2022年10月18日火曜日

世界の野球 "世界の野球"ヒマラヤを北に望む国ネパールの野球「在日ネパール人との連携」

 Source:https://www.japan-baseball.jp/jp/news/press/20221007_1.html

2022年10月7日、ヤフーニュースより


フットサル大会の参加者たち

文・写真=NPO法人日本アジア球友団ラリグラス(小林 洋平)

 10月に入り、ネパールでは祭りの季節を迎えている。前半には「ダサイン」というネパール最大のお祭りが約2週間続く。ダサインでは、日本の正月のように多くの人々が帰省し家族で過ごしたり寺院を訪れたりする。また、10月の終わり頃には「ティハール」という富や繁栄、収穫などを祝う祭りが5日間に渡って行われる。ネパールの野球チームの中には、祭りの季節に合わせて野球大会を行なうところもあるなど、この季節はネパールの国民全体が盛り上がる時期なのである。

 そして、今年は祭りの季節が終わった後、11月にカタールでサッカーのワールドカップが開催される。ネパールでもサッカーは人気の高いスポーツで、プロリーグも存在する。そして、ワールドカップともなれば多くの人々がテレビで観戦するし、街のスポーツ店などには出場国のレプリカユニフォームが並ぶ。サッカーは、ボール1つあればプレーできるし、ルールも分かりやすい。ネパールでは、野球に比べると大人も子どももサッカーに触れる機会ははるかに多い。

 さて、これまでのコラムでも何度か述べてきたように、近年、日本に住むネパール人が増えており、その数は昨年末で約9万7千人に達している。当然ながら、そうした日本に住むネパールの人々にもサッカーは人気のスポーツである。野球が盛んな日本に来て野球に関心を持った在日ネパール人も多いが、今年はやはりサッカーが盛り上がりを見せている。そんな中、先日の9月23日には大阪市のFABフットサルパーク西九条で在日ネパール人のチームによるフットサル大会が開催され、全国各地から200人以上のネパール人が集まった。


当団スタッフによる野球の概要の説明

 ところで、私たちはネパール野球普及のためには在日ネパール人との連携も重要であると考えており、様々な機会を捉えて、日本に住むネパールの人たちに野球を紹介する活動を行っている。そして、その一環として、私たちはこの大会の中で参加者に向けて野球を紹介する機会を得て、ちょっとした野球体験会を行った。このような多くの在日ネパール人が集まるイベント、特にスポーツイベントは彼らとの連携を強める絶好の機会である。野球体験会では、ボールやバットを見せながら野球の概要を説明した後、実際に参加者の人たちが柔らかいボールでキャッチボールクラシック(一定時間内に何回キャッチボールができるかを競う競技)を行い、ボールを投げて捕るという野球の基本的な事を体験した。ほとんどの人は野球のボールに触るのが初めてかとも思われるが、皆さん大はしゃぎでキャッチボールをしていた。大会を主催した弁天町フットボールクラブの代表であるアルジュン・シュレスタ氏は、「私たちはスポーツの力で様々な事ができれば良いなと考えています。今回はフットサルの大会でしたが、野球の方も盛り上げていきたいと思います」と意気込みを語っていた。


参加者によるキャッチボールクラシック

 さて、今回、フットサル大会が開催された一方で、新たな動きも出始めている。在日ネパール人による野球チームを創設しようという構想である。具体的な話はこれからだが、この構想は前述のアルジュン・シュレスタ氏やイッソー・タパ氏(元ネパール代表主将、元関西独立リーグ選手)など在日ネパール人が中心となって動いている。実際のところ、フットサル大会に参加した人の中には、前述の野球体験会に参加したことで野球に興味を示した者もいた。このように在日ネパール人が自ら野球のために動くことで、ネパール本国の野球の持続的な発展にも繋がっていくのではないかと思う。ある報道によれば、ネパールでは留学先として日本の人気が高く、日本での留学生数を国別に見るとネパールは中国、ベトナムに次いで3番目で他国に比べて増加が目立っている。また、特定技能の資格で日本に働きに来る者も多い。約15年前、私たちはネパールのポカラで日本語学校兼野球事務所を運営していたが、当時から今日のように在日ネパール人の増加は予想していた。在日ネパール人はこれからも増えていくであろうし、日本社会を支える存在ともなっている。私たちは今後も在日ネパール人との連携を進めていく。

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