Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/010f52f18e80c16648ca8e4c82d29a45f6ac3f72
あなたの夢はなんですか? 子どもの頃から、誰でも一度は問われたことがある質問ではないでしょうか。 「ぼくの夢は『地球を一つの学校にする』こと。世界中の人々が互いに学び合える場、地球を学校のような存在にすることが僕の夢です」 そう話すのは、世界201か国の人々から夢を集めて書籍化した、市川太一さんです。 【写真】8月末、岡山大学で開催された発刊1周年記念展示会の様子 本のタイトルは、『WE HAVE A DREAM 201ヵ国202人の夢×SDGs』。約500にもおよぶ本のページをめくると、201の国や地域の学生、教師、医師、活動家など202人の写真とそれぞれの夢が掲載されています。 「争いのない平和な世界をつくりたい」「次世代の子どもたちに美しい自然を残したい」「自由で平等な社会をつくりたい」「治療可能な病気で苦しむ人がいない世界にしたい」など、9歳から37歳の熱い思いがあふれています。
『夢×物語』をつくろうと思ったきっかけ
太一さんがこの本をつくる原体験のひとつには、大学生の時に参加したOne Young World(以下、OYW)が影響しています。OYWとは、通称青年版ダボス会議ともいわれる国際フォーラム。世界190か国以上で活躍する次世代リーダー達の活動を支援し、ネットワーキングしていくプラットフォームです。公募があったOYWに自ら応募し、日本代表として2014年に参加しました。 「当時、将来のことがまだはっきりしていない時で、みんなどんなことを考えているんだろう、いろいろ考え直したいなと夢崩壊していた時期でした。190か国以上の人々が集まるプログラムは、すごく衝撃的でした」 「世界中の人々が語る夢、とくに北朝鮮代表のパク・ヨンミさんのスピーチを聞いて、各国参加者が涙し、スタンディングオベーションした時、一人一人の物語には力がある、それによって救われる人がいると感じました。これが『夢×物語』をつくろうと思ったきっかけのひとつです」 「OYW参加後、自分にしかできないことをやっている人になりたいというインスピレーションを受けて帰ってきました。北朝鮮代表の子に、何でリスクがあるのにそこまでできるの?って聞いたら、わたしにしかできないことだからっていう回答があって、そこでハッとして。わたしにしかできないことをするっていう人生にしたいと思ったし、それぐらいの情熱自分もっているかなって」 夢をテーマに個人の物語を集めたいと思った時に太一さんの頭の中に浮かんだのが、夢や進路で悩んでいた高校生の時に読んだ『高校生の夢』という本です。 「47都道府県47人の夢がのっている本で、同年代の仲間と出会えた感じでした。今は夢がないけど、夢を見つけることが夢と書いている人もいて、どんな夢だとしても自信をもっていいんだと、等身大であることの重要性を感じました」と太一さん。 世界中の人々の夢を集めた、夢の本の世界版を作りたい、そんな思いが太一さんの中に芽生えました。OYWで出会った仲間からスタートし、SNSを通じ、人が人を呼び、世界中から約800以上の夢が太一さんのもとに集まってきたそうです。 「どの夢も全部、印象に残っています。夢に優劣はないので、選ぶのが大変でした。夢を送ってきてくれた人が何の仕事をしているか、どんな活動をしているかというwhat(何)よりも、なんでそれをしているかというwhy(どうして)が知りたくて、明確な理由かつ物語を書いてくれている人を選んでいきました」 「選べば選ぶほど、その人たちがそれぞれの地域でいろんなことを変えている存在で、周りに人が集まっていることかりました。何(what)をやっているかよりも、どうして(why)やっているかがある人がリーダーだなと思ったし、そういう人が世界中どこでも共通して、魅力的な人なんだなと思いました」
世界中の夢に共通するキーワード
世界各国から集まった夢一つ一つに目を通してきた太一さん。本づくりの中で実際にワード検索をして、気が付いたことがあると言います。 「よく使われている言葉がありました。掲載に選考された人たちが使っていた言葉は 『want』。shouldよりも圧倒的にwantという言葉をよく使っていました。社会はこうあるべきだとか、私たちはこうすべきだという、どこか正しそうで聞き心地のいいshouldではなくて、わたしはこうしたいというwant。そのwantが社会のために向いている人。そういう人が素敵で、周りに人が集まってくるんだなと思ったし、wantにはリーダーシップがあると思いました」 「本に掲載されている世界中の人も、夢を描くことによって、そこに人が集まり、事業を起こしたり、目の前の人の生活を変えたりしていました。ぼくはもともと口下手だし、人前でしゃべる時はあがるし、ことばにならない時もよくあります。でも自分自身のwantがあれば、おのずとそのwantを外に出せるようになると思います。wantはすでに心の中にあるから。夢の力の前に自分の力に気づいてほしいです」
夢をきっかけに気づかされる自分の力
地球をひとつの学校にするというミッションのもとつくった「WE HAVE A DREAM」は、国籍、人種、年齢、組織、世界中の境界線を越えて、世界中に広がってきています。 現在は、この本に登場するネパール、ハイチ、セーシェルの3か国の方の「希望」に焦点をあてたドキュメンタリー映像を制作しているそうです。 「地球をひとつの学校にするために、本、授業、番組などいろんな形で世界のロールモデル・アイディアとの出会いを表現していきたいというのが、今ぼくのやりたいことです。各国のリアルでネガティブな課題だけでなく、彼らがどのようにポジティブな方向へ変革しようとしているか映像を通じて見てもらえます。これも世界の誰かのロールモデルになってもらいたい思いがあります」 現在岡山県では、子どもたちが夢を育み、夢に挑戦していく経験を通して、意欲や自信といった自分を高める力を伸ばす「夢育」が進められています。太一さんは、201か国のコミュニティを活用し、岡山県の進める「夢育」にも協力をしています。 「夢を通じて、自分の力に気づいてほしいです。夢に力があるんじゃなくて、自分自身に力があるということを気付かせてくれるのが夢だと思います。夢を描くと人に伝えられるようになったり、自分自身を理解することが進んだり…。究極をたどっていくと、自分自身に力があるってことなんだと思っています」
いもとあき
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