Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/1befcc24091b3307ec458b58778163d1887b850a
【列島エイリアンズ】 約2万の在日パキスタン人の半数が中古車販売業関係者とその家族…。そう言われるほど、同一業種に同国出身者が集中している背景には、中古車の輸入を禁止している同国が、在外パキスタン人に認めている特例があった。在外パキスタン人は、2年に一度、1台の自動車を自国に持ち込むことができるのだ。 こうした特例の下、中古車販売を生業とするパキスタン人は各国に存在し、彼らは世界有数の国際中古車流通ネットワークを形成しているという。 来日8年のパキスタン人で、中古車販売業者に勤務した経験もあるアブドゥルさん(仮名)によると、「在日パキスタン人は、自国だけでなくアフリカやロシアにも日本の中古車を輸出している」と説明する。 しかし、北関東で中古車販売店を経営する日本人の男性は、「同じ中古車業と言っても、パキスタンの人たちとはまったく別のビジネス」と話す。 「彼らの多くはほとんど札が入らないような、廃車寸前の車ばかりを集めている。簡単に言えば、左ドアが破損しているような事故車でもオークションで落札し、同型の別の事故車から取ってきた左ドアに付け替えて、完成車として輸出する。いわゆるニコイチという手法です。日本では、事故歴や修復歴を開示しなければならないので、そんな車は売り物にならないが、彼らのルートで輸出してしまえば、関係ないですから」 この男性は、パキスタン人自動車販売業が偽エアバッグを販売していたという報道を聞いた際、「やはり」と思ったという。 「破損度が高い事故車の多くはエアバッグが使用済みになっている。しかし、純正品を付け替えるのにはコストがかかるので、輸出用の修復車の多くには、偽物のエアバッグが付けられているという話を耳にしたことがあります。同様に、安全基準を満たさない強度の低いフロントガラスが付けられた修復も少なくないと聞きます。そうした車では、守れる命も守れなくなってしまう」 こうした粗悪な修復車の事故が輸出先で相次げば、日本車メーカーが世界で築き上げた信用さえも毀損することになりかねない。 =この項おわり ■1都3県に住む外国人は120万人とも言われ、東京は文字通りの多民族都市だ。ところが、多文化共生が進むロンドンやニューヨークと比べると、東京在住外国人たちはそれぞれ出身地別のコミュニティーのなかで生活していることが多い。中韓はもとより、ベトナム、ネパール、クルド系など無数の「異邦」が形成されているイメージだ。その境界をまたぎ歩き、東京に散在する異邦を垣間見ていく。境界の向こうでは、われわれもまたエイリアン(異邦人)という意味を込めて。 ■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。著書に「ルポ 新型コロナ詐欺」(扶桑社)など。
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