Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/f64931493cd3696845b506e88f626c6d1be51ca1
これまで、教団関連団体のイベントへの出席について追及され、苦しい釈明を続ける山際大志郎経済再生担当大臣(53)。その山際氏と統一教会を結びつける“秘書”の存在とは。さらに取材を進めると、選挙区に居住実態がないという証言も飛び出し――。 【画像8枚】自殺した父と兄、宗教に貢ぐ母 山上容疑者の複雑な家庭環境 ***
五穀豊穣や商売繁盛を願い、江戸時代に栄えた大山詣りでは、東京・赤坂と神奈川県の大山を結んだ大山街道を多くの人が往来した。現在は国道246号として知られるその街道を行き、東京から多摩川を渡ると、かつて二子宿と呼ばれたエリアに出る。 神奈川県川崎市高津区となっているその地に、築29年の古びた3階建てのマンションが建つ。建物の片隅には「やまぎわ大志郎」と大書されたポスターが乱雑に置かれ、安倍晋三元総理が殺害される直前まで、不気味な複数の男女がそのマンションに出入りしていた。近隣住民も不審がる奇怪な人々。政治家の事務所でうごめく彼らこそ、ほかならぬ統一教会の信者だった――。 「報道を見る限り私が出席したと考えるのが自然だ」 まるで人ごとのような物言い。8月25日の会見で、統一教会関連のイベントに出席したのではないかという記者の質問に、強張った表情を見せたのは、山際大志郎経済再生担当大臣(53)。本誌(「週刊新潮」)が詳らかにした萩生田光一・自民党政調会長を始め政権与党幹部と統一教会の関係が次々と明らかになる中、いま、教会との関係について最も注視されているのが山際大臣その人である。
“勝つためにはなんでも使う”
一般にはなじみが薄いだろう山際大臣は“元獣医師”という異色の政治家だ。 1987年、神奈川県立湘南高校を卒業し、山口大学の獣医学科に進学。さらに、東京大学大学院に進み、99年に獣医学の博士号を取得している。そして、2000年に川崎市内でペットクリニックを開いた後、一念発起して02年に出馬。初めての選挙は涙を飲むも、翌年の総選挙で神奈川18区から初当選する。 地元政界関係者によれば、 「山際さんは上昇志向が一際強く、総理を目指しています。しかし、民主党へ政権交代した09年の選挙で落選すると、後援会幹部が辞任するなど地元組織が空中分解してしまった。いまは大志会という後援会があるのですが、その役員はお飾りのようなもの。要は自前の後援会を作れていないのです。そこで“勝つために使えるものはなんでも使う”山際さんは、選挙を手伝ってくれる統一教会と手を組んだといわれています」
“一発屋大臣になりたくない”
そのかいあってか、昨年の岸田政権発足時に経済再生担当大臣として念願の初入閣を果たす。当初、今回の内閣改造にあたっては所属する麻生派の麻生太郎副総裁が派内の待機組を処遇するため“山際を外せ”と岸田文雄総理に進言し、交代することが既定路線だった。 「ところが、神奈川の親分格である甘利明さんが岸田さんに直談判し、異例の再任となりました。山際さんも“一発屋大臣になりたくない”と漏らしていた。自身と統一教会について、改造前には明らかにせず、いわば“シラを切って”閣内に残ったのです」(同)
ズブズブの関係
再任後には早速、教団との関係が指摘される。13年に山際大臣の資金管理団体が統一教会の友好団体に会費を支出したことや、18年に関連団体のイベントに出席したことを自身が報道陣に認めた後も、10年、韓国で行われた天宙平和連合(UPF)主催の「国際指導者会議」に、16年にはネパールでの同会議への出席などが立て続けに報じられている。 統一教会問題に詳しいジャーナリストの鈴木エイト氏が言う。 「16年のネパールはUPFが各大陸で大規模な大会を開くにあたり、キックオフとなる大会でした。これに日本代表として招待されたのが山際大臣と山本朋広衆院議員で、二人とも統一教会とはズブズブの関係といわれています」 教団による選挙支援について山際大臣は、 「当該団体に対して、選挙支援の依頼等々をしたことはありません」 と否定しているのだが、永田町や地元では、 「山際事務所の選挙スタッフや秘書に統一教会の信者がいるといわれています」(鈴木氏)
複数の信者が最近も事務所に出入り
その実態を古い支援者が耳打ちする。 「統一教会の関連団体である世界平和連合の複数の信者が最近も山際さんの地元事務所に出入りしています。例えば、その中心人物の一人は連合の教宣局に所属し、山際さんの選挙区内の信者を集め、パーティー券を売らせたり、ビラ配りなどをさせていたのです。彼らの手引きで手伝うようになった地元信者は10人ちょっといたようです」 冒頭のマンションの1階には、地元事務所とともに山際大臣が代表を務める政党支部がおかれている。そこに複数の統一教会の信者が山際大臣の支援のために訪れていたのである。世界平和連合の教宣局に属するというその人物に聞くと、 「前は教宣局にいましたけど……。(山際氏の)集会や街頭演説があるときにお手伝いにというか、聞きに行くくらいで。事務所にも行ったことはありません」
統一教会の窓口となる秘書
