事件のあったアパート2階を調べる捜査員=17日午前9時30分ごろ

 16日午後11時20分ごろ、群馬県伊勢崎市のアパートに住む女性から「もめ事ではないか」と110番通報があった。通報者とは別の2階の部屋に、住人のネパール国籍女性(42)が倒れており、搬送先の病院で死亡が確認された。刃物を持つ男が立ち去ったとの目撃情報などがあり、県警捜査1課と伊勢崎署は17日、殺人の疑いで、同国籍で同市、自称会社員の男(37)を逮捕した。

 県警によると、「やってません」と容疑を否認している。女性には刃物によるとみられる出血を伴う外傷があった。夫と2人暮らしという。18日に遺体を司法解剖し、詳しい死因と経緯を調べる。

 現場はJR伊勢崎駅の北西の住宅地。捜査は夜通し行われ、地元住民は身近に起きた凶悪事件に驚いた。

 110番通報したという同じアパートの50代女性によると、現場の直下の部屋に住む男性が、女性とみられる叫び声を聞き、刃物を持って立ち去る男を目撃。間を置いて女性の部屋を訪れ、一緒に確認するよう頼んだ。2人で現場の部屋に行き、声をかけたが返事はなく、男性が扉を開けると、女性が血まみれで倒れていたため通報したという。

 50代女性は「信じられない出来事。無我夢中で通報した」と振り返った。現場と同じ階に住む男性は「16日午後11時ごろ騒ぐ声が聞こえた」と証言。別の部屋の男性(69)は「(女性は)夫婦で5、6年前から住んでいると思う。物音などには気付かなかった」と話した。

 近所の30代女性は夫の話として、事件発生直後とみられる同11時すぎ、現場南東の路上で「赤く汚れた長い刃物」を左手に持つ男が、周囲を気にする様子もなくゆっくりと東へ歩くのを目撃したと述べた。

 一方、太田町を校区に含む小中4校は17日の登校時間に教職員が見守りに追われ、パトカーも巡回した。

 同日朝の取材に対し、近所の女性(83)は「離れて暮らす娘から外に出ないよう注意された。この辺は子どもたちが大勢通るから心配になる」と話した。女性(40)は「うちに小さい子どもがいるので犯人が逃げていると怖い」と眉をひそめた。事件を知って娘が「小学校に行きたくない」と怖がったという母親(36)は、集団登校の様子を不安そうに見送っていた。

 近所の女性(56)は「アパートは外国人住民が多く、散歩していると人の声が漏れてくる。にぎやかな印象」と話した。70代男性は「一帯に外国人は多い。皆言葉は通じないけど、笑顔で会釈してくれるので印象はいい」と話した。