
高野凌 (定年バックパッカー)

大地震から3年、ネパールで広がる「人身売買」の闇

Source: https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180519-00021046-forbes-int
5/19(土) 

約9000人が犠牲となった2015年4月のネパール大地震から3年が過ぎた。

世界最高峰のエベレストを抱えるヒマラヤ山脈の麓として、トレッキングなど観光産業が順調な回復を遂げている一方で、被災者の中には、トタンでできた粗末な仮設住宅での暮らしをいまだに強いられている人も少なくない。

アジアでも最貧国のひとつに数えられるネパールを襲った地震は、ただでさえ脆弱なインフラに深刻な影響を与え、被害の大きかった山間部の復興をさらに困難にした。そうした場所に暮らす人々は貧困から脱することができず、人身売買の犠牲となる女性が後を絶たないという深刻な問題も生み出している。

今年4月末、首都カトマンズから車で約3時間のシンドパルチョーク県へ取材に出かけた。震源地に近く、最も被害を受けた場所だが、険しい山肌へ張り付くように点在する集落には、所々で崩壊した建物が放置されたままになっていた。

昨年の4月にも訪れたが、状況に大きな進展はみられていない。県都チャウタラでは道路の舗装が進まず、大型の車が通るたびに土埃がもうもうと舞っている。「政府の支援は当てにならない。3年間、放っておかれたのも同じだ」住民の男性は、憤りと諦めの入り交じった表情を見せた。

被害者は年間1万人以上か

ネパールは地震後、内政の混乱により首相が次々と交替する事態となり、復興にブレーキがかかった。ネパール政府の集計では、被災した住宅の約3割が手つかずのままとなっている。地元記者は「政府が権力争いをしているなか、シンドパルチョークなどの山間部は放っておかれたのも同然だ」と話す。

復興の遅れは、女性や子どもが隣国インドに売られる人身売買の増加をもたらした。シンドパルチョーク県でも被害は深刻で、現地で人身売買の被害者救援を行う非政府組織(NGO)によると「地震後、ブローカーから『外国で稼げる安全な仕事がある』と声をかけられ、インドに連れて行かれる女性が増えている」という。
 
国連児童基金(ユニセフ)は、ネパールでは年間7000人の女性が人身売買の被害に遭っているとするが、地震後は被災した家庭の女性が貧困のために売られてしまうなど、被害者は年間1万人以上との見方もある。

被害者の女性たちは、陸路で国境管理の緩いインドに連れて行かれ、インド全体では20万人以上のネパール人女性が売春を強要されているとされる。インドを経由して、中東などに送られるケースも少なくない。
 
インド当局によると、国境で救出されたネパール人の被害者は、地震前の14年は33人だったが15年に336人に急増した。16年は501人、17年は607人と増えているが、NGO関係者は「氷山の一角に過ぎない」と指摘している。
日本人が自立支援施設建設で活躍
日本人が自立支援施設建設で活躍

そうしたなか、人身売買の被害者たちを救おうと、現地で支援活動を続けている日本人がいる。広島県出身の中原一博さん(65)だ。チベット亡命政府のあるインド北部ダラムサラに住み、NGO「ルンタプロジェクト」を立ち上げて、チベット難民への支援を20年以上続けてきた。

地震後、ネパールに住むチベット難民への支援のため現地入りした際、目の当たりにしたのが貧困とともにある人身売買の実態だった。「彼女らを助けるには、息の長い活動が必要」そう思い、生活の拠点をカトマンズに移した。

中原さんは、実際に人身売買の被害に遭った女性が立ち上げた現地のNGOを支援する形で、2016年7月より被害者の救出活動に乗り出した。2017年末までに34人の被害者救出に成功、カトマンズにあるシェルター施設に収容し、社会復帰に向けて職業訓練などを行っている。

こうした活動を続けるなかで、浮かび上がってきたのが人身売買の被害者に対する、根深い社会の偏見だった。とりわけ深刻なのが、被害女性の中でHIVに感染した人たちへ向けられる、差別的な視線だ。女性はもちろん、胎内感染で生まれてきた子どもたちを取り巻く環境は厳しく、中原さんは「人身売買という苦しみを受け、そして社会から差別されるという二重の苦しみを受けてきた」と話す。
 
国連の統計では、ネパールの感染者は約3万9000人(15年)。NGOなどは、実際は10万人以上と指摘する。政府による感染者への保護も不十分で、家族や地域から見捨てられる女性や子どももいる。そうした人たちに生きる希望を持ってもらおうと、中原さんが進めているのが、自立支援施設の建設だ。
 
中原さんは「ルンタプロジェクト」の事業として、カトマンズから車で約1時間のバグマティ県バスドルに、約500平方メートルの土地を購入。HIVに感染した女性7人と、胎内感染した子ども14人が暮らす建物の建設を進めている。

子どもたちは隣接する公立学校に通い、近くの畑を借りて農業や園芸で生計を立てる。「援助に頼るのではなく、自分たちの力で生きていくことを目指したい」そう話す中原さんの目標は、園芸や手工芸などの事業によって、3年後に施設が経済的な自立を果たすことだ。軌道に乗れば、施設に入る人を50人程度まで増やしたいと考えている。
 
目下の課題は、建設費などの資金集め。中原さんは「地震から3年がたっても貧困の問題は解決されず、その中で、HIVの感染者はますます光の当たらない存在になっている。ひとりでも多くの人に力を貸してほしい」と話し、日本からの寄付を呼びかけている。
佐藤 大介

山岳国家「ネパール」への観光。「生き神」「ポカラ」「エベレスト」など知っておくと得する旅のアドバイス[橘玲の世界投資見聞録]

