2016年12月28日水曜日

Gochengdu ネパールのカトマンズと中国の成都が姉妹都市に

Source: http://prw.kyodonews.jp/opn/release/201612277525/

2016年12月27日、GOOGLEニュースより
AsiaNet 66989 (1675)

【成都(中国)2016年12月26日新華社=共同通信JBN】ネパールの首都カトマンズと中国の都市・成都市が正式に姉妹都市の合意を結んだ。

姉妹都市の協定はカトマンズ市長のルドラ・シン・タマン氏と成都市党委員会常務委員のタン・リアンジ氏によって成都で調印された。

この姉妹都市の関係は両国間の国民の相互理解と友好を進め、両都市間の親しい協力を強化、発展させると予想されている。

カトマンズのルドラ・シン・タマン市長は調印後、「この姉妹都市関係の考え方は、われわれ相互、特に両市の人々の絆を深める上での新たなマイルストーンである。両市は例えば旅行のプロモーション、能力開発、インフラストラクチャー、情報、通信といった多くの分野を必要に応じ、お互いに補足し合うだろう」と述べた。

同市長は、この新たな絆が経済協力と開発プロジェクトの道を開くことへの希望を表明した。

両市は特に貿易、文化、観光、教育、農業、ヘルスケア、都市計画、危機管理の分野を重視しながら平等と互恵に基づき協調して努力することで合意した。

さらに両市はハイレベルの相互訪問と市行政府間の連絡促進を強化することに合意した。

成都市党委員会常務委員のタン・リアンジ氏は「成都は科学、テクノロジー、情報とコミュニケーションの発展によって強化された経済センター、カトマンズは政治、経済、文化のハブである。われわれは今後の具体的なプロジェクトと事業協力に期待している」と述べた。

タン氏はさらに、両市は水の供給処理、エネルギー、金融と都市管理といった多くの分野で共通の関心を持っていると述べた。

両市は経済と貿易の協力を進め、お互いの経済成長のための活動を組織する。

税関の統計によると、2016年1月から10月までの成都とネパールの輸出入合計は580万米ドルに達した。輸出が486万ドル、輸入が93万ドルである。

ネパール・中国商工会議所(Nepal China Chamber of Commerce and Industry)のラジェシュ・カジ・シュレスタ会頭は新華社に「成都は非常に大きなマーケットなので、われわれには多くのビジネスチャンスがある。われわれは輸入に大きく頼っていることから貿易赤字が非常に大きい。だから、われわれは貿易、投資、観光に集中し、カトマンズだけでなく両市の利益に資する必要がある」と述べた。

成都からネパールへの輸出品は繊維、衣料、絹、絶縁ワイヤー、ケーブル、西洋薬剤で、輸入品は生皮、皮製品、ベースメタルの様々な品目、印刷、家具、衣料を含む。

また、両市は共に観光事業の促進に取り組む。両市は既にエア・チャイナと四川航空の直行便で結ばれている。現在、週12便が成都・カトマンズ間に就航している。

ネパールの観光事業起業家でNimi Travels and Toursオーナーのニラジャン・ティワリ氏は新華社に「四川省、特に成都から、極めて多くの旅行者を受け入れている。この新しい絆により、さらに多くの中国人がネパールを訪問してくれることを願っている」と語った。

同氏は、ネパールには毎年多くの外国人旅行者が訪れており、ネパールは都市管理の技術を成都から学び、成都はもてなしについてネパールから学ぶことができると述べた。

同氏は「これはお互いの文化とライフスタイルを学ぶチャンスでもある」と述べた。

ソース:Gochengdu


Nepal’s Kathmandu and China’s Chengdu Become Sister Cities

PR66989

CHENGDU, China, Dec. 26, 2016 /Xinhua=KYODO JBN/–

Nepali capital city Kathmandu and Chinese city Chengdu have formally entered
into the bond of sister cities.

An agreement to that effect was signed here by Chief of Kathmandu Metropolitan
City Rudra Singh Tamang and visiting Party Secretary of CPC Chengdu Committee
Tang Liangzhi.

The sister city relationship is expected to enhance mutual understanding and
friendship between the people of two countries and to consolidate and develop
friendly cooperation between the two cities.

"This concept of sister city relationship is another milestone in enhancing our
bilateral ties, especially among people of two cities. The two cities will
complement each other on various fields like tourism promotion, capacity
development, infrastructures and information and communications as per the
need", Rudra Singh Tamang, Chief of Kathmandu Metropolitan City said after
signing the agreement.

He expressed hope that the new bonding would pave the way for economic
cooperation and development projects.

The two cities have agreed to make concerted efforts on the basis of equality
and mutual benefit, with special focus in the areas of trade, culture, tourism,
education, agriculture, health-care, urban planning and crisis management.

The two cities have further agreed to strengthen the exchange of high-level
visits, encourage and facilitate communication between municipal governments.

Tang Liangzhi, Party Secretary of CPC Chengdu Committee said, "Chengdu is an
economic center enriched with science and technology and advancements in
information and communication while Kathmandu is a hub for politics, economics
and culture. We can be hopeful about substantial projects and bussiness
cooperation in the coming days."

Tang also mentioned that both cities have found common interest in various
areas such as water supply treatment, energy, finance and urban management.

The twin cities will promote economic and trade cooperation and organize
activities for the economic growth of each other.

Custom statistics state that from January to October 2016, the total
exportimport volume between Chengdu and Nepal reached 5.8 million US dollars,
including 4.86 million dollars in export and 930,000 dollars in import.

"Chengdu is a very big market so we have high business opportunities. Our
trading deficit is quite high as we are highly dependent upon imports. So, we
need to focus on trade, investment and tourism that can benefit not just
Kathmandu, but both the cities," Dr. Rajesh Kazi Shrestha, President of Nepal
China Chamber of Commerce and Industry told Xinhua.

The products which Chengdu exports to Nepal include textile, clothing, silks,
insulated wire, cable and western medicine while the imported products include
raw hide as well as leather ware, miscellaneous articles of base metal,
presswork, furniture and clothing.

The two cities will also work together for the promotion of tourism as they
already have direct air connectivity through Air China and Sichuan Airlines.
Currently, there are 12 flights per week flying from Chengdu to Kathmandu.

"As we receive huge number of tourists from Sichuan province, especially
Chengdu, we are hopeful that this new bonding will attract more number of
Chinese to Nepal," Nirajan Tiwari, a Nepali tourism entrepreneur and owner of
Nimi Travels and Tours told Xinhua.

Nepal can learn about the urban management techniques from Chengdu while
Chengdu can learn about hospitality from Nepal as our country welcomes large
number of foreign tourists every year, he said.

"It’s also an opportunity for learning each other’s culture and lifestyle," he
said.

Source: Gochengdu 

「出稼ぎ留学生」増加の背景 入管チェックすり抜ける手口 就労「週28時間」超え黙認

Source: http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161228-00010003-nishinpc-soci

西日本新聞 12/28(水)、ヤフーニュースより

 カウンター内で白い湯気が上がる器に手際よくタレを注ぎ、声を張る。「はい!ラーメンセット、バリカタね」。ネパール人男子留学生のチャンドさん(28)=仮名=は週4日、福岡市のラーメン店で働く。日本人に似た風貌から、店では「サトウ君」と呼ばれ、人気者だ。

 この日は午前9時から昼まで市内の日本語学校で授業を受け、午後1時半~8時半はこの店で勤務。午後10時から翌朝まではコンビニエンスストアでアルバイトをこなした。ダブルワークの月収は約20万円。母国の農村部なら平均年収の5倍に匹敵する。

 美容室で短くそろえた髪に革ジャン、最新式iPhone(アイフォーン)。普段着の彼に「苦学生」の印象はない。週末は留学生同士で集まり、飲み会を楽しんでいるという。

 「留学」ビザで認められる就労時間は週28時間までが原則だが、「いっぱいお金ためて、カトマンズにビル建てるね。お金がたまるまで日本にいたい」とチャンドさん。ビザ更新時の入国管理局のチェックを警戒し、三つの銀行の通帳を使い分けていると明かした。学校のクラス分けは成績順で「ちゃんと勉強する人のクラスと、働く人ばかりのクラスがあるよ」。彼は成績上位のクラスだという。

 「留学生の9割は28時間ルールを守れていない」。元留学生で、福岡県のネパール人団体幹部のマハトさん=仮名=は断言する。居酒屋と弁当工場、コンビニなど3カ所を掛け持ちするトリプルワークも珍しくないという。
入管のチェックをすり抜ける手口
 勉強より就労が目的とも言える「出稼ぎ留学生」が増えた一因には、現地ブローカーの存在と日本の入管の人手不足がある。

