Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/66af2483be5fc4ba92e51e820937ce238df5d1a4
世界最大のスポーツの祭典、カタールW杯。現地の物価高、円安、そして宿泊施設のトラブル、酒の禁止……過去の大会より苦戦を強いられた日本のサポーターはいかに戦っているのか? 大会が行われている中東カタールのドーハ中心部に記者がとんだ! ⇒【画像】11月で気温30℃を超える灼熱のなか、スタジアム近隣の公園の整備をする労働者たち
カタール人はどこ?盛り上がりに欠ける街中
2016年ブラジル大会、2018年ロシア大会と2大会を取材してきた記者だが、過去2大会と本大会が決定的に違う点がある。それはユニフォームを着たり、国旗を振ってカタールを応援する人を街中でほとんど見かけないことだ。 カタールは秋田県ほどの面積に約290万人が住んでいるが、カタール国籍は約13%で実に87%がインドを中心とした外国人労働者で、フィリピン、ネパール、パキスタン、スリランカ、バングラデシュ人など主に英語圏の人々が出稼ぎ労働者として生活する。 通常ならば開催国の国民が大会が進むにつれ“自然”と盛り上がっていくのだが、今回はそれがまったくないのだ。
大会を盛り上げるのは“雇われサポーター”
カタールのサッカー事情に詳しい記者が説明する。 「カタールは開幕戦を戦いましたけど、テレビに映っていた“サポーター”には生粋のカタール人はほぼいないというのが事実。あのサポーターたちは実は雇われで、彼らの大半は外国人労働者。日当をもらって“出稼ぎ応援”するのはカタールの国内リーグ発足時からの伝統なんです。 労働者にとっては実に割のいい仕事で、今大会、街中でブラジルやアルゼンチンなどのユニフォームを着た、非ブラジル人、非アルゼンチン人を多く見ますが、彼らも大会を盛り上げるいわば“雇われサポーター”。大会中カタール当局はインスタなどのSNSを使って彼らが街を行進する様子をアップし、熱気を演出していました。カネのある国ならではの所業ですね」
“カタール代表は見ない”在住者の言い分
実際、記者が街で生活している人に「カタールの試合を観た? そしてスタジアムになにか試合を観に行く予定はあるの?」と聞いても、みな首を横に振るばかり。 カタール在住者向けのチケットが1500円程度で売り出されているにもかかわらず「自国のチームは出ていないし、かといってカタール代表は、開幕戦に負けてしまったから」と浮かない表情。 繊維問屋のような巨大なマーケットを訪れた際には、大量の「応援グッズ」が売れ残っているのを目撃したのも印象深かった。そこに集まっている人たちはブラジルやアルゼンチン、ドイツ、スペインなど強豪国の国旗やグッズを手にしていた。
「あまり共感を得られない」サッカー事情
前出の記者は続ける。 「カタールはカネにものを言わせて強豪国や近隣諸国から選手を帰化させ、代表選手にしているので、あまり共感を得られない。 最近ではそうした選手を自国のアカデミーで養成。2019年のアジア大会決勝では日本を3-1で破り、アジアチャンピオンとして、今大会に臨んでいますが、その後、チームの調子は正直下降気味。開催国ですが今後も、厳しい戦いが予想されますね」 W杯の歴史で開幕戦を戦った開催国で、初の黒星を喫したカタール代表。本稿の締め切り時点で、まだ彼らの勝利をこの目で目撃していないが、勝利でこの国の雰囲気を変えることができるか(※その後、カタール代表は開催国として史上初の3連敗でグループリーグ敗退)。 <取材・文・撮影/遠藤修哉(本誌)>
bizSPA!フレッシュ 編集部
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