Source:https://www.iza.ne.jp/article/20231108-EQLP7XZ7OVMUBDPNRDQWPMWWRI/?utm_source=yahoo%20news%20feed&utm_medium=referral&utm_campaign=related_link
教育が国民の3大義務の1つである日本では、小中学校の対象年齢の就学率は99・9%以上となっている。一方で、教育の義務のない在日外国人の子女の就学率は、これに比べて大きく低下する。文科省の最新の調査では、義務教育期間にある外国籍の子供のうち、6%以上が不就学の状態である可能性があることが分かっている。
この調査では、そもそも外国人家庭に就学案内を送付していない地方公共団体も数多く存在することも判明しており、受け入れ態勢の不備も指摘される。
在日外国人が子供を就学させることのハードルは、これだけではない。2015年夏に造船所技術者として妻と小学4年生と長女を伴って来日した中国人男性のL氏は、その後4年間、西日本の某県で生活した経験を明かす。
「来日して数日後、市役所に転入届を出した際に、娘の就学のことについては全く説明されませんでした。後日改めて、娘の就学を希望していることを役所に伝えましたが、窓口の人は対応できなかった。子連れで居住している外国人はほとんどいないような市でしたので、それも仕方ありませんでした。その後、窓口の人がいろんな部署を回ってようやく就学の手続きを説明できる人を連れてきてくれました」
L氏は、そこで差し出された書類に必要事項を書き込み、就学の申し込みを正式に済ませた。ところが、数日後に市役所の担当課からきた返事は、「来年度まで通学を待ってくれ」という回答だった。
「娘も妻も日本語が全くできなかったので、日本語指導や通訳などの支援を希望したのですが、『人員確保に時間がかかる』とのことでした」
しかし、L氏夫妻は、それを待たずに通学させることを選択した。理由は、長女をできるだけ早く日本になじませたかったからだ。
結果的にこの決断は、正解だった。担任やクラスメートにも恵まれたこともあり、L氏の娘は半年後には基本的な意思疎通が可能なほど日本語が上達したのだ。当初希望していた日本語指導や通訳の支援は、もはや不要になったという。
ただ、L氏は「もっと苦労したのは妻の方だった」と話す。L氏は日中、勤務中であるため、学校との連絡や担任との面談などは、妻に任せざるを得なかった。翻訳アプリを駆使して何とか乗り切ったと言うが、学校行事などの際のイレギュラーな持参物を準備し損ねたことは1度や2度ではなかった。
そして6年生になるころには、長女も母親もすっかり学校に慣れていたという。しかし、その後に思いがけないことが起きた。 =つづく
1都3県に住む外国人は120万人とも言われ、東京は文字通りの多民族都市だ。ところが、多文化共生が進むロンドンやニューヨークと比べると、東京在住外国人たちはそれぞれ出身地別のコミュニティーのなかで生活していることが多い。中韓はもとより、ベトナム、ネパール、クルド系など無数の「異邦」が形成されているイメージだ。その境界をまたぎ歩き、東京に散在する異邦を垣間見ていく。境界の向こうでは、われわれもまたエイリアン(異邦人)という意味を込めて。
■おくくぼ・ゆうき 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。著書に「ルポ 新型コロナ詐欺」(扶桑社)など。
0 件のコメント:
コメントを投稿