Source: https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180518-00170406-dzai-bus_all
5/18(金) 、ヤフーニュースより
 3月後半からのネパール旅行で出会った若者たちのことを書いたが、今回は備忘録代わりに旅のTIPS(ヒント)を紹介しよう。

 [参考記事]
●最近日本でよく見かけるネパール人労働者たちはGDP世界172位の貧困国から来ている

 日本からカトマンドゥまでは直行便がないので、まずはどうやって行くかが問題になる。一般的なのは上海か成都で乗り継いで昆明まで行き、そこからカトマンドゥに向かうルートで、飛行距離は短いが2回乗り継ぎのため中国で1泊する必要がある。関西方面からなら、関空から広州経由でカトマンドゥに行く中国南方航空の便がある。中国以外だとソウル(仁川)乗り継ぎの大韓航空の便があり、これは当日移動ができそうだ。

 香港(キャセイパシフィック)、バンコク(タイ航空)、クアラルンプーール(マレーシア航空)経由や、LCCのエア・アジア(クアラルンプール経由)を使うこともできるが、いったん南に下るので飛行距離は長くなる。デリーを経由するルートもあり、こちらはインドとネパールをいっしょに回りたいひとにはよさそうだ。
生き神「クマリ」の館とナラヤンヒティ王宮
 2015年4月15日にカトマンドゥ近郊を震源とするマグニチュード8の大地震が起き、多くの建物が倒壊した。世界遺産に指定されたダルバール(王宮)広場の被害も甚大で、有名なシヴァ寺院やナラヤン寺院は瓦礫と化し、王宮も倒壊の恐れがあるとのことで見学できなくなった。震災から4年たっても復興はあまり進んでいないようだ。

 そのなかでほぼ唯一、見学できるのがクマリの館。クマリとはネワール仏教の生き神で、僧侶カースト・サキャの一族から初潮前の少女が選ばれる。クマリとなった少女は、王宮近くの館に住み、病気治療や願望成就の祈願を行なうのだという。9月の大祭インドラ・ジャトラでは3日間にわたってクマリを載せた山車が町じゅうを回り、邪気を払い繁栄をもたらすとされている。

 そのクマリは、ツアー客などがいると2階の窓から顔を出してくれる(ツアーガイドがチップを払うからのようだ)。幸いなことに欧米人のツアーがいっしょで、濃い化粧をし民族衣装で着飾ったクマリを見ることができた。

 カトマンドゥには、じつはもうひとつ王宮がある。国王一族が住んでいたナラヤンヒティ・ダルバールで、2008年5月28日の王政廃止にともなって博物館として一般公開されている。王室の儀式が行なわれたホールや国王の寝室、執務室などが見学でき、王宮を訪れた各国首脳の写真が飾られている(日本からは皇太子が訪問している)。

 2001年6月1日、このナラヤンヒティ王宮でネパールを揺るがす大事件が起きた。ネパール暦の第三金曜日に王族が集まる晩餐会で、ビレンドラ国王の長男の皇太子ディペンドラが銃を発砲して国王夫妻と長女、二男、国王の末弟、2人の姉を含む9人を殺害、自らも現場の外にある池の近くで頭部に銃弾を撃ち込んで倒れていたのだ(その後、皇太子は重体のまま新国王になったが2日後に息を引き取った)。

 この衝撃的な事件の公式発表は「皇太子が犯行後に自殺した」というものだが、当初から疑問の声が噴出した。10人の遺体は検視を受けることなく荼毘に付され、自殺した皇太子は右利きだったが弾は左のこめかみから入っていた。また、泥酔していたとされる皇太子の身体からはアルコールが検出されなかったなどの証言や報道が現われ、混乱に拍車をかけた。

 国民の疑惑は、晩餐会を欠席して災難を免れ、新国王に即位した王弟のギャネンドラに集まった。ギャネンドラの一人息子パラスが現場にいたものの無傷だったこともあり、インドやアメリカの諜報機関を使った「宮廷クーデター」説が公然と唱えられた。

 新国王となったギャネンドラは非常事態を宣言、翌2002年5月には下院を解散し首相を解任して内閣を側近で固め、05年には全閣僚を解任して直接統治を宣言した。この専制が国内外の強い反発を生み、06年4月に大規模な民主化運動(ロクタントラ・アンドラン)が起き、5月18日に国王の政治的特権はすべて剥奪、28日の制憲議会発足で王政は廃止されネパール王国(ゴルカ朝)は終焉した。

 この大事件の舞台となったナラヤンヒティ王宮博物館は木曜~月曜の開館(火曜・水曜休館)で、入場は午前11時から午後4時(11月~1月は午後3時)まで。
往時のネパールを堪能するなら古都パタンへ
 往時のネパールを知りたかったら、カトマンドゥから南に車で30分ほどの古都パタンに行ってみよう。パタンのダルバール(王宮)広場には16~18世紀にマッラ王朝が建てた王宮や寺院が集まり、修復中の建物はあるものの地震にもよく耐えた。

 パタンからカトマンドゥに戻る途中に、東側のルートをとればパシュパティナート、西側のルートならスワヤンプナートに立ち寄ることができる。どちらも世界遺産で、スワヤンプナートは白い巨大ストゥーパで有名な仏教寺院、パシュパティナートはガンジス川の支流で「聖なる川」とされるパグマティ川の川岸にあるヒンドゥー教徒の火葬場だ。

 今回はパシュパティナートを訪れたが、橋を挟んで上流側、ヒンドゥー寺院(シヴァ寺院)の正面にあるのが上位カーストの火葬場で、下流側が不可触民(アウトカースト)の火葬場になっている。バナラシとのちがいは、沐浴するひとの姿が見られないことだろうか。

