Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/d98d0cf591220d41b712fc9c7b9ace9000ba566e
配信、ヤフーニュースより
新型コロナで収入が減る中でも、母国にいる家族のため、毎月送金する外国人たち。ミナミにある海外送金所で、様々な人間模様を取材しました。
「6万円ですね」 送金先は、ベネズエラに住む家族。両親や6人の兄弟、その子ども達など10人以上の生活を日本から支えています。大阪の製造会社で働いているルーゴ・ミッチェルさん(43)。ここしばらく、家族が大変な状況だったと話します。 「ママとお兄ちゃん、コロナで病気した。3カ月ぐらい、すごく大変だった」 ルーゴさん自身、新型コロナの影響で収入が下がったそうですが、家族を支えるため、送金所に足を運び続けています。 「ファミリーもママも、ちょっと大変。でも(お金を送って)気持ちを伝えるから、それが大事なこと」
大阪・ミナミの雑居ビルを地下に降りたところにある小さな海外送金所、『キョウダイ レミッタンス』。店の名前は、日本語の『きょうだい』から来ています。その名の通り、店には親身になってくれるフレンドリーなスタッフがいます。 「今はどうですか、ミャンマーは?」(スタッフ) 「静かになったけどまだ大丈夫じゃない」(利用客) 「少しまし?」(スタッフ) 銀行よりも安い手数料で、世界中のほとんどの国に早くお金を送ることができるため、コロナ禍でも訪れる人があとをたちません。
朝一番にやってきたこの男性。インドネシアのバリ島から2年前に日本に来た、シンボ・グデ・ヨシヒデさん。両親と、学生の妹をサポートしています。この日は15万円を送りました。 「毎月送っていらっしゃる?」(記者) 「そうですね。バリ島も今のところ、すごく大変なことになっています」 「コロナは大丈夫だけど、仕事がすごく・・・バリ島は観光地なのでお客さんも来ないし、すごく大変なことになっています」
シンボさんの父親は観光案内をしていたため、新型コロナで仕事が激減。ホテルのフロントで働いているシンボさんは、自分の給料が減った時でも、毎月決まった額を送るようにしています。 「急に(送る額が)変わったら、ちょっと向こう(家族)の方が・・・やばいことになってるし。今のところは全部(大変さは)一緒じゃないですか。世界のどこでも、コロナのせいですね」
こちらは、ネパール出身のデパク・パラジュリさん(41)。これまで毎月家族に送金していましたが、コロナの影響で回数が減りました。 「今は2、3ヵ月に1回ぐらいです。次はいつ(送金に)来られるか分かりません。2ヵ月後ぐらいになるかな」
デパクさんは8年前から、難波でインド料理店を営んでいます。度重なる緊急事態宣言のため、アルコール類が提供できず、店も早めに閉めるため、深刻な影響を受けています 「レストランは、大きな打撃を受けました。今年の売り上げは、これまでより6割から7割も減ってしまいました。観光客が来なかったら、商売が成り立ちません」
収入が大きく減り、前ほど送金できなくなったと話すデパクさん。ネパールで暮らす4歳の息子には、もう1年半近く会えていません。 「(コロナが収束したら)ネパールに戻って、家族や息子に会いたいです」 「早く会いたいですよね」 「そうですね」
厚生労働省によると、去年10月末の時点で、日本で働く外国人労働者は約172万人。そのうち、特に『宿泊業』や『飲食・サービス業』に就く人は大きな打撃を受けました。ここ、大阪・ミナミの『キョウダイ レミッタンス』に送金に来る人は、コロナ前と比べると、半分以上減ったそうです。 「お客さんも仕事失っている方々もいらっしゃるし、自分の国も大変、家族も大変だけど、自分も大変なので、なんとか生きているような様子がわかります」(キョウダイ・なんば支店 ナレンドラ・バスネット支店長)
送金所の常連だというこの女性。フィリピン出身の園田スーサンさん(59)です。この日は1万円を送金。薬代などに使うといいます。 「お姉さん病気になってから、ほとんど(毎日)来ています。」
姉妹の中でも一番仲がよかったという姉のテーシーさんが、新型コロナに感染。一時は命が危ないと言われていました。 「コロナかかってこれ最初。それでこうなって、薬が(効いて)・・・これ危なかった。肺炎。(肺が)真っ白」 「(兄弟で)みんな協力して、お姉さんの命が助かるように支えていたんです」
実は去年3月、ABCテレビで取材していたスーサンさん。当時働いていたホテルでは仕事が減ってしまったため、今は別のホテルでハウスキーピングの仕事をしています。去年秋、長男に双子が誕生し、スーサンさんは3人の孫のおばあちゃんになりました。新型コロナで職を失ってしまった長男など、スーサンさんは、フィリピンにいる20人近くの家族を、1人で支えています。 「コロナの時も毎月みんな仕事がないから、少しずつでも。いっぱいいるねん!家族のことは大事にしてあげるために、がんばらないとダメ」
送金に来るのは、外国人だけではありません。大阪でレントゲン技師をしている、山下欽三さん(68)。ネパールへの支援活動を行っています。この日送ったのは、15万円。約30人の子ども達の半年分の奨学金です。
支援活動のきっかけは33年前。初めて訪れたネパールで見かけた、ある女の子でした。 「“この子はどうしてここにいるんだ”というのが、ずっと頭の中から離れなくて。それで聞いたら、貧乏で学校に行けない。これはなんとかしないといけないなと思って」(山下欽三さん) それから33年間、山下さん自分の給料や、有志から募ったお金で学校を建てるなど支援活動を続け、女の子をはじめ、これまで3000人近くをサポートしてきました。
毎年ネパールに足を運んでいましたが、新型コロナでこの2年は、行くことができていません。 「すごく(子ども達に)会いたいです。会いたいけど仕方ないですね。こればっかりはね。ここでお金を送って、奨学金だけ閉ざさないように。子どもは地球の未来なので、何とかサポートしたいなと」
送金先を、ネパールにいる女性とテレビ電話で確認する、高木美佳さん(50)。この日は2万円を送金しました。実は高木さん、ネパールでは、ちょっと知られた存在なんだそうです。
『スンダリ・ミカ』として、ネパールで歌手として活躍していた高木さん。旅行で訪れたネパールの音楽や人柄に惹かれ、17年間をネパールで過ごしました。4年前に帰国し、いまは清掃や語学学校での仕事をかけもちしています。生活費に余裕ができると、6年前の地震で被害が大きかった地域に支援金を送っています。 「できる限りのことをしてあげて、“今はこれだけだけど、また(お金を)送るからね”と言った方が、何もしないよりは気が楽になるというか」(高木さん) 「とても感謝しています。金額の問題ではなく、遠く離れていても思い出して、こうやって送ってくれていることが嬉しいです」(送金先のネパールの女性)
先日、ネパールから送られてきた動画です。高木さんが送ったお金は米やマスクを買うために使われ、生活に困る人ら約20世帯に配られました。 「お金って額じゃなく、気持ちを送る唯一の手段かな」(高木さん) 「これからもできる限りは?」(記者) 「まずは自分の収入で生活できるということはベースで、それよりも多めのお金がある時には、何かの形でという風には思ってますけど」(高木さん)
今は直接会えないけど、できる支援を、できる限りしたい。きょうも、海外に住む大切な人を支えるため、送金所に足を運ぶ人たちがいます。
ABCテレビ
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