 ネパールと同様に福岡への留学者が増加するベトナム。関係者によると、現地の留学仲介業者事務所の机には、数字を書いたシール付きの携帯電話18台が並べられていた。

 数字は、分厚いファイルに個人情報をまとめた留学ビザ申請者ごとの番号と符合する。来日前、日本の入管当局が現地の申請者に直接電話をかけ、留学ビザの取得に必要な日本語能力があるか確かめてくるための対策という。

 「入管が留学希望者に電話をかけると、この携帯電話が鳴り、日本語ができる業者のスタッフが申請者に成り済まして応答する」と関係者。本格的な留学ができるほどの日本語能力がない若者が、こうした手口で入管のチェックをすり抜ける。

 入管側も、チェック態勢が十分に取れていない。法務省のある職員は、福岡入管局に着任して審査業務の忙しさに驚いた。「入管の職員数に比べて、とんでもない数の旅行客や留学生がいて審査が追いついていない」。チェックは書類審査だけのため、記入に虚偽があっても、見抜くのは容易ではないという。

 さらに、マハトさんは「日本の入管も日本語学校も雇用主も、分かった上で28時間以上の就労に目をつぶっている」と答え、言葉を継いだ。「日本人が嫌がる仕事をわれわれがやっている。厳密に28時間しか働かせなかったら、人手が足りなくなるでしょ」

 ラーメン店で働くチャンドさんは、日本への留学を決めるまで「フクオカ」の地名を聞いたことはなかった。「(留学仲介業者に)『トーキョーはビザが難しい。フクオカがいい』と勧められたよ」

 2015年10月末現在、福岡県内で働くネパール人留学生は4470人、ベトナム人留学生は3045人。いずれも、この2年で4倍近くに増えた。
取材班から 共に生き、共に働く
 街角で中国語とも韓国語とも異なるアジアの言語を耳にしたり、褐色の肌の人々を見かけたりすることが、九州でもここ数年で急に増えた。実は、その多くは旅行客ではない。

 来年1月末に厚生労働省が公表する日本の外国人労働者数(就労する留学生含む)は、初の100万人突破が確実視される。九州7県でも計5万人を超える見通しで、特にベトナム人とネパール人は過去5年間で10倍増というハイペースぶりだ。

 「いわゆる移民政策は取らない」。安倍晋三首相はそう明言する一方、原則週28時間まで就労可能な外国人留学生を2020年までに30万人に増やす計画や、外国人を企業や農家などで受け入れ、技術習得を目的に働いてもらう技能実習制度の拡充を進めてきた。

 その結果、国連が「移民」と定義する「12カ月以上居住する外国人」は増加の一途。国籍や文化の異なる民が同じ地域で共に暮らし、働く、新たな「移民時代」を日本は迎えている。

 24時間営業のコンビニで弁当が買え、オンラインショッピングで注文後すぐに商品が届く便利な暮らし。それを支える深夜労働の多くは、アルバイトの留学生が担う。建設や製造、農漁業などの現場では、3K(きつい、汚い、危険)職場を嫌う日本の若者に代わって低賃金で汗を流している実習生も少なくない。

 留学生30万人計画も実習制度も、政府の建前は「先進国日本の国際貢献」。だが、人口減と少子高齢化で人手不足が深刻化する日本社会を支えるため、「発展途上国の安価な労働力で穴埋めしたい」という本音が透けて見えないか。

 そんな政府の施策には、外国人を共に生きる生活者と捉える視点が欠落し、建前と本音のひずみが、留学生の不法就労や実習生の過酷労働の温床となっているのではないか。

 歴史的にも地理的にも文化的にも、九州はアジアから新しい風を受け入れ、地域を活性化させる力を日本中に波及させてきた。西日本新聞の新たなキャンペーン報道「新 移民時代」は、九州で暮らす外国人の実像や、彼らなしには成り立たない日本社会の現実を描く。「共生の道」を読者と一緒に考えたい。
◆ご意見や情報をお寄せください
西日本新聞「新 移民時代」取材班
imin@nishinippon-np.jp
西日本新聞社

中国とネパールが初の軍事演習 来年2月 チベット・インド牽制か

Source: http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161223-00000077-san-asia
産経新聞 12/23(金)、ヤフーニュースより

 【ニューデリー=岩田智雄】中国とネパールが来年にも、ネパールで初の合同軍事演習を行うことで基本合意したことが22日、分かった。ネパール陸軍報道官が産経新聞に明らかにした。中国にはネパールへの影響力を強め、チベットの「高度の自治」要求運動がネパールに拡大するのを抑える狙いがあるとみられ、ネパールと安全保障や経済で密接な関係を持つインドを刺激しそうだ。

 報道官は、初期段階の議論と立案が行われているところで、災害救助が含まれるとの見通しを示したが、インド紙ヒンズーは、演習は2月10日、国際テロ組織が人質を取ったとの設定で行われると報じた。今年7月にバングラデシュの首都ダッカで起きた邦人人質テロのような事件への対処を想定しているとみられる。

 ネパールでは昨年9月、新憲法が制定された際、親インドの南部住民「マデシ」が政治的権利の拡大を求めて政府への抗議運動を展開し、インドとの国境を封鎖した。ヒマラヤの内陸国ネパールは、ガソリンや日用品などの輸入の大半をインドからの物流に依存しており、昨年4月の大地震で被災した市民は物資不足に見舞われた。

 新憲法成立直後にネパール首相に就任したオリ統一共産党議長は、「インドによる非公式の国境封鎖だ」と反発し、インドの関与否定をよそにもう一つの隣の大国、中国に接近。中国は大地震後、ネパールのインフラ整備支援を加速させ、カシミール地方などの領土問題で対立し、チベット亡命政府の拠点があるインドに対抗している。

 オリ政権は今年7月、内戦時の戦争犯罪の扱いなどをめぐり、元反政府武装勢力のネパール共産党毛沢東主義派の不満を受けて退陣し、8月、毛派のダハル議長が首相に就任している。

まるで「奴隷労働」 食い物にされるベトナム人留学生は犯罪に走る

Source: http://bylines.news.yahoo.co.jp/ishimarujiro/20161222-00065783/
四畳半に4人を詰め込み家賃月3万円の都内の日本語学校の寮。撮影出井康博氏
2015年9月、大阪市生野区でベトナム人同士が金銭トラブルによるいさかいの末に3人が死傷する凄惨(せいさん)な事件があった。
「なぜベトナム人が?」と思い調べてみると、在日ベトナム人の検挙件数が近年急増していた。2015年、人口では在日外国人の7%弱に過ぎないベトナム人が、刑法犯の検挙数の4分の1強を占めてトップになっていた。
※来日外国人の刑法犯の検挙数自体は、2005年の33037件をピークに1/3以下に激減、2015年は9417件だった。
特徴的なのは、犯罪の多くに留学生が関係していることだ。ベトナム人留学生数は、2010年に5000人程度だったのが、わずか6年間で10倍以上に増えている。なぜ留学生が急増し、犯罪を多発させているのだろうか?
在日ベトナム人問題に詳しいジャーナリストの出井康博さんは、著書「ルポ ニッポン絶望工場」(講談社)の中で、来日ベトナム人の悲惨な境遇とそれを生み出す構造について詳しく報告している。
出井康博さん著「ルポ ニッポン絶望工場」(講談社)。地道に足で取材している。
出井康博さん著「ルポ ニッポン絶望工場」(講談社)。地道に足で取材している。
同書は、ベトナム人を留学生として吸引する日本側の事情に注目している。深刻な労働力不足と、少子化による日本語学校や大学の学生数の減少がそれだ。今年、定員割れした私立大学は44.5%にも及ぶ。つまり、学生減に悩む私立学校が、出稼ぎ目的で来日したいベトナム人の受け皿になり、人手不足の労働現場に吸い込まれていくのだ。
出井さんは
「福岡県に本部を持つある大学は、東京都心に持つキャンパスの学生の9割以上が留学生です。少し前までは大半が中国人でしたが、この2-3年はベトナム人が急増しています。高い学費を稼ぐために、日本人がやらなくなったコンビニ弁当の製造、宅配便の仕分け、新聞配達といった夜勤の肉体労働現場に入ることになる。悪質な日本語学校や大学、それに人手不足の企業の食い物にされ、まるで『奴隷労働』のような状態です」
と説明する。
ベトナムでは「日本に行けば一月20-30万稼げる」と勧誘する悪徳ブロ―カーがおり、留学の初期費用を150万円ほど借金してくるケースが多い。ビザを取るためには学校に通わねばならない。学校に通うためには学費をアルバイトで稼がなくてはならない。だが留学生の就業は法律で週28時間以内と決められている。この枠内で学費と生活費を稼いだ上に借金を返すのは困難である。このような環境の中、違法就業したり、学校から姿を消して不法滞在となったり、金銭を巡るトラブルで犯罪を起こしたりする者が出て来ても不思議ではない。

