Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/6805eab5623756888177b5c88a43e1ec87f40f22
【列島エイリアンズ】ザル検疫編(3) 新型コロナ禍も4年目に突入するなか、日本各地の国際空港で、外国からの入国者に対する水際措置の切り札として採用されているのが「健康カード」なる紙切れだ。 【写真】日本の「健康カード」 堀江貴文氏は「ウンコみたいな無駄紙」と批判 デジタル庁が鳴り物入りで導入したVISIT JAPAN WEBによる「ファストトラック」では、出国前72時間以内の陰性証明書またはワクチン接種証明書をアップし、その有効性が確認できると「検疫手続事前登録」の完了を示す画面が表示される。ここまではまずまず「デジタル」だ。 しかし、日本到着後は、結局この画面を検疫所のスタッフの1人にスマホで提示し、この健康カードを受け取る必要がある。健康カードを持っていれば、それ以上の検疫手続は原則不要となるのだが、最後の最後に紙切れに頼るこのアナログ検疫は、利用者の不評を買っている。 1人が複数枚の健康カードを受け取ることも可能なため、VISIT JAPAN WEBによる検疫手続事前登録が完了していない入国者も、必要な検疫手続きなしに入国できてしまう恐れがあることは、前回(1月20日掲載)述べたとおりだ。 また、日本政府は感染状況が悪化していると言われる中国からの入国者に対し、空港での抗原定量やPCR検査を実施するなど水際措置を見直しているが、対象者には不評を買っているようだ。 「成田空港に到着。しかし検査のために3時間も待たされている。日本での滞在予定はたった3日なのに、この時間のロスは惜しい」 「中国の核酸検査は15分もかからないのに…」 中国のSNSにはそんな書き込みが散見される。 そんななか、日本への渡航を予定する者たちの間では、水際措置の抜け道が口コミで広がっているという。 四川省成都市に住む中国人男性が明かす。 「旅行口コミサイトなどでは、『日本に渡航するには香港を経由していくのが得策』といった情報が拡散されています。というのも、自動化ゲートを利用すれば、中国出国のスタンプも香港入境のスタンプもパスポートに押されず、日本に到着した際は『香港からの入国者』として扱われるので、『水際措置の見直し』の対象とならず、空港での検査を受けなくて済むからです。実際、この春節休みに成都から東京に旅行に行った友人も、距離でも乗り継ぎ時間でも無駄がない上海経由ではなく、わざわざ価格も高くて時間もかかる香港経由の便を購入していました」 だが、日本政府による水際措置の見直しの対象は「過去7日以内に中国に渡航歴のあるすべての入国者」となっている。そんな単純な「検疫逃れ」が通用するのだろうか。 成田空港検疫所に確認してみたところ、「中国からの直行便による入国者には全員入国時検査が行われますが、それ以外の国や地域からの便で入国される、過去7日以内に中国に渡航歴がある方は、自己申告してもらうことになっています」とのことだった。 日本の水際対策は、結局は入国者の善意に頼っているというのが現状なのだ。 =この項おわり 1都3県に住む外国人は120万人とも言われ、東京は文字通りの多民族都市だ。ところが、多文化共生が進むロンドンやニューヨークと比べると、東京在住外国人たちはそれぞれ出身地別のコミュニティーのなかで生活していることが多い。中韓はもとより、ベトナム、ネパール、クルド系など無数の「異邦」が形成されているイメージだ。その境界をまたぎ歩き、東京に散在する異邦を垣間見ていく。境界の向こうでは、われわれもまたエイリアン(異邦人)という意味を込めて。 ■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。著書に「ルポ 新型コロナ詐欺」(扶桑社)など。
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