Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/21751cf24bb2c255936a4674b74b76b3c78f63c7
【カタール(ドーハ)20日=岡島 智哉】世界中を熱狂させるカタールW杯が、開幕した。現地ではクロアチア人サポーターが大声で国歌を熱唱する。その横を、50人ほどのモロッコ人サポーターが応援歌を歌いながら列を成して行進する。ブラジル人サポーターによるサンバ隊は、現地の人を巻き込んで大盛り上がりだった。W杯開幕前夜、ドーハ中心部にある市場「スーク・ワーキーフ」は高揚感に満ちていた。 道、建物、街並み、地下鉄。カタールは全てのものが新しい。元々は英国の保護領で、1971年に独立。国としての歴史は比較的浅く、天然ガス開発を中心に発展を遂げてきた。W杯に向け、国を挙げてのインフラ整備が進み、総投資額は32兆円とも言われる。「世界一退屈な国」とも言われた国はW杯を迎えるにあたり、大きく変貌を遂げた。 秋田県と同程度の面積の小国に、約290万人が生活する。その87%がインドやバングラデシュ、ネパールなどアジア各国からの外国人労働者。土木関連の仕事が多いこともあり、人口の男女比は3対1程度だという。 しかし、そんなカタールでの開催を批判する声が世界各地で広がっている。21年2月、英紙ガーディアンは「W杯の開催決定後、6500人以上の移民労働者が死亡している」とするスクープを出した。最高気温40度を超える暑さの中での労働、事故死などによるものだといい、カタールへの開催に疑問を投げかけた。カタール政府側はこれを真っ向から否定しているが、各国から批判が高まった。 また、宗教上の理由により同性愛が禁じられ、LGBTQ(性的少数者)が苦しい立場に置かれていることにも厳しい声が聞かれる。国際人権団体は10月、同性愛行為が法律で禁じられているカタールで、当局が性的少数者を不当に拘束、虐待しているとして渡航に注意を促した。カタール元代表でW杯アンバサダーのサルマン氏が同性愛を「精神の傷」と表現したことも、波紋を広げた。大会組織委は「完璧な国はない」とする声明を発表するなど、沈静化に躍起になっている。 スペイン・バルセロナのコラウ市長は10月、同国代表戦の観戦に公共施設などを提供しないと表明した。認めれば「人権を侵害する国の共犯になる」からだとした。欧州のW杯出場国では、パブリックビューイングを取りやめたり、家族の同伴を見送る決断をしたりと、抗議活動が広がっている。中東初のW杯は、本来スポーツとは切り離されるべき話題が尽きないまま開幕を迎えた。
報知新聞社
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