◆痛恨の体験

留学生に関しては私にも痛恨の体験がある。2000年前後、取材地の韓国・中国でお世話になった人たちから、日本で稼ぎたい、大学進学を目指したいという身内の留学の手助けをしばしば依頼され、保証人になったり手続きを手伝ったりするようになった。多くが吉林省や黒龍江省の裕福でない家庭の出身だった。
彼らの親には、年間50~80万円もする学費を出す経済力がないので、生活費を含めて当人が毎月12万~15万円をアルバイトで稼がなければならない。だが、どうしても授業後の晩の仕事になる。睡眠不足、疲労、学業不振、おまけに低賃金でお金はなかなかたまらない。日に日に顔色が悪くなっていくのが分かった。
そして多くが挫折して途中帰国、あるいは行方をくらまし不法滞在となった。窃盗などの犯罪に走る者も出てしまった。辛いバイトをやり抜いて大学まで卒業したのは半数にも満たなかった。安易に留学の手伝いをしたために、彼らの人生を誤らせたのではないか、と後悔している。現在のベトナム人の境遇と瓜二つである。
かつて出稼ぎ目的で来日するのは中国人が多かったが、経済成長によって収入が伸び、日本で留学費用を稼ぎながら働くのは割に合わなくなった。技術研修生も、低賃金の労働現場に魅力が薄れ、来日する中国人は減っている。代わって中国より一段貧しいベトナムやネパールの人々が、その穴埋めをするように留学して来ているのだ。
建設、町工場、農業、介護など多くの分野で人手不足が深刻になっている。だが、日本は移民や単純労働は受け入れない。貧しい国から来る留学生に、人手不足の労働現場を低賃金で穴埋めさせている現実を知りつつ、いやむしろあてにして、政府は「外国人留学生30万人計画」を進めている。同計画は安倍政権の「成長戦略」の一つで、2020年までに留学生を現在の約5万人増の30万人にする計画だ。
ベトナム人留学生の犯罪多発は、日本社会が構造的に生みだしている問題だといえる。
※出井康博(いでい・やすひろ)さんは1965年岡山県出身のジャーナリスト。『ルポ ニッポン絶望工場』(講談社)の一読をぜひお薦めしたい。
※2016年12月20日付け毎日新聞大阪版に掲載された拙稿に加筆修正したものです。

JICA、上限166億円の円借款契約調印 ネパールの物流円滑化へ同国初のトンネル建設支援

Source: http://www.logi-today.com/270735
2016年12月26日 (月)
、GOOGLEニュースより
ネパールの物流円滑化へ同国初のトンネル建設支援
空白
国際国際協力機構(JICA)は22日、ネパール初の道路トンネルを建設して物流網の円滑化を図る事業を対象に、同国政府と166億3600万円を上限とする円借款貸付契約に調印した。2022年8月のトンネル完成を目指す。
この事業は、カトマンズと主要都市、インド国境までを結ぶ幹線道路上にあるナグドゥンガ峠にトンネルを建設し、運輸交通網の円滑化を図る。貸付資金はトンネル、アクセス道路、橋梁などの建設・整備に必要な土木工事、コンサルティング・サービスに投入される。
同国は国土の8割が山岳地帯の内陸国で、人や物の移動の多くを道路に頼り、輸出入の6割を陸続きの隣国インドに依存。物資は国境のビルガンジからナラヤンガート、ムグリン、ナグドゥンガを経由し、首都カトマンズに至る道路を通って輸送され、インドとの陸上交易の6割を担う重要路線となっているが、カトマンズから15キロのところに勾配10%以上の急峻なナグドゥンガ峠(標高800-1500メートル)があり、急勾配やカーブで慢性的な交通渋滞が発生することから、年率6%のペースで交通量が増加し、物流の大きな課題となっている。
日本が支援する今回の事業は、こうした課題を抱えるナグドゥンガ峠にネパールで初の山岳道路トンネルを建設するもので、2.5キロのトンネル(2車線)を設ける計画。完成後は東方向へ30分、西方向で20分かかっているナグドゥンガ峠を通過する時間が3分の1に短縮され、人や物の移動の円滑化が期待されている。

ネパールに対する円借款に関する書簡の交換

Source: http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_004106.html
平成28年12月22日、GOOGLEニュースより


1 本22日(現地時間同日),ネパールの首都カトマンズにおいて,我が方小川正史駐ネパール大使と先方シャンタ・ラジ・スベディ・ネパール財務省次官(Mr. Shanta Raj Subedi, Secretary, Ministry of Finance, Government of Nepal)との間で,総額166億3,600万円を限度とする円借款「ナグドゥンガ・トンネル建設計画」に関する書簡の交換が行われました。
2 対象案件の概要
 ネパールは,国土の約8割が山岳地帯であるため,運輸交通(貨物・旅客)の約9割を道路に依存しています。近年の経済の拡大に伴い,年々,貨物量・旅客量とも拡大を続けている一方で,道路密度や舗装道路率は南アジアの中で最低レベルとなっており,道路ネットワークの整備の遅れが経済成長のボトルネックとなっています。
 この計画は,ネパールの首都カトマンズと主要都市を結ぶ幹線道路上にあるナグドゥンガ地域の峠にトンネルを建設し,当該区間の運輸交通網を円滑化させることにより,急増する交通需要への対応,移動時間の短縮,通行の安全性向上を図り,もって持続可能で均衡のとれた経済成長のための社会基盤・制度整備に寄与するものです。
3 供与条件
(1)金利年0.01%
(2)償還期間40年(10年の据置期間を含む。)
(3)調達条件一般アンタイド
(参考)ネパール連邦民主共和国基礎データ
 ネパールは,面積約14.7万平方キロメートル(北海道の約1.8倍),人口2,649万人(2011年ネパール中央統計局),人口1人当たりの国民総所得(GNI)730米ドル(2015年,世界銀行)。

生理中で隔離された少女、小屋の中で窒息死 ネパール

Source: http://www.afpbb.com/articles/-/3112096
 2016年12月21日、GOOGLEニュースより

【12月21日 AFP】ネパールの警察当局は19日、ヒンズー教の古い慣習に従って、生理中に小屋に閉じ込められた15歳の少女が死亡したと発表した。
 一部のヒンズー教徒は生理中の女性を不浄な存在とみなしており、今もネパールのいくつかの地域では、10年以上前から法律で禁止されているにもかかわらず、そうした女性を小屋や牛舎に閉じ込める慣習「チャウパディ(chhaupadi)」が行われている。
 現地当局の捜査官はAFPの取材に対し、少女は「体を温めようとして付けた火の煙で窒息死した」と話した。
 チャウパディの慣習では、生理中や出産後の女性は日常の家庭生活から隔離され、家族の男性との接触が遮断される。
 ネパール政府は2005年にチャウパディを禁止したが、ネパールの国家人権委員会(National Human Rights Commission)のモハナ・アンサリ(Mohna Ansari)氏は、地域の指導者たちが禁止令の実施を強化しなければならないと述べた。(c)AFP

友好の象徴 武道館に大地震の爪痕 松本市カトマンズ訪問団

Source:http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20161221/KT161220ATI090023000.php
(12月21日)、GOOGLEニュースより

 姉妹都市のネパール・カトマンズ市を訪れている松本市の公式親善訪問団(団長・菅谷昭市長)は20日、松本市民の寄付などで2002年に建てられた武道館を訪れた。15年4月の大地震で天井や壁などが壊れて使えず、現在も修理が続いている。訪問団は被害の大きさを改めて感じていた。

 武道館建設は松本市が提案し、寄付約500万円などを財源にカトマンズ市が建てた。修理中の建物を見た松本柔道協会の山口泰志会長(56)=松本市=は「練習風景を見られると思って来たので、ショックを受けた」と話した。

 武道館で練習し、今夏のブラジル・リオデジャネイロ五輪女子柔道63キロ級に出場したフプ・ラム・カトリ選手(21)とも面会した。カトリ選手は「練習を続け、2020年の東京五輪に出場したい」と話していた。

