Source:https://www.mdm.or.jp/news/24788/
2022/9/21 Googleニュースより
急速な都市化がもたらした環境をめぐる問題
「神々が住む街」と呼ばれ、古くから交易の中心として宗教や文化が栄えてきた、ネパールの首都カトマンズ。ネパール最大の都市である首都カトマンズとその周辺の盆地には約150万人が暮らしています。近年、急激な人口増加とともに都市化が進む一方で、環境問題、特に大気汚染や水質汚染が深刻になっています。首都カトマンズでは、毎日1,000トン以上(1人あたり約1,250グラム)の廃棄物が出ているともいわれており、東京23区で出されている1人あたり約732グラムの1.7倍にもあたります。廃棄物処理システムが未熟なネパールでは、処理が追い付いていなかったり、処理されていても適切な方法でなかったりなど、周辺住民の生活環境の悪化につながっています。
*世界の医療団へのご寄付では、所得控除または税額控除の寄付金控除が受けられます。
*世界の医療団は、受け取った寄附金を特定の支援プロジェクトのみに充てることなく、
頂戴した寄附の総額を支援活動全体に分配することを原則としています。
廃棄物処理に関わる人々の健康
廃棄物が引き起こす問題は、環境だけでなく、それを処理する労働者の健康にも影響を与えています。廃棄物処理労働者の数は、法に従った賃金や労働環境、社会保障制度の範囲外にある人々を含め、1万5000人ほどともいわれており、そのうち75パーセントはカースト制度の地位の低い人々や、外国籍の労働者です。これらの人々は民族やカーストなどが原因でさまざまな社会的障壁にさらされており、医療サービスへのアクセスも限られています。加えて、廃棄物や処理の過程で発生する有害物質が身体に与える影響や、埋立地での作業中の事故のリスクなどにもさらされています。
廃棄物に関する問題は、環境だけでなく、それに関わる労働者にも影響を与えます。これに対応すべく、世界の医療団は、2018年より活動を開始しました。
世界の医療団の活動
世界の医療団は、2018年からカトマンズで廃棄物処理の労働者の健康を守るプロジェクトを開始しました。2020年からは、カトマンズと同様の問題を抱える、インドとの国境に位置する町ネパールガンジにも活動を広げています。
廃棄物処理は、労働者にとって賃金を得、生活を支えるための重要な仕事でもあります。そこで、世界の医療団は、有害な環境にさらされることに伴うリスクを軽減し、適切で質の高い医療サービスと情報へのアクセスの向上を図ることで、労働環境と健康の改善を目指す活動を行っています。
健康状態についての調査結果(世界の医療団フランス等による2017年冬にカトマンズで行われた調査)
廃棄物処理労働者の健康状態について調査をしたところ、回答者(1,278人)の3分の1が過去3ヶ月間に病気やけががあったと答えました。
呼吸器症状 69.9% 咳 59.2% 頭痛 48.7% 疲労感 44.0% 背中の痛み 35.4% 腕や足の痛み 34.0% |
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最も多い症状は呼吸器症状の鼻水とくしゃみ、咳で、大気汚染、喫煙による影響も考えられます。身体の痛みを訴える人も多くいました。また、回答者の3分の1以上が発熱があったと回答しており、感染症が流行している可能性があります。
活動の3つの柱
本活動は、現地の2つの団体SASAJA(Samyukta Safai Jagaran)とGPN(Green Path Nepal)、およびカトマンズとネパールガンジの当局とのパートナーシップのもと、以下の3つの柱により活動しています。
●労働災害の防止と廃棄物処理システムの改善
●廃棄物処理労働者の医療サービスへのアクセス
●廃棄物回収とリサイクルシステムの構築
新型コロナウイルス感染症への対応
廃棄物処理労働者は、生活環境や仕事の性質、また、医療につながりにくいことから、新型コロナウイルス感染症の流行に対しても最も脆弱な人々です。世界の医療団は、カトマンズとネパールガンジの保健センターだけでなく、廃棄物処理労働者にも衛生キットを配布。また、衛生習慣の啓発活動を行いました。
< ご支援はこちらから > 都市化の弊害ともいえる環境問題と発展に取り残された社会的に脆弱な人々の健康問題。世界の医療団はこの問題に対して医療を軸として総合的に取り組んでいます。 ぜひ皆さまの力をお貸しください。 *世界の医療団へのご寄付では、所得控除または税額控除の寄付金控除が受けられます。 ©Jean-Baptiste Matray |
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