 ヒンドゥーの文化では女性は「穢れている」とされるため、インドのレストランにはウェイトレスはいない。ネパールにも同じタブーはあるが、観光地ポカラのカフェやレストランでは女性が料理をサーブしたり、厨房で働いていた。インドよりもヒンドゥーの縛りは緩いと思ったのだが、それでもカーストによる区別(差別)は厳然とあるようだ。

 葬儀場では、「泣き女」と呼ばれるサリーを身にまとった中年女性たちが号泣する姿を見ることができる。
エベレストを見るならマウンテンフライトがおすすめ
 ネパールを訪れたからにはエベレストを見たいと思うひとも多いだろうが、ベースキャンプに行くには本格的なトレッキングの準備と最低でも4日、人気コースなら10日程度の日程の余裕が必要だ。ヒマラヤのビューポイントとして有名なナガルコットならカトマンドゥから車で2時間程度で日帰りもできるが、空気の澄んだベストシーズンは12月で、3月でも靄がかかって美しいパノラマはなかなか見られない。

 そんなときにお勧めなのはマウンテンフライトで、カトマンドゥの空港から早朝出発の便がたくさん出ている。私は市内の旅行会社で予約したのだが、空港に航空会社のブースがあるので、到着時に立ち寄って購入することもできるだろう。

 フライトは小型のプロペラ機で、2席ある窓側だけに乗客を座らせる。行きは左手、帰りは右手にヒマラヤが見える。所要1時間ほどで、コックピットも見学させてもらえる。地上6000メートルまで上がるので、かなりの確率で雄大なヒマラヤの山並みとエベレストの威容が見られるだろう。

 ポカラからは、ウルトラライトプレーンと呼ばれる超軽量動力機で高度1500メートルまで上昇し、アンナプルナ山系のマチャプチャレ(標高6993メートル)を眺めるフライトもある。ホテルで動画を見せてもらったが、これはかなり怖そうだ。

 ネパール最大の観光地であるポカラはアンナプルナへのトレッキングの拠点で、1泊2日から2週間までさまざまなトレックングコースが用意されている。出発前に準備しておけばいいのだろうが、街にはたくさんのツアー会社があるのでそこで頼むこともできる。ガイド付きの1泊2日のトレッキングで、宿泊と食事(5食)込みで2人で2万5000円ほどだった。
クレジットカードは使えないが富裕層は増加中
 最後に、今どきのネパールを紹介しよう。

 ナラヤンヒティ王宮博物館から南に下るダルバール・マルグ(王宮通り)の、アンナプルナホテルから先の一角が「カトマンドゥの六本木」ともいうべきお洒落スポット。夜、賑やかなクラブミュージックが聴こえてきたので覗いてみると、ビルの屋上につくられたモダンなレストランで、奥ではライブもできるようになっていた。

 平日だったので席は3分の1くらいしか埋まっていなかったが、私以外はみな地元の若者たちで、女性はモデルのように着飾っている(実際にモデルかもしれない)。客単価は1人2000円くらいだろうか。たいしたことないと思うかもしれないが、一食200円程度で食事できるネパールでは、これまでなら外国人しか出入りできなかった店だ。カトマンドゥでも、トレンドに敏感な裕福な家庭の子女が増えていることがわかる。

 次はSam's One Tree Cafe。1階がクラフトショップになっているオーガニック・カフェだが、オーダーを取りに来た若いウェイターからメモ用紙を渡されて戸惑った。最初は英語がわからないのだろうと思ったのだが、メモに注文を書いて渡すときの様子で耳が不自由なことに気がついた。

 ウェイターの若者は、他のスタッフとは手話で話していた。聴覚障がい者を雇っていて、スタッフも手話が使えるのかと感心したのだが、実は厨房も含め、この店はマネージャーを除く全員が聴覚障がい者で運営されていた。

 客を見ていると、いろんな反応があって面白い。

 ウェイターがメモを渡しているのは外国人で、地元の客はふつうに話しているからネパール語なら唇が読めるのだろう。スタッフの動きもごく自然なので、彼らが障がい者だと気づいていない客もいる。

 ヨーロッパ系(とりわけ女性)は、相手が耳が不自由だとわかると、まずは身振り手振りでコミュニケーションを取ろうとする。それに対して(私を含め)アジア系は、要件を紙に書いて伝えようとする。

 スタッフはみなきびきびと働いており、オーガニックの野菜をつかった焼きサンドウィッチも美味しかった。

 なお、ネパールではホテルを除きクレジットカードが使えるところがほとんどなく、停電が多く通信環境も不安定なので旅行会社でも現金払いが求められる。町中ならATMはあちこちにあるので早めに用意しておこう。

 *『地球の歩き方 ネパールとヒマラヤトレッキング』を参考にしました。


 橘 玲(たちばな あきら)

  作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ヒット。著書に『「言ってはいけない 残酷すぎる真実』(新潮新書)、『国家破産はこわくない』(講談社+α文庫)、『幸福の「資本」論 -あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』(ダイヤモンド社刊)など。最新刊は『橘玲の中国私論』の改訂文庫本『言ってはいけない中国の真実』(新潮文庫)が好評発売中。

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橘玲

外国人実習生失踪急増で農家苦悩 環境整っているのに…

Source: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180517-00010002-agrinews-soci
5/17(木)、ヤフーニュースより


