Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/88c4c0af06e6e47c932403a7924dbbad0627d7bc
ドーハで今ホットなラーメン店がある。三原理絵さん(46、東京都)が総料理長を務める「ニンジャ(忍者)ラーメン」だ。 2021年6月に一号店がオープンし、昨年9月に二号店、そして今年11月には三号店がオープンする。557人の在カタール邦人(2022年10月)はエネルギー関連企業の駐在員が多く、個人ビジネスで生活する三原さんは稀少な存在である。 イスラム教国のカタールではその戒律に従い、飲食店でも豚肉やアルコールなどの使用は禁じられ、ハラル食材を使用しなければならない。同店でも「日本の味」を追求しながらイスラムの食文化に合わせた「ハラルラーメン」を提供している。 一号店はホテルビルの地上階にあり、ドーハはどこの屋内施設も冷房が効いていて、ラーメンを食べるのには快適な空間だ。 ランチ時間に初めて訪れた時はほぼ満席で、ヒジャブを被ったイスラム教徒の女性客が目立っていた。一緒に行ったネパール人の友人がマレーシア人とインドネシア人の女性客に言葉で気づいたので、「日本のラーメンは好きですか?」と聞くと、「シンガポールやマレーシアにも店があってよく食べていた」と満面の笑みだ。
暑さの中でも毎日食べやすくあっさり
同店のラーメンメニューは4種類。スープはチキンをベースとしたしょうゆ、塩、鶏白湯(パイタン)とヴィーガン向けの味噌。 「友達と一緒に来て宗教上の理由で食べられない人がいるような状況は避けたかった」と動物性食品を一切使用しないメニューも作った。日本製の麺には卵が使用されておらず、スープのタレは日本でハラルしょうゆを使用するメーカーに特注している。 三原さんはカタール入りしてから一号店オープンまでの2カ月間、カタールでどの国の出身者にも70点といわれる味を探るため、市内のレストランを連日食べ歩いた。 40度を超える暑さの日もあるドーハでは、こってりよりもあっさりを目指した。 「ドバイだったら様々な観光客が来るので、こってり系や変わった味も出せる。でも、ドーハでは週一、二回食べに来る常連客が多い。特に外国から出稼ぎに来ている人々の健康を守って笑顔で帰宅していただきたい」と三原さんは話す。
多国籍な客層とスタッフ
主な客層はフィリピン人が5割、カタール人が3割、マレーシア人が2割、その他の国の人々が入れ替わりで訪れる。スタッフの国籍はフィリピン、パキスタン、スリランカが各3割、1割がインドやケニア等である。ユニフォームは忍者をイメージした黒い作務衣で、店がオープンした時にはコロナで黒いマスクを着用するようになり、その姿がニンジャの覆面と思われたのでそのまま着用している。 店のオーナーは友人のカタール人銀行員アリ・マラフィ(45)さんで、パートナーはカタールで別事業を展開するパレスチナ系ドイツ人のビラル・タハさん(40)。 タハさんは以前訪日した時、ハラルラーメンが食べられなかったことが悔しく、マラフィさんと自分たちでラーメン店を作ろうと決意した。
2016年に日本からパキスタンのカラチに移住して和食店を経営していた三原さんのもとに日本に住んだことのあるカタール総領事が通っていた。総領事は「友人がカタールでラーメン店を開けたいのに日本から誰も来てくれない」と三原さんに声をかけた。 三原さんの夢は、パキスタンの女性向けにクリニックを設けてそこで「寺子屋」を開くことだ。今、その夢が現実になり始めている。 「カタールで出稼ぎして、収入は夢の実現に充てたい」 来年から2026年にかけてはサウジアラビアやUAE、EUにも出店を予定している。「いずれは日本にも出店したい」と前進し続ける。(取材:大浦智子、続く)
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