2023年11月14日火曜日

[時代の証言者]グレートジャーニー 関野吉晴<19>ネパールで診療4か月

Source:https://www.yomiuri.co.jp/serial/jidai/20230827-OYT8T50025/ 


ネパールの山岳地帯ドルポで4か月診療した

 グレートジャーニーは、最終目的地のアフリカを目指して、一目散に進む旅ではありません。最短ルートから外れても、気になる土地には足を延ばし、人々の暮らしに飛び込んでいく。そんな「寄り道」の旅を、僕はアフリカ到達以上に大事にしていました。

 難航したモンゴル―中国間の国境越えをクリアした後、僕はグレートジャーニー最長の「寄り道」の旅に出ます。目的地はネパール北西部の山岳地帯ドルポ。ここでは2000年8月から4か月ほど、医師として診療活動を行いました。

 印象的だったのは、ギャルセンという名の17歳の青年との出会いです。村の女性から「息子が尻の傷で動けない」と言われ、往診に行ったのがきっかけでした。

 尻と腰にひどい 褥瘡じょくそう 、つまり床ずれがありました。腰の下の脊椎が見えるほどの傷です。抗生物質の 軟膏なんこう を塗り、ガーゼで覆いました。ギャルセンは座ったきりで、ももが細い。歩けないので、しばらく往診を続けることにしました。
 キャンプ地からギャルセンの家まで下り、登り返す。標高差は約200メートル。治療より往復に時間がかかりました。旅の都合で片道1時間以上かかる村に移った後も、往診は続けました。

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