高収入求め都市へ? SNS背景に
 外国人技能実習生の失踪数が急増している問題を受け、受け入れ農家らが対策に頭を悩ませている。法務省のまとめでは、2017年の外国人技能実習生の失踪者数は全体で7089人と過去最多を更新。インターネット交流サイト(SNS)の普及で情報収集が容易になり、より高い報酬の職場を求めるケースが多いとみられる。(猪塚麻紀子、尾原浩子)

 香川県坂出市の畑で、外国人技能実習生が談笑する。実習生から「パパさん」と親しげに声を掛けられるのは、木下農園の代表、木下博文さん(66)だ。

 木下さんは四つの農業法人で野菜延べ140ヘクタールなどを栽培。1995年から実習生を受け入れ、現在はカンボジアやタイ、ラオスから30人が作業する。

 同農園は、長年実習生を受け入れてきた経験を踏まえ、住まいやインターネット環境など生活面の整備の他、外食や旅行なども計画し、コミュニケーションを欠かさない。それでも16、17年にネパールとバングラデシュ出身の4人が失踪した。

 地域のリーダーである木下さん。日本語のレベルが高い実習生らを地域の他の農業法人に送り、自身は実証的に新たな国からも率先して受け入れる。実績のない新しい国では制度の理解や浸透が不十分なことが、失踪が起こりやすい背景にあるのではないかとみる。

 なぜ、失踪するのか。「もっと時給の良い所で働きませんか、とたくさん誘われる。嘘ばかりだと知っているけれど、だまされる人もいるね」と同農園で働くカンボジア出身のニーシナトさん(25)は明かす。ニーシナトさんは、誰もがスマートフォンを所有するようになり、SNSでブローカーに誘われやすくなっているとみる。

 同農園も含め県内29の農業法人が参画する監理団体「アグリ事業協同組合」は「失踪は人権侵害の事例がクローズアップされがちだが、県内の農業法人は相当配慮している。ブローカーの誘いに乗って失踪した後、相当ひどい環境で働かされているのではないか」と心配する。木下さんは「技術を伝えたい気持ちは大前提だが、実習生がいなければ経営が成り立たない現実もある。今後、失踪しない体制をどう構築するか、農家にとって切実な問題」と主張する。
国の対応期待
 長年、実習生を受け入れてきた長野県JA佐久浅間管内では、研修後にビザが残っていることから、住所が明記された在留カードを使い再入国しているケースが発覚したことがあった。同JA海外農業研修推進部局は「入国管理局にたびたび相談していた。政府の新たな対応により、失踪者が減ることに期待するしかない」と話す。

 関東の監理団体の担当者は「日本語のレベルが高い人材は都会のコンビニなど他業界に行ってしまう」と現状を嘆く。新潟県の農業法人で働くベトナム人の実習生は「農業より飲食店で働く方が環境が良いとよく聞いた。失踪に抵抗ない仲間もいる」と打ち明ける。
目立つ新興国
 失踪については、一部の劣悪な受け入れ実態が報道でクローズアップされることが多いが、法務省によると、近年はより高い報酬の職場を求め、研修期間を過ぎても日本で働きたいと失踪するケースが目立つという。

 全国農業会議所によると、失踪者を国別で見るとかつては中国が大半だったが、近年はベトナム、ミャンマー、ラオスなどが目立つ。新興国は実習生制度の趣旨が浸透していない上、想定以上に日本で言葉が通じないなど、実習環境のミスマッチが起きやすいという。

 同会議所の八山政治相談員は「SNSの浸透で最低賃金が高い都市部や他業界に実習生が流出しやすい状況にある」と背景を解説した上で「韓国に行く実習生も増え、中国は経済発展により、送り出し国から受け入れ国に変わりつつある。日本は実習生の質と数をどう担保していくかが喫緊の課題」と指摘する。
日本農業新聞

日本のおもてなしを留学生に伝授 前橋の専門学校開校6年目、入学生14倍

Source: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180517-00000012-san-l10
5/17(木) 、ヤフーニュースより

 ■ホテルや旅館就職率9割超

 増え続ける訪日外国人客(インバウンド)への対応と従業員不足に悩むホテル・旅館業界にとって、一挙両得となる学校がある。外国人留学生に2年かけ日本の「おもてなし文化」を伝授する「NIPPONおもてなし専門学校」(鈴木良幸校長、前橋市大手町)。開校6年目を迎え、当初25人だった入学生は今春、14倍の350人を超え、卒業生は県内はじめ各地のホテルや旅館に就職、昨年は高山村に高山校も開設された。どんな授業なのか、教室を訪ねた。

 ◆接客から着付けまで

 客の卓にティーカップを置く。客のどちら側から置くか、スプーンの置き位置や取っ手の向きは、出すタイミングは-。一つ一つ講師が説明し実践する。音をたてたり位置を間違えると客役の生徒や配る生徒自身からも笑い声が漏れた。

 講習は群馬ロイヤルホテル(前橋市)のレストランでも行われ、お辞儀や挨拶、電話の受け答え、ビジネスマナーや接客サービス、着物の着付けから茶道など多岐にわたる。講師は現役の旅館女将(おかみ)や元キャビンアテンダントなど、おもてなしのプロたちだ。授業は2年間。座学は日本語のほか、ホテル概論や予約を打ち込むパソコン操作など実践的だ。この春の卒業生は約133人。93%にあたる124人が就職を決め、うち88人が草津や伊香保、みなかみなどの温泉のホテルや旅館で働き、フロントや接客などで母国語と英語、日本語を駆使している。

 「東京で2年、日本語学校で学び入学しました。卒業後は日本のホテルで働きたい。将来は母国に帰ってホテルを経営したい」。ネパールから来たガイレ・ビマルさん(23)は流暢(りゅうちょう)な日本語で語った。

