Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/50ba78eceff2b908f892236b8cd89833d7401ae1
【列島エイリアンズ】 外国人労働者の受け入れ拡大へと舵を切った日本で、密かに流通する偽造在留カード。主に中国人のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)上で売買され、偽造在留カードをはじめ、運転免許証、保険証、学生証など何でも手に入る状況。しかも日本円で1枚約7000円という安さには驚かされるばかりだ。 見た目や手触りでは偽物か否かの判別はほぼ不可能だが、ICチップの情報を読み取ることができる出入国在留管理庁の「在留カード等読取アプリ」を利用すれば、簡単に真贋判定が可能であるという。 では、そんな「欠陥」のある偽造在留カードに需要があるのはなぜなのか。そこには、人手不足が慢性化するなかで常態化する不法就労者と雇用主との「暗黙の了解」があるようだ。 関東で建設業を営む男性が明かす。 「製造業や建設業界は、これまで頼みの綱だった技能実習生の来日が一時的にストップし、再開した今なお人手不足が続いている。そうしたなか、跋扈(ばっこ)しているのが、不法滞在者や就労資格のない外国人労働者をあっせんする違法人材業者だ」 こう説明して続ける。 「もちろん、雇用者は、就労者の在留資格を確認する義務があり、これを怠ると不法就労助長罪に問われ、3年以下の懲役か、300万円以下の罰金が科せられる可能性がある。ただ、違法人材業者は、あっせんする外国人労働者に偽造在留カードを用意する。違法人材業者を利用する雇用者は、彼らがあっせんする外国人労働者が提示する在留カードが偽造であることを知ってはいるが、そこをただすようなことはしない。なぜなら、不法就労が露見した際にも、『偽造在留カードを提示された』と言えば、善意の第三者として罪に問われることがないからだ」 つまり、偽造在留カードは、雇用主をあざむくために利用されているのではなく、雇用主と不法就労外国人の共犯関係を成立させるために存在しているとも言える。 コロナが急激にもたらした労働力不足とはいえ、雇用主も外国人たちも、いつ落ちてもおかしくない危うい綱を手と手を取り合って渡っている。 =この項おわり 1都3県に住む外国人は120万人とも言われ、東京は文字通りの多民族都市だ。ところが、多文化共生が進むロンドンやニューヨークと比べると、東京在住外国人たちはそれぞれ出身地別のコミュニティーのなかで生活していることが多い。中韓はもとより、ベトナム、ネパール、クルド系など無数の「異邦」が形成されているイメージだ。その境界をまたぎ歩き、東京に散在する異邦を垣間見ていく。境界の向こうでは、われわれもまたエイリアン(異邦人)という意味を込めて。 ■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。著書に「ルポ 新型コロナ詐欺」(扶桑社)など。
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