Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/d0a188eab1e110ea82f12c3f4e282344d65bc0b2
【列島エイリアンズ】 これまで3回に渡り、外国籍の子供の不就学問題について触れ、背景の1つとして、行政の不備があることも指摘してきた。 【写真】クルド人少年が煙幕を出す花火を投げつける事件が起きた大型商業施設 これらの記事がネット配信されるとさまざまな反論が寄せられたが、そのほとんどは、集約するとこういう主張である。 「なぜ日本が外国人のためにそこまでしてやらなくてはならないのか」 確かに日本での納税歴が長くない来日したばかりの外国人の子息に対し、無償教育やそのアクセスビリティを公金で用意することは一見、ムダのようにも思える。しかし、だからといって問題を放置するのは、単眼的かつ近視眼的と言わざるを得ない。 さて、ここから筆者が、人権や外国人差別について論じ始めると思われたならそれは見当違いだ。 外国籍の子供も、その一部は日本にとどまり、やがて日本で成人となる。そうなれば、好むと好まざるとに関わらず、われわれと生産と消費をともにする日本社会の構成員の1人となるのだ。つまり、外国籍の子供の不就学を放置すれば、日本社会の教育水準を低下させることになる。 そして、それ以上に危惧されるのが、不就学による孤立が、日本社会との隔絶につながることだ。本連載でも以前に紹介したバブル期に親とともに来日した「出稼ぎ1・5世」はその先例だ。彼らのうち、学校や社会になじめなかった者たちは、その後の就職もままならなかった。その結果、生活の糧を得るために違法な手段に頼らざるを得ない者たちも一部だが存在する。さらに同じ境遇の者たちで徒党を組み、日本社会から「外国人不良グループ」と呼ばれる存在になった例もある。 今後、移民や外国人労働者が増えていくことは、日本の人口動態を見れば必然だ。そうしたなか、言葉も常識も通用しない隣人を増やしたくないのであれば、外国籍の子供に教育を受けてもらうためのコストは、必要経費として割り切るしかない。極論すれば、現在は対象が国民のみに限られている教育の義務を、外国人にまで拡大することも必要かもしれない。 =この項おわり 1都3県に住む外国人は120万人とも言われ、東京は文字通りの多民族都市だ。ところが、多文化共生が進むロンドンやニューヨークと比べると、東京在住外国人たちはそれぞれ出身地別のコミュニティーのなかで生活していることが多い。中韓はもとより、ベトナム、ネパール、クルド系など無数の「異邦」が形成されているイメージだ。その境界をまたぎ歩き、東京に散在する異邦を垣間見ていく。境界の向こうでは、われわれもまたエイリアン(異邦人)という意味を込めて。 ■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。著書に「ルポ 新型コロナ詐欺」(扶桑社)など。
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