 ◆授業はすべて日本語

 学生数は現在2学年で586人。開学当初はネパール人が多かったが、その後、ベトナム人が増え、現在は両国が大半を占める。ほかにインドネシアやスリランカ、中国など計11カ国(昨年6月)。授業料は初年度が約70万円、2年目は約60万円と安くはなく、その分生徒たちも真剣。授業は、すべて日本語で「授業を理解できる日本語能力」は入学条件となっている。

 カリキュラムとは別にホテルなどでのアルバイトも認めており、生活費になるほか、バイト先の経営者に見そめられるケースも。就職が決まれば就労ビザも得やすいため東南アジア系の若者には人気という。みなかみ町観光協会の小野和明事務局長は「温泉宿などは慢性的人手不足に悩まされており、卒業生を雇った経営者からは『よく働き助かっている』との声が多い。外国からの観光客が増える中、専門教育を受け外国語に堪能な人材は即戦力。ありがたい」と期待する。

 ◆日本で働く夢と意欲

 学校を経営するNIPPON ACADEMYは前橋市内で日本語学校なども手がけ、理事長の清水登氏は群馬ロイヤルホテル社長でもある。「日本のおもてなし」を留学生に教え、国内のホテルや旅館に送り出すのは清水理事長の年来の構想。「訪日外国人客に対応できるよう、やる気のある外国の若者をしっかり教育している。彼らには日本で就職し長く働きたいという夢と意欲がある。日本で働けば経済的にも潤うし平和にもつながる」と語る。

 昨春、開校した姉妹校の高山校は調理コースも設けて日本料理の職人育成にも力を入れる。ただ、前橋市から離れていることもあり初年度の入学生は18人、今春は35人で、来春には卒業生が巣立つ。清水理事長は「異国で働くのは大変なこと。日本が嫌いになって帰国してしまうようなことがないよう、受け入れ側にも理解ある対応をお願いしたい」とも話している。

ネパール人の男女、エベレスト登頂回数の最多記録を更新

Source: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180516-00000039-jij_afp-int
5/16(水)、ヤフーニュースより

【AFP=時事】ネパール人登山家の男女2人が16日、共に自身が持つエベレスト登頂回数の最多記録をそれぞれ更新し、男性は22回、女性は9回という記録を打ち立てた。

 プロの山岳ガイドであるカミ・リタ・シェルパ(Kami Rita Sherpa)さん(48)と、米コネティカット州のスーパーマーケットで働くラクパ・シェルパ(Lhakpa Sherpa)さん(44)は、標高8848メートルの山頂に到達した。

 登山を手配した会社セブンサミット・トレックス(Seven Summit Treks)のミンマ・シェルパ(Mingma Sherpa)氏はAFPに対し、カミ・リタさんはネパール側から登山者7人を山頂へ案内したシェルパ(ネパール人登山ガイド)6人のうちの一人だと明らかにした。

 カミ・リタさんは20年以上もガイドを務め、他のシェルパ2人と並んでいた登頂回数21回という記録を更新した。

 カミ・リタさんがエベレストの頂上に到達したのは、商業登山隊に同伴した1994年。エベレストへの出発を控えた先月、カミ・リタさんはAFPの取材に応じ「世界記録を打ち立てるために登山を始めたのではない」「競争のためではなかった」と話していた。

 その一方、ラクパ・シェルパさんは、兄弟の話によると、チベット側からの北のルートを通って今回で9度目となる登頂を果たした。

 米国に拠点を置くラクパさんは、自身が持つ女性のエベレスト登頂回数記録を何度も更新してきた。ラクパさんに次ぐ女性登山家は、米国のメリッサ・スー・アーノット(Melissa Sue Arnot)さんで、6度登頂している。【翻訳編集】 AFPBB News

訪日前に指定病院で結核検査を…長期滞在外国人に義務化方針、ビザ発給条件に

Source: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180516-00050020-yomidr-sctch
5/16(水) 、ヤフーニュースより

 政府は、日本に長期滞在を予定するアジアなどの外国人に対し、日本指定の現地病院で、あらかじめ結核の検査を受けるよう求める方針を固めた。

 結核に罹患(りかん)していないことを証明する書類の提出を、ビザ(査証)発給の条件とする。日本を訪れた外国人の結核発症が増え、感染拡大が懸念されることから、東京五輪・パラリンピックが開催される2020年までに態勢を整える。

 現行の出入国管理法でも、結核患者の日本入国は認められていない。しかし、自己申告制のため、感染していても自覚症状がない場合は入国できてしまう。風邪や体調不良だと思いこむケースも少なくない。国際便が発着する空港などでは、体温を感知するサーモグラフィー検査も行っているが、結核患者をすべて把握することは難しかった。

 新たな運用では、日本政府が指定した現地の医療機関でエックス線検査などを受け、結核感染の有無を調べてもらうことを想定している。留学や就労などで3か月以上、日本に滞在を予定する外国人に義務付ける方針だ。

 感染していない場合は非罹患証明書を発行してもらい、ビザ申請時に提出する。感染がわかった場合は、現地で治療が終わるまで日本への入国を認めない。完治した証明書が提出されれば、ビザを発給する。早ければ年度内にも事前検査制度が導入される見通しだ。

 訪日外国人の結核発症は増えている。16年の新規登録結核患者数は1338人で、前年から174人増えた。日本で発症した外国人結核患者の8割はフィリピン、中国、ベトナム、ネパール、インドネシア、ミャンマーの6か国出身者が占める。このため、事前検査は6か国を手始めに調整し、対象国の拡大も検討する。

