Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/c5e884a37ed5770112968cdef12be2555c88563b
新型コロナウイルス感染拡大の影響が日本で生活する外国人に重くのしかかる中、埼玉県ふじみ野市のNPO法人「ふじみの国際交流センター」では、ネパールやフィリピン、ベトナムなどから訪れた外国人にボランティアが日本語を指導している。ボランティアらは「自立の基本は日本語。わかるようになると解決できることが多い」と外国人らを励ます。【鷲頭彰子】 ◇利用者年間2500人 4月22日、センターでは10人ほどの外国人が学んでいた。「畳って知ってる? 日本の家にあって、こんな形で」。ボランティアは紙に絵を描き、1対1で教えた。介護の技能実習生として来日したベトナム国籍のフォワンティー・ハーさん(23)は「日本語能力試験の3級を目指している」と笑顔で話した。 県内の在留外国人は年々増加しており、2020年6月末時点で県人口の2・68%にあたる19万6537人。国籍は約160カ国・地域と幅広く、中国、ベトナム、フィリピンの順に多い。 センターは、自宅で学習塾を開いていた理事長の石井ナナエさん(73)が87年に大井町(現・ふじみ野市)の公民館で日本語教室を開いたのが始まりだ。3人の子が海外に行った際、現地で親切にしてもらい、「日本に来た外国人にも親切にしたい」と始めた。A4判のチラシに中国語、フランス語、ドイツ語などで「日本語教室」「無料」と書き、公民館への地図を添えて道端で外国人に配った。徐々に生徒は増えた。 97年には埼玉大の研究者と共同で、東武東上線上福岡駅近くにセンターを設立。2人で毎月5万円ずつ出し合い、家賃などの経費に充てた。00年にNPO法人になり、正会員や賛助会員からの月3000円の会費と、行政から委託を受けた生活相談業務費などで家賃14万円をまかなう。利用する外国人は年間約2500人に上る。 石井さんは30年以上の活動の中で、生活面でも外国人と深く関わってきた。夫から暴力を受けても母国に帰れない女性と一緒に、夫に「彼女はあなたしか頼れない」と説得に行ったり、健康保険のない妊婦のために病院を探し回ったりしたこともあった。 一番思い出深いのは、約20年前にイランから出稼ぎに来ていた男性のことだという。職場で「臭い」「国に帰れ」などといじめを受け、同郷の仲間から違法薬物販売の誘いも受けたが、断った。帰国する際、たどたどしい日本語でこう言った。「心が揺れたが、日本語を一生懸命教えてくれた石井さんが悲しむだろうと思った」 コロナ禍の昨年以降、収入が激減した外国人が「今のうちに日本語を勉強したい」と来るようになった。「日本語を覚え、どんな仕事でも真面目にこなすことで信頼を得る。それが日本での在留資格につながる」と石井さん。「ここに来た人たちはみんな良い子。私の大事な大事な友達」と目を細めた。 同センターでは賛助会員を募るほか、外国人の子供たちへの学用品寄付も受け付けている。問い合わせは同センター(049・256・4290)。
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