Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/56c47f3c7cdd137163bfc7964c6956b1279f158c
【列島エイリアンズ】外国人児童「不就学」問題編(3) 「来年度まで通学を待ってくれ」 【表でみる】「不就学」の可能性がある外国籍の児童生徒が多い都道府県は? 造船技術者として来日し、西日本の某県で生活を始めた中国人男性のL氏は、帯同した10歳の長女を日本の小学校に転入させる手続きを行ったのち、市役所の職員からそう告げられた。 L氏が希望した長女への日本語指導や通訳などの学習支援の人員確保に時間がかかるというのが、その理由だった。結局、長女は学習支援なしで通学を開始。さまざまな苦難もあったが、やがて日本語も上達し、6年生になるころには仲のいい友達も数多くできた。ところが、思いがけない事態に見舞われたのは、その年の秋のことだった。 「娘の小学校は、卒業生のほぼ全員が地元の同じ公立中学に進学するので、11月には6年生全員で、その中学の学校説明会に参加します。娘もその中学に進学予定だったので母親とともに参加したのですが、娘の席が用意されていなかったのです。彼女は帰宅して1日中泣いていました」 L氏の自治体では、外国籍の子供に限り、すでに小学校に通っている場合でも中学進学を前に改めて「就学希望届」を提出する必要があったが、市から小学校からもそうした説明は受けておらず、L氏一家は未提出のままだったのだ。長女は後日、就学希望届を提出することで、何とか中学に入学できた。かなり杜撰な行政側の対応だが、L氏はそれでも「学校や市役所にはよくしてもらった」と感謝している。 東海地方の中学校に勤める男性教師は、「結局、通学を続けられるかどうかは、友達ができるかどうかにかかっている」と話す。 「うちの市は南米からの外国人労働者が一定数暮らしているので、就学については受け入れ体制が比較的整っています。しかし、数カ月、学校に来ただけで不登校になってしまう生徒も少なくない。特に南米系の生徒の場合、最初の数週間は『ガイジンが来た』という感じで、クラスメートの好奇の対象になるのですが、日本語で意思の疎通ができなければ孤立するようになり、やがて不登校になるというパターンです。日本人と違って義務教育ではないので、本人や保護者が『通わない』というと、再登校への支援などもできることは限られている」(男性教師) 文科省の最新の調査では、「不就学の可能性がある外国人の子供は全国に8000人以上」とされているが、「不登校の状態にある外国人児童・生徒の数はおそらくそれ以上」とこの男性教師は指摘する。 =つづく 1都3県に住む外国人は120万人とも言われ、東京は文字通りの多民族都市だ。ところが、多文化共生が進むロンドンやニューヨークと比べると、東京在住外国人たちはそれぞれ出身地別のコミュニティーのなかで生活していることが多い。中韓はもとより、ベトナム、ネパール、クルド系など無数の「異邦」が形成されているイメージだ。その境界をまたぎ歩き、東京に散在する異邦を垣間見ていく。境界の向こうでは、われわれもまたエイリアン(異邦人)という意味を込めて。 ■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。著書に「ルポ 新型コロナ詐欺」(扶桑社)など。
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