<インド>ネパール支援強化 インフラ整備、中国に対抗意識

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180512-00000056-mai-int
5/12(土) 、ヤフーニュースより
 【ニューデリー松井聡】南アジアでの中国の影響力拡大を懸念するインドが、親中派が政権を握るネパールとの関係強化に動いている。インドのモディ首相は11~12日、ネパールを訪問し、インドの支援による鉄道や河川の整備を通じた関係強化でオリ首相と一致。モディ氏は先月、中国の習近平国家主席と会談するなど中国との関係改善を目指す一方、南アジアで中国に対抗していく姿勢を鮮明にしている。

 「インドは、ネパールの団結や繁栄を支援する」。モディ氏は11日の首脳会談後の記者会見でこう述べ、インフラ整備支援に加え、ネパール南部のヒンズー教聖地ジャナクプルの整備への支援も表明した。ヒンズー教信者が多数を占める両国の宗教・文化的なつながりを強調し、中国との違いを示す意図があったとみられる。

 中国は、現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」を掲げ、南アジアでインフラ支援を強化。ネパールでも中国の融資で国際空港の建設が進む。

 インドは同時に中国との関係改善にも注力。先月のモディ・習両氏の会談では軍事衝突回避での協力などで一致した。だが印シンクタンクORFのラジャゴパラン氏は「両国とも南アジアでの勢力争いでは妥協できない。本質的な関係改善は容易ではない」と指摘する。

印首相、ネパール訪問 「親中政権」発足以来初

Source: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180512-00000064-san-asia
5/12(土)、ヤフーニュースより
 【ニューデリー=森浩】インドのモディ首相は11日、ネパールを訪問した。2日間の日程でオリ首相らと会談。親中国的な姿勢のオリ政権が2月に発足して以来、インド首相が訪問するのは初めてで、ネパールで中国の影響力が拡大する中、首脳間の良好な関係を構築する狙いがある。

 首都カトマンズに到着したモディ氏は近郊のヒンズー教寺院を訪問し、「この歓迎はネパールの人々がインドの人々に持つ愛情を示している」と、両国の絆の深さをアピールした。

 インドと経済的に関係が深いネパールだが、昨年5月に中国の現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」に参加。昨年末の総選挙では、親中国の色合いが濃い共産党系野党が左派連合を結成して勝利した。中国・チベット自治区からインド国境付近に至る鉄道建設構想が持ち上がっており、5月に入って中国の調査団が訪問している。

 インド側とすれば、ネパールのこれ以上の中国傾斜は避けたい意向で、4月にはインフラ整備や農業面での支援強化を表明している。ネパール側は中印の間でバランスを取り、双方から最大限の支援を引き出したい思惑がありそうだ。

ネパールと協力強化で一致=中国の浸透阻止へインド首相

Source: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180512-00000014-jij-asia
5/12(土)、ヤフーニュースより

 【ニューデリー時事】インドのモディ首相は11日、カトマンズでネパールのオリ首相と会談し、鉄道や河川の整備を通じた両国の連結性強化や農業分野での協力深化などで一致した。

 会談後の記者会見でモディ氏は「インドはネパールの繁栄を支える」と訴えた。

 オリ政権が中国主導のシルクロード経済圏構想「一帯一路」の枠組みを生かしてインフラ整備を進める方針を示す中、インドとしてはネパールとの関係強化を通じ、隣国への中国の浸透を防ぎたい考えだ。

 両首相は会談に先立ち、ネパール南部のヒンズー教聖地ジャナクプルを訪問。ともにヒンズー教徒が人口の約8割を占めるという両国の文化的なつながりを強調し、友好関係を演出した。 

駐ネパール新大使は“西郷どん”家系 本人語る

Source: https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180508-00541726-shincho-pol
5/8(火)、ヤフーニュースより

 今年1月にスタートしたNHK大河ドラマ「西郷どん」。今後の放送では、遂に西郷どんが藩命で奄美大島へ島流しにされてしまう。
 翻って、現代の東京。先月17日に“国命”を受け、奄美大島のはるか彼方、ネパールへと飛び立とうとしているのは、霞が関の“西郷どん”こと西郷正道氏(61)だ。農水省の技術系トップである技術総括審議官を勤め上げ、新たに特命全権大使を拝命した。

 実は、この正道氏、西郷隆盛の実弟で後に海軍大臣にまで上り詰めた西郷従道の曾孫に当たる。

「鷹揚だった曾祖父と違って、私なんて小心者。西郷家から受け継いだのはこの身体つきだけですよ」

 と恰幅のよい胴体を指し、ハニカんでみせるのは当のご本人だ。

「私は、生まれも育ちも東京で、鹿児島には出張で何度か行ったきり。隆盛はもちろん従道にも会ったことはありません。今でも年に一度、隆盛が自刃した9月24日にちなんで一族が集まる“二十四日会”が行われるのですが、100人近い親族の中で私なんか端の端。それでも目立つ名前で得したこともありますけれどね」

 何とも腰の低い“西郷どん”。しかし、経歴を尋ねてみれば、

「学生時代、筑波大でゾウリムシの研究にはまり、研究者になりたかったのですが、2年連続で院試に落第。それで技官として当時の農林省に就職したんです。昨年退官し、まだ私に出来ることがあればとネパール大使をお受けしました」
 ゾウリムシから技官トップ、果ては大使へと、実に西郷家らしい豪快な転身ぶり。

 さらに、一人娘の真悠子さんは女優の道を志しているのだといい、

「初回のほんの5秒間ほどですが、従道の娘・櫻子の役で『西郷どん』に出させていただいたんです。原作者の林真理子さんのサイン会で直接手紙をお渡ししたところ、オーディションのお誘いを受けたようで……」