 訪問団はこの日、カトマンズ市の施設でサナタ・クマル・タパ市長代行(53)らと対面。在ネパール日本大使館主催の夕食会にも出席した。


出稼ぎ留学生(7)「28時間の壁」ジレンマ


Source:http://www.nishinippon.co.jp/feature/new_immigration_age/article/297040

2016年12月21日、GOOGLEニュースより

ネパール人留学生ラマさんの遺体が見つかった福岡市東区の博多湾



 「ネパール人は自殺しない」。昨春、そんな題名の映画が完成し、山形国際ドキュメンタリー映画祭に出品された。監督は名古屋の大学で映画製作を学ぶネパール人ラズクマルさん(33)。自身と同時期にネパールから東京に来た男子留学生が母国に婚約者を残して命を絶ったことを知り、死の真相に迫った作品だ。
 守れば困窮、破れば摘発
 「留学生の自殺に衝撃を受けた」とラズクマルさん。日本に行けば楽に稼げる-。男子留学生はそんな仲介業者の誘い文句を信じて2010年に来日したが、稼ぎは生活費や学費に消えた。婚約者を日本に呼んで一緒に暮らすことを目指し、学校は一日も休まず、睡眠時間を削って1日8時間、早朝と深夜のアルバイトに追われる中、次第に孤独を深め、心を病んでいった様を浮き彫りにした。
 福岡市東区の海岸でも14年6月、20歳前後のネパール人男性ラマさんが遺体で見つかった。ホテル経営を夢見て市内の日本語学校に通っていた。友人と暮らすアパートに財布と携帯電話を残し、数日前から行方不明になっていた。
 奨学金で母国の高校を卒業した苦学生。「頭が良くて、3カ月で日本語の日常会話ができるようになった。アルバイトの面接のこつを教えてくれた」と友人は振り返る。ラマさんの様子がおかしくなったのは亡くなる半年ほど前。元気がなくなり、言葉も少なくなった。心配した日本語学校の職員が病院に連れて行き、うつ病と診断された。
 「どっちを優先すればいいか分からなくなった…」。週28時間以内の就労制限を守り、生活を切り詰めて勉学に励む中で周囲に漏らしていた。友人の一人は「彼はルールを守って勉強頑張った。でも、お金なくて生活厳しい。真面目な子ほど病気になる」と悼んだ。
   ◇   ◇
 「おとうさん、ビョーキだったから、クシュリ(薬)ほしかった」。ガラス越しで面会室に響く片言の日本語が痛々しかった。10月末、窃盗罪などで有罪判決を受けたベトナム人の元留学生チャンさん(22)が福岡拘置所で取材に応じた。
 父親が現地通貨で150万円相当を借金してくれて来日。13年に福岡市の短大に入学したが、「28時間」を守って弁当工場で働いた結果、半年で学費が払えなくなり、退学を余儀なくされた。
 留学ビザが切れ、不法残留状態で市内の建設会社で働いた。時給800円。月10万~15万円は借金返済のため母国に送金し、生活は困窮。仕事仲間から「手伝えば(父親用に)良い薬をあげる」と誘われ、ドラッグストアを狙う窃盗団に加わってしまったという。
 政府の「留学生30万人計画」に乗じ、ネパールやベトナムなどの発展途上国では、「28時間の壁」を十分に説明せず若者を勧誘し、手数料で儲ける留学仲介業者が急増する。日本国内でも日本語学校ビジネスが活況だ。
 ただ、途上国から来た私費留学生の多くはバイトなしで勉強できる環境にない。28時間を守れば困窮し、破れば摘発対象となるリスクを負わされている。
 国会では、勉強に専念させるため就労制限を「20時間以内」に引き下げる案も出る。だが、そうなれば留学生は生活費や学費がまかなえず、増加にブレーキがかかるのは確実。留学生を貴重な戦力と頼む企業にも大きな影響が出る。
 逆に制限を緩和すれば、「出稼ぎ留学生」の増加を誘引し、政府が目をそむける「移民」の容認にも限りなく近づく。新たな「移民時代」を迎える中、そのジレンマは広がるばかりだ。
 (おわり
 ◆ご意見や情報をお寄せください
 西日本新聞「新 移民時代」取材班
 imin@nishinippon-np.jp
=2016/12/14付 西日本新聞朝刊=

2016年12月20日火曜日

過疎に悩む島に日本語学校 活力期待、設立相次ぐ 留学生のニーズと一致

Source:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161219-00010003-nishinpc-soci
西日本新聞 12/19(月)、ヤフーニュースより
 鹿児島市から南に約380キロ離れた鹿児島県奄美大島。人口約4万4千人の奄美市に昨年10月、外国人向けの日本語学校「カケハシインターナショナルスクール奄美校」が開校した。

 教室は市の中心部、8階建てビルの2階にあり、ベトナム、カンボジア、フィリピンの留学生27人が学ぶ。繁華街「屋仁川通り」は働く留学生の姿が目立つようになった。

 焼き鳥店「てっちゃん」に入ると、ベトナム人留学生、ブーズッケ・マインさん(19)が炭火で焼き鳥を焼いていた。調理場に立つのは週4回で計16時間。留学生の法定就労時間「週28時間」の範囲内だ。
過疎に悩む島と留学生のニーズが一致
 「勉強? 大丈夫。分からない日本語は店の人が教えてくれる」。島料理のゴーヤーみそも作れるようになった。店主の手島郁雄さん(62)も「人手が足りないから、とても助かっている。しかも、留学生は真面目だ」と喜ぶ。

 離島で大学生の就労体験事業に取り組む東京の企業が学校設立を呼び掛け、奄美市で税理士事務所を構える浜崎幸生さんがビル提供などで応じ、「共同運営者」となった。

 島は過疎化が進み、若者の人口は年間200人前後減り続けている。観光客も多い屋仁川通りの飲食店数は県内で鹿児島市の「天文館」に次ぐ規模だが、多くは人手不足という。

 一方、留学生にとっては東京の日本語学校と比べ学費は5~6割、家賃は3割前後で、安さが魅力。過疎に悩む島と留学生のニーズが一致したとも言える。浜崎さんは、留学生が幅広い職種に就けるよう、ビジネススクールの併設も計画している。
「物価も安い佐賀は大好き」
 九州ではここ数年、人口減が進む地方で日本語学校の設立が相次ぎ、自治体が誘致するケースもある。

 佐賀県は、専門学校を手がけるヒューマンアカデミー(東京)を誘致。昨年4月、佐賀市に全国初となる産学官連携の日本語学校が開校し、約90人が学ぶ。

 県は本年度の同校に対する補助事業に1400万円を計上。日本語教師の給与の半分を助成し、留学生にも成績上位25%に月2万円の奨学金を支給する。教室は佐賀市が所有物件を格安で貸与している。

 1期生のベトナム人、ブウ・トゥイ・チャンさん(27)は「奨学金をもらえるので助かる。物価も安い佐賀は大好き」。卒業後は県内の短大進学を目指す。

 「海外の活力を取り入れないと佐賀の発展は見込めない。高度な留学生を集めるための必要な投資だ」。県国際課の山津善直参事は強調する。

 同じ佐賀県では鳥栖市に昨年4月、福岡県小郡市では同年10月、長崎県島原市は今年10月、宮崎県都城市は2013年4月、それぞれ日本語学校が開校した。
留学生19人が生卵をぶつけられる被害
 ただ、留学生と地域との摩擦も起きている。鳥栖市で14年5月、帰宅中のネパール人留学生が生卵をぶつけられた。佐賀県警は少年3人を逮捕。この留学生が通う日本語学校は15年前に設立された老舗だが、13年12月ごろから留学生19人が同様の被害を受けていた。

 鳥栖市の外国人の人口比率は1・3%超と九州で4番目の高さ。市は、住民の外国人に対する理解を深めるため、15年2月から外国人と市民との交流事業を開催し、防災訓練や文化祭に留学生が参加するなど市民と触れ合う機会を増やす。だが、「無関心だったり、外国人を敬遠したりする人々の理解がもっと必要」と同市市民協働推進課の下川有美係長は言う。

 留学生に活性化の担い手を期待する地方。だが、昔ながらの共同体意識も強いだけに、「異民」を受け入れるハードルもまた、高い。
取材班から 共に生き、共に働く
 街角で中国語とも韓国語とも異なるアジアの言語を耳にしたり、褐色の肌の人々を見かけたりすることが、九州でもここ数年で急に増えた。実は、その多くは旅行客ではない。

