Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/5427df5209ac2ed096ef7f6d750f1238b40888a2
【列島エイリアンズ】ザル検疫編(2) ゼロコロナ政策からの転換を機に、感染状況が悪化している中国で、21日から1週間にわたる春節休みが始まる。日本は、そんな中国からの海外渡航先の人気ランキングの上位となっているというから、対岸の火事というわけにはいかない。SNS上では「中国からの入国を規制するべきだ」という主張も少なくなかった。一方で、3年間のコロナ禍で疲弊した観光関連業者や飲食業者からは、爆買い中国人の再来に期待する声も漏れ聞こえる。 【ランキング】春節連休中の日本国内の人気訪問先ベスト5 そうしたなか、政府は、中国からの入国者・出国者を対象とした抗原定量やPCR検査を実施する「緊急水際措置」に打って出た。「感染者の入国は阻止しつつ、チャイナマネーはしっかり取り込もう」というわけである。 しかし、コロナ禍において日本の国際空港などで行われてきた検疫体制を見る限り、その緊急水際措置にどれほどの効果があるのか、筆者には疑問だ。 「ウンコみたいな無駄紙」 10日、実業家の堀江貴文氏がツイッターでそう批判したのは、国際便で日本に到着後、検疫書面の審査や提出が不要な入国者に手渡される「健康カード」のことである。 もう少し具体的に説明すると、入国者・帰国者はデジタル庁が運営するVISIT JAPAN WEB(1月13日までは厚労省のMySOSアプリ)で、帰国便搭乗前までに72時間以内の陰性証明書またはワクチン接種証明書をアップし、その有効性が確認できると「検疫手続事前登録」の完了を示す画面が表示される。降機したら、航空機のすぐ外で待ち構える検疫所のスタッフの1人にスマホで提示することで、「健康カード」を受け取れるのだ。この健康カードさえあれば、それ以上の検疫手続は不要で、後は入国審査と税関検査を受けるだけだ。 堀江氏は、VISIT JAPAN WEBでの検疫手続事前登録までがデジタル化されているにもかかわらず、結局はスタッフの目視と健康カードの配布というアナログ極まりない作業が行われることにいらだちを感じたようだが、それ以外の問題もある。実はこのアナログ検疫は、悪意ある者からすれば抜け穴だらけなのだ。 筆者は、この検疫手続事前登録によって入国時のPCR検査が免除となった昨年9月26日以降、商用とプライベートで3度海外に出かけている。そして帰国時には毎回、この「無駄紙」を受け取っているわけだが、欧州から帰国したときのこと。筆者は、同じ飛行機から降りてきた外国人が、1人で複数のスタッフにスマホ画面を提示し、それぞれから健康カードを受け取るのを目撃した。そして彼は、手にした複数の健康カードを3人の同行者に分け与えると、一行はそのまま検疫手続きを受けずに入国したのだった。 健康カード配布役のスタッフが複数おり、配布済みの入国者をチェックする仕組みもないことから、こうしたチート(ごまかし)が可能になっているのだ。 実際に、彼の3人の同行者が追加の検疫手続が必要であったかどうかについては知る由がないが、現在の体制では、検疫手続事前登録を済ませた者が1人いれば、残りの同行者は、ワクチン未接種でも陽性者でも隔離なしの入国が可能ということだ。 =つづく 1都3県に住む外国人は120万人とも言われ、東京は文字通りの多民族都市だ。ところが、多文化共生が進むロンドンやニューヨークと比べると、東京在住外国人たちはそれぞれ出身地別のコミュニティーのなかで生活していることが多い。中韓はもとより、ベトナム、ネパール、クルド系など無数の「異邦」が形成されているイメージだ。その境界をまたぎ歩き、東京に散在する異邦を垣間見ていく。境界の向こうでは、われわれもまたエイリアン(異邦人)という意味を込めて。 ■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。著書に「ルポ 新型コロナ詐欺」(扶桑社)など。
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