 150年の時を経て“西郷どん”ファミリーの進軍はまだまだ続く。

「週刊新潮」2018年5月17日号 掲載

2018年5月3日木曜日

「働く留学生」がこのまちを支えている

Source: https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180502-00218511-toyo-soci
5/2(水) 、ヤフーニュースより

コンビニ、外食産業、流通……。いつの頃からか、東京で働く外国人を見かけることは日常の風景になった。特に、日本人と接する機会の多い、接客業で働く外国人の多くが留学生で、その数は増え続けている。留学生を戦力とすべく、新たな試みを行う2つの企業の現場から、働く留学生を見つめる社会の「まなざし」を探る。
 最近、居酒屋やファストフード、コンビニなど、「接客業」で働く外国人の姿を見かけることが多くなった。地方の農家や自動車工場といった「東京の日常からは見えにくい場所」ではなく、「東京の日常の真ん中」で働く外国人たちの姿。彼らの存在は、変わりゆく東京や日本の未来を象徴しているかのようだ。

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 データを見てみよう。現在、日本で働く外国人労働者の数は約128万人(2017年10月末時点、厚生労働省調査)。2008年の49万人から、ここ10年弱で、一気に2.6倍にまで増えている。地域別に見ると、東京都で働いている割合が全体の3割を超え、全都道府県でダントツの1位。隣接する神奈川、埼玉、千葉まで含めると、1都3県で全国の外国人労働者数の約45%を占める。

■学校で学びつつ、週28時間まで労働できる
 さて、彼ら外国人労働者の中でも、特に「接客業」で働く者の多くが、「留学生」であることをご存じだろうか。留学生は2017年5月時点で26.7万人。その数は5年前の16.2万人、10年前の11.8万人と比較して、やはり大幅に増えている。そのうち中国、ベトナム、ネパールなど、93%がアジア諸国出身だ。彼ら留学生は、日本語学校や専門学校、大学などで学びつつ、同時に「資格外活動」として週28時間まで労働することが認められている。
 東京に住む私個人の実感としては、留学生の存在が「接客業のアルバイト」として、日常の中で「あたりまえ」になったのは、ここ1、2年のことだ。果たしてその間、この国では何が起きていたのか。なぜ、最近になって突如として「働く留学生」が増えたのか。留学生の採用を進めていくうえで、学生側、企業側はどのような困難に直面し、どのように乗り越えようとしてきたのか。留学生の採用に現場で関わる人々に、話を聞いた。

 「弊社では、『シフトワークス』というアルバイト情報サイトを展開しているのですが、2016年頃から『人が採れない、どうしたらいいだろうか』という声を、企業側からよく聞くようになりました。その頃から、主婦やシニア層が注目され始めたのと同じように、外国人の採用にも目が向くようになってきたという流れがあります」

そう語るのは、株式会社インディバル、サービス推進本部の加藤寛康(ひろやす)さんだ。加藤さんは、昨年1月に留学生向けに特化した求人情報サイト「ニホンde バイト」を立ち上げた。サイトは日本語のほか英語、中国語、ベトナム語、韓国語など5カ国語に対応しており、日本語レベルに応じてバイトを探すこともできる。

 2年ほど前から始まった、深刻な人手不足。これが、留学生アルバイト急増の背景にあるようだ。特に居酒屋やコンビニなど、これまで日本人の若者や大学生を中心にアルバイトを集めてきた業界では、若い世代の人口減少の影響も大きいという。「ニホンdeバイト」で掲載しているアルバイトには、毎月延べ数千件の応募があり、現在もその数字は伸び続けているそうだ。
 留学生側に視点を向けると、彼らがアルバイトを見つける経路は、大きく3つに分けられる。日本語学校からの紹介、友人からの紹介、そしてウェブやフリーペーパー。宅配・運送業や工場での軽作業など、日本語が片言でもできるタイプの仕事は、日本語学校が斡旋していることが多く、「ニホンdeバイト」のような求人サイトでは、日本語をより必要とするサービス業のアルバイトを扱うことが多いという。

 求められる日本語レベルの低い順に、サービス業のアルバイトを挙げると、まずは居酒屋のキッチン、次に居酒屋のホール、そして最後にコンビニという順番になるそうだ。「コンビニは、たとえば宅配便の処理や公共料金の支払いといった多様な業務を覚えたり、スタッフ2人で回さないといけない時間帯があったり、とにかく求められるレベルが高いんです」。日本語でのコミュニケーションの必要性や業務の複雑さによって、仕事の難易度が上がっていくのである。
■ウェブからリアルへ。外国人スタッフも在籍

 「ニホンdeバイト」運営スタッフには、さまざまな国の留学生との会話に対応できるよう、20人もの外国人スタッフが在籍しているという。国籍は、ベトナム、インドネシア、中国、台湾、メキシコ、フィリピン、ネパールなど。さらに毎月数回、リアルな現場での「面接イベント」も開催しているという。「アルバイト情報サイト」という言葉のイメージよりは、だいぶ汗の匂いのする事業モデルのようだ。
「実は最初は、日本人向けサイトと同じように、ウェブで完結するビジネスだと思っていました。でも、事業を展開する中で、より踏み込んだ介在やサポートが必要だということがわかってきたんです」と加藤さんは言う。