 来年1月末に厚生労働省が公表する日本の外国人労働者数(就労する留学生含む)は、初の100万人突破が確実視される。九州7県でも計5万人を超える見通しで、特にベトナム人とネパール人は過去5年間で10倍増というハイペースぶりだ。

 「いわゆる移民政策は取らない」。安倍晋三首相はそう明言する一方、原則週28時間まで就労可能な外国人留学生を2020年までに30万人に増やす計画や、外国人を企業や農家などで受け入れ、技術習得を目的に働いてもらう技能実習制度の拡充を進めてきた。

 その結果、国連が「移民」と定義する「12カ月以上居住する外国人」は増加の一途。国籍や文化の異なる民が同じ地域で共に暮らし、働く、新たな「移民時代」を日本は迎えている。

 24時間営業のコンビニで弁当が買え、オンラインショッピングで注文後すぐに商品が届く便利な暮らし。それを支える深夜労働の多くは、アルバイトの留学生が担う。建設や製造、農漁業などの現場では、3K(きつい、汚い、危険)職場を嫌う日本の若者に代わって低賃金で汗を流している実習生も少なくない。

 留学生30万人計画も実習制度も、政府の建前は「先進国日本の国際貢献」。だが、人口減と少子高齢化で人手不足が深刻化する日本社会を支えるため、「発展途上国の安価な労働力で穴埋めしたい」という本音が透けて見えないか。

 そんな政府の施策には、外国人を共に生きる生活者と捉える視点が欠落し、建前と本音のひずみが、留学生の不法就労や実習生の過酷労働の温床となっているのではないか。

 歴史的にも地理的にも文化的にも、九州はアジアから新しい風を受け入れ、地域を活性化させる力を日本中に波及させてきた。西日本新聞の新たなキャンペーン報道「新 移民時代」は、九州で暮らす外国人の実像や、彼らなしには成り立たない日本社会の現実を描く。「共生の道」を読者と一緒に考えたい。
◆ご意見や情報をお寄せください
西日本新聞「新 移民時代」取材班
imin@nishinippon-np.jp
西日本新聞社

香辛料の香り、聞き慣れない音楽…都市の隅に外国人村 時に摩擦、寄り合いも

Source: http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161217-00010000-nishinpc-soci

西日本新聞 12/17(土)、ヤフーニュースより

 真新しいマンションや古びたアパートが混在する福岡市南区の住宅街。一角にある約300メートルの細い路地を夕暮れ時に歩くと、褐色の肌をした外国人と頻繁にすれ違う。

 ネパール人やベトナム人が多い。彼らが主に暮らす3棟のアパートは、住人の大半が外国人。中廊下を歩くと香辛料の香りが漂い、聞き慣れない音楽が漏れ聞こえる。日本人の住民たちは、いつしかこの通りを「国際通り」と呼ぶ。
44部屋に60人以上の外国人が住む
 築39年の2階建てアパートの1階には、「KYODAI」と書かれた看板がある。ネパール人向けの食材調達からアパートの紹介まで、何でもこなす「よろず相談所」だ。

 別の築33年の3階建てアパートは、44部屋に60人以上の外国人が住む。一室を訪ねると、洋室6畳とキッチン3畳の間取りに、ベトナム人の男性留学生2人が暮らしていた。

 洋室は布団2枚を敷くとほとんどスペースはなく、ベランダにぎっしりと干された洗濯物がカーテン代わり。昨年4月に先輩の紹介で入居したベトアンさん(24)は「古くて汚れているけど、安いのが魅力」。家賃の2万3千円を折半している。

 管理会社によると、このアパートは当初、日本人の学生や若い会社員が入居した。2000年ごろから空室が目立ち、外国人を入居させ始めた。連帯保証人も必要なく、敷金や礼金もゼロ。入居者の8割以上が日本語学校の留学生という。

 同様の現象は、福岡市東区や博多区にも広がっている。都会の片隅に、小さな異国の村ができている。
「住民からの苦情が絶えない」
 福岡市南区に住む外国人は8月現在4658人で、09年に比べ1・5倍。中国人が減る一方、ベトナム人やネパール人が増え、それぞれ千人を超えた。近くに日本語学校があるためとみられ、外国人留学生は約1400人に上る。

 急激な変化に戸惑いを隠せない日本人の住民も多い。70代の女性は「差別はいけないけど、ぞろぞろと歩いていると気味が悪い」。

 地域との摩擦も生まれている。「毎年外国人がどんどん増え、正直なところ住民からの苦情が絶えない」と地元の自治協議会の山口英則会長(75)は明かす。

 トラブルは文化や生活の違いが原因となるケースが多い。ネパールにはごみ分別の習慣がなく、清掃車が回収しないため、カラスが食い散らかしてしまう。アパートには、ネパール語でごみ分別の方法を書いた看板がある。

 共存を目指す動きもある。福岡市南区は昨年から「縁むすび事業」として、日本人住民と留学生の交流会を各地域で開いている。
ネパール人親子とのの草の根の共生が続く
 10月、ある公民館で住民約20人がベトナム人留学生16人とちらしずしやベトナム料理の揚げ春巻きを作り、食卓を囲んだ。グエンさん(23)は「これまで住民との交流はなかった。仲良くしていきたい」とほほ笑んだ。

 実は「国際通り」周辺は経済的に厳しい1人暮らしの高齢者も多い。9月には、通り沿いの共同住宅で80代の男性が孤独死した。「互いが寄り添える関係になれば、地域にとってもプラスだ」と南区役所の副島信次企画振興課長は言う。

 1人暮らしの池田トキ子さん(70)は4~5年前から毎日、国際通りに近いネパール食材店に通う。ネパール人店主の1歳の子どもをあやし、店番に立つ時もある。代わりにネパール料理を教えてもらう。

 「持ちつ持たれつで、この店が私の憩いの場。近くで暮らす住民同士、話せば理解し合える」。池田さんとネパール人親子の草の根の共生が続く。
取材班から 共に生き、共に働く
 街角で中国語とも韓国語とも異なるアジアの言語を耳にしたり、褐色の肌の人々を見かけたりすることが、九州でもここ数年で急に増えた。実は、その多くは旅行客ではない。

 来年1月末に厚生労働省が公表する日本の外国人労働者数(就労する留学生含む)は、初の100万人突破が確実視される。九州7県でも計5万人を超える見通しで、特にベトナム人とネパール人は過去5年間で10倍増というハイペースぶりだ。

 「いわゆる移民政策は取らない」。安倍晋三首相はそう明言する一方、原則週28時間まで就労可能な外国人留学生を2020年までに30万人に増やす計画や、外国人を企業や農家などで受け入れ、技術習得を目的に働いてもらう技能実習制度の拡充を進めてきた。

 その結果、国連が「移民」と定義する「12カ月以上居住する外国人」は増加の一途。国籍や文化の異なる民が同じ地域で共に暮らし、働く、新たな「移民時代」を日本は迎えている。

 24時間営業のコンビニで弁当が買え、オンラインショッピングで注文後すぐに商品が届く便利な暮らし。それを支える深夜労働の多くは、アルバイトの留学生が担う。建設や製造、農漁業などの現場では、3K(きつい、汚い、危険)職場を嫌う日本の若者に代わって低賃金で汗を流している実習生も少なくない。

 留学生30万人計画も実習制度も、政府の建前は「先進国日本の国際貢献」。だが、人口減と少子高齢化で人手不足が深刻化する日本社会を支えるため、「発展途上国の安価な労働力で穴埋めしたい」という本音が透けて見えないか。

 そんな政府の施策には、外国人を共に生きる生活者と捉える視点が欠落し、建前と本音のひずみが、留学生の不法就労や実習生の過酷労働の温床となっているのではないか。

 歴史的にも地理的にも文化的にも、九州はアジアから新しい風を受け入れ、地域を活性化させる力を日本中に波及させてきた。西日本新聞の新たなキャンペーン報道「新 移民時代」は、九州で暮らす外国人の実像や、彼らなしには成り立たない日本社会の現実を描く。「共生の道」を読者と一緒に考えたい。
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 西日本新聞「新 移民時代」取材班
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「オハヨウ」と深夜の職場へ 地方支える出稼ぎ留学生 100万人「移民」の現実

Source:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161215-00010000-nishinp-soci
西日本新聞 12/15(木)、ヤフーニュースより