だが、山際大臣を支援する近隣住民はこう証言する。 「去年の選挙前に聞いた話ですけど、信者がビラを配っていたそうで、手伝っているボランティアがぼやいていました。なんでも選挙区内の支部から信者が派遣されてくるとか。また、山際さんの政治資金パーティーでは、異様に若い20代の男女が集まってくる。“どこからそんな若い人を連れてくるんだ”と話題になっていました。それも統一教会の人じゃないかしら」 実は山際事務所内には統一教会との窓口となる人物がいる。私設秘書として勤める30代の男性だ。 「少なくとも10年ほど前から地元で活動している秘書で、山際事務所の金庫番です。世界平和連合の人物とやり取りするのは、この秘書の役割とされています」(先の支援者) ほかならぬ彼が信者ではないか、と疑いをかけられているのだという。 「昔、ある自民党関係者が本人に“統一教会員なのか”と聞くと“はい”と答えたこともありました。そこへ統一教会の担当も兼ねているので、そうした話が広まった。地元の行事に代理出席することもなく、古くからの秘書なのに公設に昇格しない。“表に出せないのはなぜなのか”と言われているのです」(同)
「プライベートなことは知らない」
山際事務所と付き合いがあり、事情を知る地元の統一教会の古参信者を直撃すると、 ――山際大臣と統一教会は関係が深いのか。 「どうなんですかね」 ――私設秘書は信者なのか。 「よく知らない。プライベートなことは知らないんで」 そうはぐらかす一方、質問を重ねていくと、大臣のことは支援していると漏らす。 「世界平和連合の活動をたまにしていて、山際先生のことは10年以上前から応援しています。(山際大臣の)国政報告会に参加した時、(私設秘書に)あいさつしたことはありますがね。山際先生自身は信者じゃないですよ」 大臣は教会員でないと断言するも、秘書に関してはなぜか「知らない」と言うばかりなのだ。 その山際事務所には公設と私設をあわせ10名ほどの秘書が働いている。とりわけ大臣と深い関係を結んでいるのが、この私設秘書だ。 山際大臣が代表を務める自民党神奈川県第18選挙区支部の2020年の政治資金収支報告書を確認すると、その支出に、「家賃」として、月に44万円が川崎市内の会社に支払われていることがわかる。その会社の代表は件の私設秘書。すなわち、冒頭で紹介した地元事務所と政党支部が入るマンションの所有者は秘書の会社だったのだ。
居住実態がない疑惑も
さる不動産業者によれば、 「3階建てのそのマンションは1階部分が事務所と政党支部になっています。2階と3階は一般人が住む居住部分で家賃は1室8万円程度。約170平方メートルの1階は、大部分が駐車場と倉庫で、これで44万円は高い。入り組んだ路地に立地しており、相場としては20万円前後が妥当です」 このマンションの土地と建物を秘書の会社が購入したのは15年。以来、相場を大幅に上回る家賃が毎月、党支部から振り込まれていることになる。この支部の収入の多くは自民党本部からの寄付によるもの。その原資は政党交付金、つまり税金である。 「支払先が秘書の会社であること自体は違法ではありませんが、政党交付金が使われているのですから、不自然なお金の使い方は控えるべきです」 とは政治資金に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授。 「また、相場より高い金額の家賃の支払先が選挙区内の企業であるなら、秘書の会社でも公職選挙法で定められる寄付の禁止に抵触する可能性があります」 法律違反も指摘される中、さらに不可解なのは、山際大臣が16年に7千万円強で土地を購入し、翌年に新築した選挙区内、川崎市宮前区の2階建て一軒家の表札がこの秘書の会社名になっていることだ。自宅近隣住民が憤る。 「4年ほど前、山際さんと奥さんが“ここに住んで子どもも地元の学校に通わせます”とあいさつに来られました。ただ、こちらに住んだことは一度もなく、ずっと空き家のままです。山際さんの秘書に質したら、“先生は都内の議員宿舎、奥さんとお子さんは埼玉に住んでいます”と言うんです。じゃあ、なぜここに家を建てたのか」
「屋上でバーベキュー」
選挙区に居住実態がない上、不気味なことが起きている、と住民が続ける。 「たまに派手なスポーツカーが何台も乗り付けてきて、オジサンたちが自宅の屋上でバーベキューをやっているんですよ。しかも、スポットライトみたいなので夜空をパーッと照射するんです。それこそ何かの宗教じゃないかと気味が悪くて。つい2週間前も来ましたね」 まさか、統一教会の信者なのだろうか。 「ここは雨の日も雪の日も警官が24時間、家の前に立っていますが、そういう人が来る時は警官も黙認しています。やはり表札の会社が絡んでいるのではと思っています」(同) 無人の家に警官が24時間立ち番とは税金のムダ遣いも甚しい。 カルト教団と地元軽視の大臣をつないだ疑惑の秘書。その秘書の会社に支払われる高額家賃。そして、その会社と一体化する大臣。家賃の余剰分はどこに消えているのか……。 一連の疑惑を山際大臣と当の私設秘書に聞こうとするも、取材に応じず。大臣の事務所からは書面でこう回答があった。 「(秘書が信者かは)報道が過熱していることに鑑み、あえて本人にも確認した上で、ご指摘の事実はないと回答いたします。(地元の支援者は)確認をしていないことから、ご質問の宗教の信者がいるのか否かはわかりません」 家賃問題については、 「政治活動を行う上で最適の場所を選択し支部を置いています。家賃は不動産管理会社が適正に設定し計算した金額を支払っています」 しかし、この不動産管理会社とはマンションの所有者である秘書の会社のこと。 支持率急落で断末魔の岸田政権をさらなる瀬戸際に追い込むのはカルトの“密接交際者”、すなわち、この大臣となりそうだ。 「週刊新潮」2022年9月8日号 掲載
新潮社
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