Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/4fa2aa0fa2c25af7cdcc826ef5a19dd3dbb08e3d
【列島エイリアンズ】パキスタン系中古車業編(2) 大手自動車メーカーの偽造エアバッグを販売したとして、今年1月、商標法違反などの容疑で4人が逮捕された事件をはじめ、しばしば報道される「パキスタン国籍の中古車販売業」による犯罪。もちろん、パキスタン系中古車販売業のすべてが悪いわけではない。 【写真】パキスタン国籍の男が販売していた偽造エアバッグ 「約2万人の在日パキスタン人の約半分は中古車販売業とその家族」(来日8年のパキスタン人、アブドゥルさん=仮名)という母数の多さが、彼らが目立つ一因である。 中古車のオークション会場が点在する埼玉県八潮市や、中古車の一大輸出港を抱える富山県射水市は、パキスタン人住民が集中していることで知られている。しかしなぜ中国でもインドでもなく、パキスタンなのか。その背景には彼らの母国の政策がある 「パキスタンは、中古車の輸入を禁止している。しかし、外国に住んでいるパキスタン人は、2年に一度、中古車を含む自動車を海外からパキスタンに持ち込むことができるという特例がある。在日パキスタン人の中古車販売業者は、同胞からその権利を買い取ることで、日本から安定的に母国に中古車を輸出している。このビジネスは30年以上前から続いている」(前出のアブドゥルさん) 特例は原則として、世界のどの国にいるパキスタン人にも適用されるとのことで、「パキスタン国籍の中古車販売業が多いのは日本だけではなく、諸外国も同様。そうしたことから、パキスタン人は、世界有数の中古車販売ネットワークを構築している」(同)というのだ。 とはいえ、日本人が中古車を探す際、パキスタン人経営の業者に当たることはおそらくないだろう。 「同じ中古車業と言っても、パキスタンの人たちとはまったく別のビジネスですね」と話すのは、北関東で中古車販売店を経営する日本人の男性だ。 「われわれのような業者は、全国各地で開催されるオートオークションに出品された中古車を入札して仕入れるのですが、会場でパキスタン風の人たちを目にすることはあっても、同じ車を競り合ったりすることはほとんどない。というのも、彼らの多くは札が入らないような廃車寸前の車ばかりを集めているから。それを修復して輸出しているらしい」 その際に役立つのが、パキスタン人によるこの国際的な中古車販売ネットワークというわけだ。最近摘発された偽造エアバッグ事件も、ここに大きく関わってくるという。 =つづく 1都3県に住む外国人は120万人とも言われ、東京は文字通りの多民族都市だ。ところが、多文化共生が進むロンドンやニューヨークと比べると、東京在住外国人たちはそれぞれ出身地別のコミュニティーのなかで生活していることが多い。中韓はもとより、ベトナム、ネパール、クルド系など無数の「異邦」が形成されているイメージだ。その境界をまたぎ歩き、東京に散在する異邦を垣間見ていく。境界の向こうでは、われわれもまたエイリアン(異邦人)という意味を込めて。 ■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。著書に「ルポ 新型コロナ詐欺」(扶桑社)など。
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