 福岡県庁に近い福岡市博多区のJR吉塚駅前。11月下旬の薄暮が迫る午後5時すぎ。比較的人通りが少ない東口のロータリーを囲むように、肌の色が違う外国人の若者がぽつぽつと集まってきた。

【画像】続々とバスが着き、仕事に向かう外国人留学生ら

 たばこを吸いながら談笑したり、おにぎりやパン、バナナを頬張ったり、エナジードリンクを飲む姿も見られる。数はどんどん増え、いくつかのグループに分かれた。

 落ち葉が散る近くの公園からは、ボール遊びを楽しむ子どもたちの歓声が聞こえる。駅を利用するサラリーマンも客を待つタクシー運転手も、気に留める様子はない。「最初は気味悪かったけど、4、5年前からどんどん増えてきて、もう慣れたよ」。毎日、買い物で駅に来るという近くの男性(73)は、彼らを横目に通り過ぎた。

 薄暗くなってきた午後5時20分ごろ。1台目のマイクロバスが到着。「オハヨウ」。片言の日本語が聞こえてきた。若者たちは、吸い込まれるように乗り込み、約40席のバスはすぐ満席になった。

 2台目、3台目…。同6時半ごろまでに次々と到着したバスは8台。乗り込んだ外国人はざっと数えても200人を超えた。彼らの大半は、ネパールやベトナムから来た日本語学校に通う留学生たちだ。

 業者が用意したバスで、全員が24時間稼働している宅配便の仕分けや、コンビニ弁当、総菜の製造工場などのアルバイトに向かう。

 1台のバスにはこんな注意書きがあった。「バスの中では静かに。ルールが守れない人は契約しません」。車中、留学生たちは仮眠を取ったり、外を眺めたり、スマートフォンを触ったりして、バスに揺られた。

 渋滞の国道を抜け30分が過ぎたころ、九州自動車道の福岡インターチェンジ(IC)近くに着いた。バスのドアがゆっくりと開いた。身をかがめ、押し黙ったままの留学生たちが列をなして降りていった。
異国で深夜の荷分け
 マイクロバスが着いたのは、福岡市郊外にある大手運送会社の仕分け作業の拠点。24時間稼働の「ベース」と呼ばれている。

 タイムカードを押して、黒い安全靴を履き、ヘルメットをかぶったネパール人留学生のビカシュさん(23)=仮名=が、ベルトコンベヤーに宅配便を流し始めた。「全部知っている僕がいないと、工場は回らないから」。4千円のリーダー手当をもらい、日本人パートにも指示を出す。月に12万円を稼ぐ。

 荷物には配達地域を示す番号が振られ、その番号に沿って荷物を集積させるため、日本語が分からなくても作業ができる。「数字は世界共通語だから」。関係者はこう漏らす。

 ベースの荷物量は夜間が特に多く、日付を越えた勤務時間帯は外国人労働者が8割程度を占めるという。ネパール人が最も多く、全員が留学生だ。冷蔵庫、テレビ、自転車などが入った段ボール箱は20キロを超え、1時間に約2千個をさばく。夏場はTシャツが汗びっしょりになり、トイレで絞ってから着直す。

 深夜から翌日未明にかけ、勤務を終えた若者たちは再びバスに乗り、JR吉塚駅で降りると、福岡市中央区や南区にある自宅アパートまで自転車をこぐ。午前9時からは日本語学校が始まる。居眠りすることもあるが、ビカシュさんは「今、すごく楽しい」とはにかんだ。
「日本のお母さんね、楽させたい」
 別のバスが向かった先は、福岡県内でコンビニ弁当の製造を請け負う工場だった。

 おかず、漬物、ご飯を盛りつけるベルトコンベヤーのラインには、白いマスク、帽子、作業着姿の約40人が並ぶ。全員がネパール人という。従業員約800人のうち6割が外国人労働者で、ネパール語のバイト規則もあるという。

 リーダーを任されているネパール人のラムさん(25)=仮名=は4月の熊本地震後、日勤にもかかわらず朝まで働く日々が続いた。政府の要請を受け、コンビニ各社が被災地に届ける弁当を増やしたため、工場はフル稼働した。大量の支援物資の陰には外国人労働者の存在があった。

 ラムさんの勤務は、留学生が働ける時間「週28時間以内」を超えていた。福岡市にある日本語学校の中には、入国管理局に目を付けられることを恐れ、弁当工場からの応援要請を断った所もある。

 ラムさんが働くラインには、高齢女性の日本人パートもいる。「日本のお母さんね、楽させたい」。できるだけ業務量が少ない担当を割り振っているという。
彼らが地方の貴重な労働力に
 政府は「留学生30万人計画」を掲げ、九州7県の日本語学校は10年前の倍の64校(今年9月末、全国547校)に上る。今年1月には、違法な長時間労働を助長したとして、福岡県警が入管難民法違反容疑で同県直方市の日本語学校「JAPAN国際教育学院」を摘発。学校は3月に閉鎖され、100人近い留学生が東京や福岡に移った。

 慢性的な人手不足で、5年前から繁忙期に留学生30~40人を雇っていたが、事件後は“穴埋め”ができなくなったという。

 留学生の大半は複数のアルバイトを掛け持ちし、筑豊地区の製造業を中心に約50社が受け入れてきた。5人の留学生を雇っていた直方市のあるコンビニ経営者は言う。「募集しても日本人が来ない深夜帯に、留学生たちはまじめに働いてくれた。店長を任せたいくらいだった」

 週28時間を超える労働は「犯罪」。だが、彼らが地方の貴重な労働力となっていたこともまた、現実だ。
連載「新 移民時代」第1部
 留学生や技能実習生を含む外国人労働者の数が今年、初めて100万人を突破する見通しだ。「移民政策」を否定する政府の建前と、不可欠な労働力となっている現実―。九州の現場でそのひずみを直視し、共生の道を探る。
取材班から 共に生き、共に働く
 街角で中国語とも韓国語とも異なるアジアの言語を耳にしたり、褐色の肌の人々を見かけたりすることが、九州でもここ数年で急に増えた。実は、その多くは旅行客ではない。

 来年1月末に厚生労働省が公表する日本の外国人労働者数(就労する留学生含む)は、初の100万人突破が確実視される。九州7県でも計5万人を超える見通しで、特にベトナム人とネパール人は過去5年間で10倍増というハイペースぶりだ。

 「いわゆる移民政策は取らない」。安倍晋三首相はそう明言する一方、原則週28時間まで就労可能な外国人留学生を2020年までに30万人に増やす計画や、外国人を企業や農家などで受け入れ、技術習得を目的に働いてもらう技能実習制度の拡充を進めてきた。

 その結果、国連が「移民」と定義する「12カ月以上居住する外国人」は増加の一途。国籍や文化の異なる民が同じ地域で共に暮らし、働く、新たな「移民時代」を日本は迎えている。

 24時間営業のコンビニで弁当が買え、オンラインショッピングで注文後すぐに商品が届く便利な暮らし。それを支える深夜労働の多くは、アルバイトの留学生が担う。建設や製造、農漁業などの現場では、3K(きつい、汚い、危険)職場を嫌う日本の若者に代わって低賃金で汗を流している実習生も少なくない。

 留学生30万人計画も実習制度も、政府の建前は「先進国日本の国際貢献」。だが、人口減と少子高齢化で人手不足が深刻化する日本社会を支えるため、「発展途上国の安価な労働力で穴埋めしたい」という本音が透けて見えないか。

 そんな政府の施策には、外国人を共に生きる生活者と捉える視点が欠落し、建前と本音のひずみが、留学生の不法就労や実習生の過酷労働の温床となっているのではないか。

 歴史的にも地理的にも文化的にも、九州はアジアから新しい風を受け入れ、地域を活性化させる力を日本中に波及させてきた。西日本新聞の新たなキャンペーン報道「新 移民時代」は、九州で暮らす外国人の実像や、彼らなしには成り立たない日本社会の現実を描く。「共生の道」を読者と一緒に考えたい。

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西日本新聞「新 移民時代」取材班
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西日本新聞社

中国国際放送局、ネパール国家テレビ局と協力協定を締結

Source: http://japanese.cri.cn/2021/2016/12/20/141s256436.htm
2016-12-20、GOOGLEニュースより

