【12月7日 AFP】ネパールの警察当局は6日、生理中の女性を不浄とみなして隔離する風習により小屋の中で21歳の女性が死亡したことを受け、義理の兄弟に当たる男の身柄を拘束したと発表した。2005年に違法化されたこの風習で逮捕者が出るのは初めてとみられる。
 ネパールでは多くの地域で月経中の女性は不浄とみなされており、辺境部の一部地域では数世紀にわたって、「チャウパディ」という慣習にのっとり、女性たちが自宅から隔離された小屋の中での就寝を強いられている。
 この慣習によって毎年、複数の女性が煙を吸い込んだり、ヘビにかまれたりするほか、動物に襲われるなどして死亡している。
 今回の事故は同国西部アチャーム(Accham)郡で発生。パルバティ・ブダ・ラワト(Parbati Buda Rawat)さん(21)は1日朝、暖を取るために付けていた火による煙が充満した小屋の中で、遺体となって発見された。
 地元警察当局のジャナク・バハドゥール・シャヒ(Janak Bahadur Shahi)氏はAFPに対し、「われわれは昨日、この女性にチャウパディ用の小屋で過ごすよう強いた件に関わった疑いで、犠牲者の義理の兄弟を取り調べのために逮捕した」と述べ、「このようなケースでは初の逮捕者だと思う」と述べた。
 もし有罪となれば、男は禁錮3か月、罰金3000ルピー(約2900円)の刑が科せられる。
 チャウパディへの反対運動に取り組む活動家ラダ・ポウデル(Radha Poudel)氏は、「警察が積極的に動いているのを目にするのは前向きに捉えるべきことで、人々にこの慣習に従うことを思いとどまらせる一助になる。だが慣習がなくなるまでの道のりは長い」と語った。
 チャウパディによる死者は今年、ラワトさんで少なくとも3人目。他の2人の女性も周辺の郡で、小屋の中で煙を吸い込み死亡したという。
 だがポウデル氏によると、多くの死亡事故が通報されておらず、通報を受けても警察が家族に同情を示すことも頻繁にある。
 チャウパディの慣習は2005年に禁止されたが、主に辺境部や同国西部などでは今も続いている。(c)AFP