Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/304b45e8e85438b844c5ef7ea22ddc79d926ba53
【列島エイリアンズ】 「永住権取得までの在留期間を世界最短とする」 2016年4月、産業競争力会議でそう表明したのは故・安倍晋三元首相だ。そしてその翌年には、『永住許可に関するガイドライン』が改定され、それまで「10年間の継続在留」があることが原則だった永住許可の取得が、最短1年で可能になった。 世界から高度人材を受け入れるための条件緩和だったが、制度の網の目も緩くなった。1000万円程度の資金があれば、高度人材としての実体がなくても、1年で永住資格が取得できるといい、中央政府からの統制強化を嫌う香港在住の中国人に注目されている。 一方で、まとまった資金がない外国人でも、日本に住み続けることは難しくないという。ある中国系移住コンサルタントが明かす。 「日本で資本金500万円以上の法人を立ち上げ、安定した事業を継続することができれば、その法人の経営者として経営管理ビザを取得できる。ただ、在日中国人社会には、あらかじめ登記されたダミー法人の経営者として、この経営管理ビザを取得できるサービスも存在する。年間、100万円前後の手数料を支払えば、半永久的にビザの更新が可能」 これはもちろん、「制度の穴をかいくぐる」などというレベルではなく、完全な違法行為だ。実際、19年7月には、同様のスキームで、経営管理ビザを中国人女性に不正取得させていたとして、ブローカーや税理士ら男女4人が警視庁に摘発されている。税理士の男が税務関連書類を偽造し、女性が名義上の経営者となっていたダミー法人に事業実態があるかのように装っていたようだ。 さらにこの移住コンサルタントによると、入国管理の緩さだけでなく、日本の銀行の融資基準も、中国や香港からの移民に拍車をかけている。 「日本の銀行は、外国人でも比較的簡単に融資を受けることができる。例えば、すでに入居者がいるマンションやアパートを一棟丸ごと中古で買い取る『オーナーチェンジ』。安定した賃料収入が見込めるので、購入物件を担保にすることで、外国人が立ち上げたばかりの法人でも購入額の50%程度は融資を受けることができる。しかも日本は金利もタダみたいに低い。この方法で、5000万円の手持ちで1億円ほどの物件を購入し、5%程度の利回りがあれば、不動産賃貸業の経営者として経営管理ビザを取得できる。非居住者の不動産所得には居住者よりも割高な税率が課せられる国も多いなか、日本にはそういった差別もない」 多文化共生は時代の必然だが、外国からの移住者にとっての「住みやすさ」が、日本人にとってのわだかまりとならないことを祈りたい。 =おわり 1都3県に住む外国人は120万人とも言われ、東京は文字通りの多民族都市だ。ところが、多文化共生が進むロンドンやニューヨークと比べると、東京在住外国人たちはそれぞれ出身地別のコミュニティーのなかで生活していることが多い。中韓はもとより、ベトナム、ネパール、クルド系など無数の「異邦」が形成されているイメージだ。その境界をまたぎ歩き、東京に散在する異邦を垣間見ていく。境界の向こうでは、われわれもまたエイリアン(異邦人)という意味を込めて。 ■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。著書に「ルポ 新型コロナ詐欺」(扶桑社)など。
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