2024年1月15日月曜日

「ネパールの次は岡山」…築100年校舎を子ども図書館に

 Source:https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20231215-OYO1T50034/


 今年8月にオープンした「子ども図書館ほたる」(岡山県赤磐市)が親子連れなどから人気を集めている。100年以上前に建てられた小学校の校舎を活用し、建築やアートなど特色ある本が並ぶ。設立した大槻順一郎さん(74)は長年、ネパールの子どものために寄付を募って図書館を建ててきた。大槻さんは「子どもたちが自分で選んだ本を、自由に読める環境が大切」と語る。(岡さくら)
「冒険と好奇心」「デザイン」などのジャンルで集められた本などが並ぶ館内(岡山県赤磐市で)

 温かみのある木製の本棚、天井からつるされた揺れるイス、子どもの秘密基地のようなドーム型の小屋――。木造2階建ての館内は、来館者がリラックスして本の世界を楽しめる空間が広がっている。訪れた親子が興味のある本を手に取り、読み聞かせをするなど穏やかな時間を過ごしていた。

[PR]「本を読めば知らない世界や国を旅することができる」と語る大槻さん(岡山県赤磐市で)

 子ども図書館ほたるは、1910年に建てられた旧赤坂尋常高等小学校の建物が使われている。建物は8年ほど前に大槻さんが購入し、 格天井ごうてんじょう など当時の建築の趣を残したまま、外装を修繕するなど手入れをしてきた。2018年には国の登録有形文化財になった。100年以上前に建てられた小学校を改修した「子ども図書館ほたる」(岡山県赤磐市で)

 所蔵する本は約3000冊。唯一無二の図書館をつくろうと、▽アート・クラフト▽デザイン▽暮らし・インテリア▽植物・エクステリア▽建築▽冒険と好奇心▽絵本――の七つの分野に絞って集められた。貴重な洋書や専門書も多く、大人も楽しめる蔵書がそろっている。長女(5)と訪れた赤磐市の会社員女性(31)は「子どもにとって色んな言語や分野の本に触れるチャンスになっていて、何度も通いたい」と笑顔で話した。
海外で10館手がけ



 「本が自分の人生を変えてくれた。子どもたちにもそんな本を見つけてほしい」と語る大槻さんは、中学生の頃に作家・小田実の旅行記「何でも見てやろう」を読み、外国の価値観に衝撃を受けたという。21歳頃にカナダに移り住むと、1988年に生活雑貨の製造販売会社「アクシス」(岡山市北区)を創業してからも海外を飛び回り、現在まで50か国以上を訪れた。

 ネパールに図書館を建てるきっかけは、2013年に登山へ行ったときだった。山岳ガイドから「僕の村の小学校には図書館がない」と聞き、「10年で10館を建てよう」と決意したという。

 登山の仲間や知人に寄付を募り、14年11月に1館目が完成。現地で資材を組み立てたり、本を集めたりするのは、村の人がボランティアで手伝ってくれた。完成時には現地のセレモニーに招かれたといい、「ネパール語はほとんど分からなかったが、子どもや教員全員が感激する気持ちが伝わってきて感動した」と振り返る。その後も毎年各地に図書館を建て、今年の春に10館目を達成。「誰かの役に立とうとは考えず、自分が楽しいと思ってやってきたこと」と控えめに語る。
来館、県外からも



 子ども図書館ほたるの設立は、20年6月頃から準備を始めた。当時、建築家・安藤忠雄氏が設計した「こども本の森 中之島」(大阪市)を紹介する新聞記事を読み、「海外の次は、岡山に図書館を建てたい」と感じたという。

 開館から4か月が過ぎた。週末には親子連れでにぎわい、富山県など県外から足を運ぶ人も少なくない。大槻さんは「子どもたちにとって気軽に足を運べる居場所となり、好奇心を刺激されるたくさんの本と出会ってほしい」と願う。

 入館無料で、本の貸し出しは行っていない。大人だけの入館も可能。開館時間は午前11時~午後4時。休館日は日、月、火曜日。問い合わせは同館の公式ホームページやインスタグラム(kodomohotaru)などで受け付けている。

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