Source:https://www.jiji.com/jc/article?k=2022112000210&g=int
2022年11月21日07時01分、Googleニュースより
【ニューデリー時事】国境を接する中国とインドが影響力を競ってきたネパールでは近年、米国が存在感を増しつつある。経済圏構想「一帯一路」の下、融資を通じ浸透を図ってきた中国は、警戒感を隠さない。ネパールは下院選の結果にかかわらず、米中印のパワーバランスの中で、難しいかじ取りを迫られる。
◇さや当て
ネパールでは、2017年の前回下院選で団結し大勝した与党の親中派勢力が、内紛の末に分裂。21年にインド寄りのデウバ政権に交代し、中国の影響力が相対的に低下した。
今年2月、協定署名から5年間棚上げされていた米政府機関「ミレニアム挑戦公社」(MCC)からの5億ドル(約700億円)の無償資金援助について、ネパールは議会の同意を経て最終決定。使途は送電網や道路などの整備支援とされる。
ネパールの共産党系支持者は、援助が中国の台頭に対抗する米国の「インド太平洋戦略」の一環だと主張。非同盟中立を基本としてきた国の主権を損なうとして、抗議活動を繰り広げた。
米国は、援助の目的が貧困削減で、同戦略とは無関係だと否定する。しかし、地元のベテラン記者は「援助は米国の影響力を増大させる。一部の政治家や専門家は、国を西側陣営に導くと懸念している」と語る。
米国が期限を切って決定を迫ったこともあり、中国は「ネパールの主権と利益を犠牲にし、利己的な目的を追求する高圧的外交」(汪文斌・外務省副報道局長)と批判した。米国側も中国がMCCを巡る「偽情報キャンペーン」を展開したと反論。抗議活動の裏に中国がいると示唆した。
◇干渉強化
中国外交に詳しいインド・ネール大のスリカント・コンダパリ教授は、3期目の習近平政権が安全保障に力を入れる中で「ネパールへの干渉は増える」とみる。インドのランジット・ラエ元駐ネパール大使は「中国はここ数年、経済協力だけでなく、ネパールの政治プロセスに公然と関与している。インドは注意深く監視し、どう対処するか確認する必要がある」と語った。
デウバ首相の外交顧問を務めた専門家は、地元紙への寄稿で「ネパールは米中、印中の競争と緊張が、自国に及ぶのを望んでいない。綱渡りをしながら、全ての国とバランスを取る必要がある」と指摘した。
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