 中国国際放送局(CRI)の李萍編成局次長は19日午前、ネパールの首都カトマンズで、ネパールテレビジョンのディハールゼネラルディレクターと「テレビ・チャイナ・シアター」の枠組み協定を結びました。中国の劉奇葆中国共産党中央宣伝部長とネパールのマハラ副首相兼財務相が調印式に出席しました。
 調印式の後、国家新聞出版ラジオテレビ総局国際協力局の馬黎局長、ネパールテレビジョンのダハール会長らは『CRI「テレビ・チャイナ・シアター」中国映画・ドラマのネパール地区番組推薦会』に出席しました。
 CRIの李編成局次長は「両国には長い友好の歴史があり、各分野における協力と交流も日増しに密接になっているものの、地理的な原因で、人材と文化の交流が不足している。メディアは人材と文化の交流の発展に重要な役割を果たすことができる。CRIとネパールテレビジョンが『チャイナ・シアター』を開設することは、ネパールの視聴者に内容豊かな映画・ドラマ番組を提供するだけでなく、ネパールの人々に現代中国を知るための窓口を開くことにもなる」と述べました。
 CRIは中国の対外コミュニケーションを担う国営放送局で、世界各地に向け65の言語で24時間体制で放送を行っています。ネパール語での放送は1975年6月25日に開始されています。(殷、む)

「習近平 国政運営を語る」のネパール語版が出版

Source: http://japanese.cri.cn/2021/2016/12/19/147s256395.htm

2016-12-19、GOOGLEニュースより

「習近平 国政運営を語る」のネパール語版の初版発行式が18日、ネパールの大統領府で行われました。ネパールのバンダリ大統領、中国共産党中央政治局の劉奇葆委員が発行式に出席しました。
 バンダリ大統領は、「『習近平 国政運営を語る』を通じて、ネパール国民が中国共産党や、中国の改革発展と国政運営、中国の夢と中国の文化、および世界に対する中国の見方を理解できるだろう」と述べました。
 「習近平 国政運営を語る」のネパール語版は中国外文局とネパール中国研究センターが共同で翻訳、出版したものです。この本は2014年9月から、中国語の他に、英語、フランス語、アラビア語、ロシア語など10の言語に翻訳出版されました。これまでに、100以上の国と地域で620万冊余り発行されました。(玉華、kokusei)


出稼ぎ留学生(6)挫折のち「偽装難民」

Source: http://www.nishinippon.co.jp/feature/new_immigration_age/article/296798
 2014年秋、ネパール人留学生のサントスさん(29)=仮名=は、福岡市の日本語学校を無断でやめ、新幹線で東京へ向かった。
 フルタイム就労 魅力
 3カ月後、たどり着いたのは群馬県東部。ネパール人元留学生のアパートに転がり込み、半年後、同じく精密部品工場の作業員となった。
 職場からワンルームのアパートまで10分。街路灯もまばらな農村地帯を徒歩で通勤する。あれから2年。今は福岡県内の日本語学校出身のネパール人、ケーシーさん(28)=同=と共同生活する。「このまま、できるだけ長く日本で働きたい」。日本語はたどたどしいままだ。
 サントスさんはネパールの国立大を卒業し、14年春に来日。現地の留学仲介業者に初期費用として約130万ルピー(130万円相当)を払った。
 業者は日本語学校と提携しており、内訳は学校の授業料や寮費で100万ルピー、業者の取り分が10万ルピー、残る20万ルピーは日本での当面の生活費としていったん業者が集めた。
 首都カトマンズの公務員の平均月給は約3万ルピー。130万ルピーーは相当な大金で、半分は借金で工面した。「日本ではアルバイトで月30万ルピーは稼げる」という業者の言葉を信じた。
 「本当は米国に行きたかった。でも、日本の方が手続きが簡単だった」。本人はこれ以上言葉を濁すが、日本行きの目的は勉強より就労。いわゆる「出稼ぎ留学」と言える。
 だが、当時は日本語をほとんど話せず、福岡ではなかなか仕事が見つからなかった。生活は行き詰まり、半年足らずで上京した。
 「トーキョーに行く」。実は、一部留学生にとってこの言葉は別の意味を持つ隠語だ。
   ◇   ◇
 サントスさんは上京するとすぐ、入国管理局に難民申請の手続きを取った。理由は「政治対立に巻き込まれる」と書いた。人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員、政治的意見のいずれかの理由で迫害を受ける恐れがある-。これが、難民認定の条件だ。
 日本での難民申請は10年を境に急増し、15年は過去最高の69カ国7586人。最多の1768人を占めたのがネパール人だ。ただし、認定は11カ国27人。ネパール人は2人にすぎない。
 入管難民法上、留学ビザでは原則「週28時間」しか働けないが、難民申請すれば、半年後からフルタイムで働ける特定活動ビザに変更できる。この「特権」が、こぼれ落ちた留学生を引き寄せる。
 難民申請の審査結果が出るのは半年から1年後。そこで不認定となっても異議申し立てが可能で、再審査は2~3年かかる。明らかに「正当な理由がない」と判断されるまで、異議申し立ては何度でも可能。再審査中に就職先が見つかれば就労ビザの取得もできる。
 難民申請やビザ切り替えの手続きを請け負う日本の行政書士もいる。北関東の男性行政書士は「申請はほぼ偽装。彼らにとって特定活動は『就活ビザ』感覚だ」と明かす。
 工場が多い北関東で、アジア系難民申請者は、日本人労働者が避ける「3K職場」の貴重な戦力。サントスさんとケーシーさんは借金を完済し、それぞれ100万円の蓄えもできた。
 移民政策の議論を避ける政治。難民制度の隙間を利用し、「偽装難民」としてしたたかに生きる元留学生。彼らで労働力不足を穴埋めする企業。3者の関係は、日本社会のひずみを映し出す。
 昨年、難民不認定への異議申し立ては3120人。抜け道が温存されたまま、過去最多を更新した。
 ◆ご意見や情報をお寄せください
 西日本新聞「新 移民時代」取材班
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=2016/12/13付 西日本新聞朝刊=

出稼ぎ留学生(5)突然「退学」失意の帰国

Source: http://www.nishinippon.co.jp/feature/new_immigration_age/article/296561

 学校乱立、生徒犠牲か
 通っていた福岡市内の専門学校から自主退学を迫られ、ネパール行きの片道航空券を渡された。旅費の9万2310円は、10月25日に振り込まれるアルバイト代から学校が差し引くとして、同意書に署名し、キャッシュカードを学校に預けさせられた。
 「とにかくびっくりして、訳が分からない。いきなりの自主退学はあまりにも厳しい」。自宅のあるネパール南部チトワン郡に向かう途中のネパリさんは、納得できない口調で語った。
 自主退学の理由は、10月上旬、同じ学校の友人と夜中に酒を飲み、住民からの騒音の苦情が警察を通して学校に寄せられたためだ。
 ネパリさんについて、知人はみな「授業の出席率も高く、真面目な留学生だった」と口をそろえる。
 学校側は「警察に通報されただけで退学にはならないが、今回は夜間に騒がないように再三注意したばかりにもかかわらず約束を破った。本人も親も納得し、自主退学した」と説明する。
 だが、同校の別の関係者は「こんなに軽微なケースで自主退学を迫るのはやり過ぎだ」と指摘する。実は同校の系列の日本語学校では夏から秋にかけ、留学生による器物損壊や強姦(ごうかん)致傷など事件が相次いでいた。関係者はこの点を挙げ、「警察や入国管理局から目を付けられないための見せしめではないか」と漏らした。
   ◇   ◇
 外国人向けの日本語学校や専門学校は、失踪者や事件が相次ぐと入管当局から管理能力が低い「非適正校」と見なされ、ビザの審査が一層厳しくなる。
 「適正校から非適正校に格下げされると、ビザの交付率が6~7割から3~4割に半減する。生徒が減るとビジネスが成り立たなくなるので、常に意識している」と福岡市のある日本語学校職員は言う。
 きめ細かな指導をするため、生徒数を一定の数にとどめる学校も多いが、利益優先で留学生を増やす学校もある。留学生が支払う1人当たりの費用は、日本語学校の2年間で百数十万円に上る。
 ネパリさんが通っていた学校が経営する日本語学校・専門学校の生徒数は、2014年の約1140人から今年は約1620人まで急増した。関係者は「もはや器があふれ、コントロールできない状態だ」と告発する。
 学校の中には「学級崩壊」状態も少なくない。机に突っ伏して寝る。イヤホンを使ってスマートフォンで映画観賞する。試験はカンニングが横行し、日本語が上達していない学生が満点を取ることもある-。留学生数百人が在籍する福岡市の専門学校の風景だ。
 出席数が足りないと学籍を剥奪され留学ビザを失うため、学校には出てくる。教壇に立つ教師は「彼らも勉強しに来ているわけじゃないからね」と苦笑いした。
 九州の外国人向け日本語教育機関は、07年の33校から今年は64校と、ほぼ倍増した。その中身は玉石混交。真面目に勉強するため来日する留学生がいる一方、留学ビザを取るため学校に籍を置き、就労がメインの「出稼ぎ留学生」が増える原因となっている。
 ネパリさんは学校ビジネスの犠牲者なのか-。「日本の大学に進学して、日本の会社に就職したかった。悔しい」。慌てて荷物をまとめたアパートには今も、漢字学習のプリントや日本語能力試験の問題集、パソコンの参考書などの勉強道具のほかに、学費を稼ぐために働いたバイト先の制服が残ったままだ。
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 西日本新聞「新 移民時代」取材班
 imin@nishinippon-np.jp
=2016/12/11付 西日本新聞朝刊=