 「大手の求人サイトにとっては、本気でやるほど大きな市場ではないかもしれません。手間やコストもかかりますから。実際、新しい事業者が、できてはなくなっていくという状況で、本当にこのビジネスが成り立つのかどうか、うちも含めて、まだ、どこも『正解』を見つけていないのではないでしょうか。だからこそ、チャンスだとも思っています」
 留学生向けのアルバイト情報サイトの利益を圧迫する要因としては、コミュニケーションや翻訳などで手間やコストがかかることに加えて、求人サイトに支払う費用を、日本人の採用に比べ低く抑えようとする企業側の姿勢もあるという。以前よりは、外国人の採用に積極的な企業も増えてきたが、いまだに外国人というだけでお断りという店も少なくはないそうだ。

 「外国人を雇う上で一番大事なのは『マインド』です。コンビニや居酒屋チェーンの本社が、外国人を積極的に採用する方針でも、現場の店長との意識のギャップがあることも多い。一緒に働く上で、日本での常識が通用しないことにイライラしたり、きちんと教育できずに放っておいたら、うまくいくものもいきません。今、留学生アルバイトに頼っている業種は少なくありませんから、雇用者側の意識を変えていくことが、とても重要だと思います」。
 留学生アルバイトを受け入れる側の姿勢の重要性は、実際に彼らを積極的に採用している企業の側からも聞くことができた。

 中国出身の金美香(きんみか)さんは、「はなの舞」などの居酒屋を全国展開するチムニー株式会社に2011年に入社。2018年2月、外国人の正社員やアルバイトを積極的に活用するために新設された、グローバル人財開発部の課長に任命された。金さん自身も、2004年に留学生として来日し、焼鳥屋などでのアルバイト経験もある。今は外国人の正社員を20人(現在は1000人中10人)、アルバイトを1000人(現在は9000人中600人)に増やすことを目標に、奔走している。
金さんはある日、現場のスタッフから、留学生との働き方の「コツ」を教えてほしいと言われたことがあるという。「コツなんてありません。愛情を持って育てようと思うかどうかが大事です。アルバイトをしている本人が『何で怒られているかわからない』と常にドキドキしている状態では、すぐに辞めてしまいます。『仕事が楽しい』と思うように育てることが大切です。そうすれば、自分の友だちを紹介してくれたり、さらに人が増えていきます」
 チムニーでもやはり、「2年前くらい」から、日本人を採用するハードルが高くなっている状態が続いているそうだ。事業の構造上、アルバイトを雇えなければ新店を出すこと自体が難しい。小規模の店舗でも、ホールとキッチンを合わせて、毎晩6人はアルバイトが必要になる。新しく採用した留学生アルバイトは、各エリアにある「教育母店」で2週間から1カ月ほどトレーニングを受け、その後、各店舗に配属される仕組みを構築した。留学生のメインの採用経路は日本語学校と専門学校で、特にベトナムは、現地で日本語学校を経営する「仲介業者」の存在が大きいという。その業者が留学生に対して、ビザの手配から、日本での学校や住まい、働き口などまで手配する。そのため、4月を中心に新しい留学生をまとめて採用することができるのだそうだ。また現在、来日しているベトナム人留学生には、2、3年前に来日した世代が呼び込んだ兄弟や友だちも多くいるという。
■課題は、卒業後の就労ビザの問題

 アルバイトが増えれば、「卒業後は正社員に」という流れも当然増えてくる。しかし金さんは、「それには課題が大きくて。就労ビザの問題です」と答えた。取材時の4月時点で、留学生アルバイトを経て、正社員の採用内定を出していた20名のうち、まだ3名しかビザが下りていない状況だという。「入管にビザが下りなかった方の再申請をしているのですが、入管はパンク状態で審査が長引いています。品川の入管に向かうバス停の前にも、長い列ができていました。一生に1度しかない入社式に出られないのは、かわいそうですよね」
 正社員として内定した方が申請しているのは専門的・技術的分野での就労ビザだ。留学ビザと異なり、いわゆる「単純労働」で働くことはできない。飲食店の接客業務は、この「単純労働」に当たるとされているため、アルバイト時代と同様の接客業務をすることはできない。従って、彼らは何らかのデスクワーク型の「専門的業務」に携わる旨を申請した上で、入管から承認を得る必要があるのだ。

 金さんによると、3月に学校を卒業した留学生たちは、7月までは留学ビザが有効だという。しかしその間、週28時間までのアルバイトは認められておらず、就労ビザが下りるまでは収入を得る道が閉ざされてしまうそうだ。今後、留学から就労へのビザ切り替えが増えていくことを考えると、「留学ビザが有効な間は、アルバイトでの就労を認める」といった見直しの検討も必要かもしれない。
 今回おふたりの話をうかがい、改めて感じたのは、深刻な人手不足の中で、「働く留学生」を「自分たちにとって都合のいい存在であってほしい」と安易に考えがちな日本企業側の傾向と、実際に彼らをアルバイトとして採用する上で直面する「それではうまくいかない」「ならばどうやったらうまくいくか」というリアルな学びの現状だ。

 加藤さんと金さんは、それぞれ自らが得た学びを、周囲の企業やスタッフに広めようと腐心しているように感じられた。「日本人が採用できないから、外国人でも採用するしかない」という企業レベルの発想。そして「単純労働は留学生などに例外的に認めるが、就労ビザでは単純労働は認めない」という国家レベルの発想。両者は違うことを言っているようで、どこか同じまなざしや論理を共有しているように思える。
 「違うけれど同じ人たち」と共生していくためには、謙虚さとリスペクトを持って、私たち自身のまなざしをみつめ直していく必要がありそうだ。当然ながら、文化も制度も自分たちの意思でつくり直せるし、いつだってつくり直していい。そのことを、忘れないようにしよう。
望月 優大 :ライター・編集者