Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/1c4dfcb6e49fa7b3791cfde735a8f42b98bb144a
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が世界各地へ拡大し、終息の兆しが見えない中、国際観光都市マカオでも状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは5月31日午後5時(現地時間、以下同)から週に一度の定例記者会見を開催。同日までマカオの市中における新型コロナの感染確認は輸入性または輸入関連性事案のみで、市中における感染伝播事案は出現していない。市中感染確認例は無症状感染者を含めて428日連続ゼロとなった。輸入性事案は6日連続ゼロ。 これまでの累計感染確認者(患者)数は51人で、49人が域外からの輸入性、2人が輸入関連性事案。院内感染、死亡例ともゼロを維持している。 目下、入院患者数はゼロで、患者49人が治癒し退院済み。コロアン島にある公共衛生臨床センター(新型コロナ指定医療機関)において患者1人(5月16日に輸入性無症状再陽性として新規感染確認されたネパールからの入境者)が治療を受けているほか、高リスク地域からの入境者10人が医学観察(隔離検疫)中。加えて、31日時点で1280人が政府指定ホテルで隔離検疫中。 マカオでは、外地からの新型コロナ流入防止を目的とした厳格な入境制限は維持されているが、マカオ及び中国本土における状況が落ち着いてきたことを受け、昨年7月中旬から両地間の往来制限に関して緩和が進んでいる。外国人の入境禁止措置も継続中(3月16日からマカオで発給された中国ビザを利用して中国本土を訪れた場合の再入境は措置の対象外に)。中国本土との往来制限緩和後も市中感染は出現しておらず、各種防疫措置が機能しているといえる。 マカオでは、2月9日から高リスク群を対象とした新型コロナワクチンの接種がスタートした。その後、同月22日から接種対象が全マカオ居民(マカオ居民IDカード保有者)へ、3月9日からマカオで就労する海外労働者やマカオの学校に通う非居民の学生らへ、4月9日からは海外労働やの家族、領事職員、就労ビザが切れたものの帰国できず滞在している人など上記以外の合法的常住者(過去6ヶ月内の過半をマカオに滞在した上で条件を満たした場合)へも拡大されている。現在、マカオで使われているワクチンは中国医薬集団(シノファーム)製の不活化ワクチン(中国製)と中国の復星医薬が代理となるドイツ・ビオンテック製のmRNAワクチン「Comirnaty」(ドイツ製)の2種。 31日午後4時までの累計ワクチン接種回数は17万3404回で、接種人数は10万8989人。内訳は、1回目の接種を済ませた人が4万3870人、2回目の接種を済ませた人が6万5119人。 ワクチン接種後の異常については、累計で751件報告されており、めまいや微熱など軽微な事案が748件、重大な事案が3件。 マカオ政府はシノファーム製、ビオンテック製に加え、英国アストラゼネカのアデノウイルスベクターワクチン(生産地:米国)の計150万本を確保済み。アストラゼネカ製のワクチンについては、現状の接種の進行状況と2種のワクチンの在庫及び供給予定を鑑み、年内の供給を見合わせることを発表済み。 なお、ワクチン接種はあくまで希望制であり、在庫がある状況下において複数のワクチンの中から自由に選択できるとされている。これまでのところ、シノファーム製が84%とのこと。接種費用はマカオ居民、マカオで就労する海外労働者、マカオの学校に通う学生は無償、その他は1回あたり250マカオパタカ(日本円換算:約3300円)となる。 マカオ政府が確保したワクチンはいずれも2回接種が必要なものだが、マカオの総人口は約68万人のため、充足しているといえる。 マカオ政府社会文化庁の歐陽瑜長官はこの日の会見で、新型コロナワクチンの接種が自分自身と家族を護るもっとも有効的な方法であり、免疫の壁を機能させ、より多くの人の安全を保障するためにも、市民に対して積極的に接種を検討するよう促した。近日はワクチン接種予約者数が1日あたり7300~8600人と大幅上昇しており、これまでのピークを迎えていることも明らかにした。マカオ政府は接種率向上に向けて、ワクチン2回接種を条件に防疫措置上の優遇策(大規模イベント等の参加者に対するPCR検査陰性証明提出の一部免除等)を発表したほか、大規模接種ステーションの開設や、接種対応医療機関の拡充、予約なしでの受け付け、大学や大企業等への出張接種展開などの策を講じている。 また、近日マカオに近い広東省の広州市、仏山市、深セン市で市中感染が再出現していることを受け、政府として緊急性や必要性の有無にかかわらず流行地域を訪れないよう強く求めた。 このほか、マカオの3つの総合病院において、原因不明の発熱がある受診者に対して新型コロナPCR検査を実施することも発表された。マカオは人口密度が高く、もし市中感染例が出現した場合の伝播速度が速いとみられるため、昨今の周辺地域の状況を鑑みての措置と説明。市民に対して気を緩めずに防疫対策を維持してほしいと呼びかけた。
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