出稼ぎ留学生(4)夢追いバイト掛け持ち

Source:http://www.nishinippon.co.jp/feature/new_immigration_age/article/296438

 カウンター内で白い湯気が上がる器に手際よくタレを注ぎ、声を張る。「はい!ラーメンセット、バリカタね」。ネパール人男子留学生のチャンドさん(28)=仮名=は週4日、福岡市のラーメン店で働く。日本人に似た風貌から、店では「サトウ君」と呼ばれ、人気者だ。
 「週28時間」超え黙認
 この日は午前9時から昼まで市内の日本語学校で授業を受け、午後1時半~8時半はこの店で勤務。午後10時から翌朝まではコンビニエンスストアでアルバイトをこなした。ダブルワークの月収は約20万円。母国の農村部なら平均年収の5倍に匹敵する。
 美容室で短くそろえた髪に革ジャン、最新式iPhone(アイフォーン)。普段着の彼に「苦学生」の印象はない。週末は留学生同士で集まり、飲み会を楽しんでいるという。
 「留学」ビザで認められる就労時間は週28時間までが原則だが、「いっぱいお金ためて、カトマンズにビル建てるね。お金がたまるまで日本にいたい」とチャンドさん。ビザ更新時の入国管理局のチェックを警戒し、三つの銀行の通帳を使い分けていると明かした。学校のクラス分けは成績順で「ちゃんと勉強する人のクラスと、働く人ばかりのクラスがあるよ」。彼は成績上位のクラスだという。
 「留学生の9割は28時間ルールを守れていない」。元留学生で、福岡県のネパール人団体幹部のマハトさん=仮名=は断言する。居酒屋と弁当工場、コンビニなど3カ所を掛け持ちするトリプルワークも珍しくないという。
   ◇   ◇
 勉強より就労が目的とも言える「出稼ぎ留学生」が増えた一因には、現地ブローカーの存在と日本の入管の人手不足がある。
 ネパールと同様に福岡への留学者が増加するベトナム。関係者によると、現地の留学仲介業者事務所の机には、数字を書いたシール付きの携帯電話18台が並べられていた。
 数字は、分厚いファイルに個人情報をまとめた留学ビザ申請者ごとの番号と符合する。来日前、日本の入管当局が現地の申請者に直接電話をかけ、留学ビザの取得に必要な日本語能力があるか確かめてくるための対策という。
 「入管が留学希望者に電話をかけると、この携帯電話が鳴り、日本語ができる業者のスタッフが申請者に成り済まして応答する」と関係者。本格的な留学ができるほどの日本語能力がない若者が、こうした手口で入管のチェックをすり抜ける。
 入管側も、チェック態勢が十分に取れていない。法務省のある職員は、福岡入管局に着任して審査業務の忙しさに驚いた。「入管の職員数に比べて、とんでもない数の旅行客や留学生がいて審査が追いついていない」。チェックは書類審査だけのため、記入に虚偽があっても、見抜くのは容易ではないという。
 さらに、マハトさんは「日本の入管も日本語学校も雇用主も、分かった上で28時間以上の就労に目をつぶっている」と答え、言葉を継いだ。「日本人が嫌がる仕事をわれわれがやっている。厳密に28時間しか働かせなかったら、人手が足りなくなるでしょ」
 ラーメン店で働くチャンドさんは、日本への留学を決めるまで「フクオカ」の地名を聞いたことはなかった。「(留学仲介業者に)『トーキョーはビザが難しい。フクオカがいい』と勧められたよ」
 2015年10月末現在、福岡県内で働くネパール人留学生は4470人、ベトナム人留学生は3045人。いずれも、この2年で4倍近くに増えた。
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=2016/12/10付 西日本新聞朝刊=

出稼ぎ留学生(3)過疎の島に日本語学校

Source: http://www.nishinippon.co.jp/feature/new_immigration_age/article/296276


2016年12月17日 、GOOGLEニュースより

 鹿児島市から南に約380キロ離れた鹿児島県奄美大島。人口約4万4千人の奄美市に昨年10月、外国人向けの日本語学校「カケハシインターナショナルスクール奄美校」が開校した。
 活力期待、意識の壁も
 教室は市の中心部、8階建てビルの2階にあり、ベトナム、カンボジア、フィリピンの留学生27人が学ぶ。繁華街「屋仁川通り」は働く留学生の姿が目立つようになった。
 焼き鳥店「てっちゃん」に入ると、ベトナム人留学生、ブーズッケ・マインさん(19)が炭火で焼き鳥を焼いていた。調理場に立つのは週4回で計16時間。留学生の法定就労時間「週28時間」の範囲内だ。
 「勉強? 大丈夫。分からない日本語は店の人が教えてくれる」。島料理のゴーヤーみそも作れるようになった。店主の手島郁雄さん(62)も「人手が足りないから、とても助かっている。しかも、留学生は真面目だ」と喜ぶ。
 離島で大学生の就労体験事業に取り組む東京の企業が学校設立を呼び掛け、奄美市で税理士事務所を構える浜崎幸生さんがビル提供などで応じ、「共同運営者」となった。
 島は過疎化が進み、若者の人口は年間200人前後減り続けている。観光客も多い屋仁川通りの飲食店数は県内で鹿児島市の「天文館」に次ぐ規模だが、多くは人手不足という。
 一方、留学生にとっては東京の日本語学校と比べ学費は5~6割、家賃は3割前後で、安さが魅力。過疎に悩む島と留学生のニーズが一致したとも言える。浜崎さんは、留学生が幅広い職種に就けるよう、ビジネススクールの併設も計画している。
   ◇   ◇
 九州ではここ数年、人口減が進む地方で日本語学校の設立が相次ぎ、自治体が誘致するケースもある。
 佐賀県は、専門学校を手がけるヒューマンアカデミー(東京)を誘致。昨年4月、佐賀市に全国初となる産学官連携の日本語学校が開校し、約90人が学ぶ。
 県は本年度の同校に対する補助事業に1400万円を計上。日本語教師の給与の半分を助成し、留学生にも成績上位25%に月2万円の奨学金を支給する。教室は佐賀市が所有物件を格安で貸与している。
 1期生のベトナム人、ブウ・トゥイ・チャンさん(27)は「奨学金をもらえるので助かる。物価も安い佐賀は大好き」。卒業後は県内の短大進学を目指す。
 「海外の活力を取り入れないと佐賀の発展は見込めない。高度な留学生を集めるための必要な投資だ」。県国際課の山津善直参事は強調する。
 同じ佐賀県では鳥栖市に昨年4月、福岡県小郡市では同年10月、長崎県島原市は今年10月、宮崎県都城市は2013年4月、それぞれ日本語学校が開校した。
 ただ、留学生と地域との摩擦も起きている。鳥栖市で14年5月、帰宅中のネパール人留学生が生卵をぶつけられた。佐賀県警は少年3人を逮捕。この留学生が通う日本語学校は15年前に設立された老舗だが、13年12月ごろから留学生19人が同様の被害を受けていた。
 鳥栖市の外国人の人口比率は1・3%超と九州で4番目の高さ。市は、住民の外国人に対する理解を深めるため、15年2月から外国人と市民との交流事業を開催し、防災訓練や文化祭に留学生が参加するなど市民と触れ合う機会を増やす。だが、「無関心だったり、外国人を敬遠したりする人々の理解がもっと必要」と同市市民協働推進課の下川有美係長は言う。
 留学生に活性化の担い手を期待する地方。だが、昔ながらの共同体意識も強いだけに、「異民」を受け入れるハードルもまた、高い。
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=2016/12/09付 西日本新聞朝刊=