Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/942485bc7dfa16b52895de02519f8a08b73d2d5c
能登半島地震で兵庫県北部に津波警報が発表された1月1日午後4時半、サンテレビ(神戸市中央区)は手話に加え、英語やベトナム語など7言語で避難を呼びかける映像を放送した。交流サイト(SNS)では「阪神・淡路大震災の教訓が生きている」と話題に。発案したニュースキャスターの藤岡勇貴さん(39)は「災害時の外国人への呼びかけについて、考えるきっかけになれば」と期待する。(名倉あかり) 【写真】ポルトガル語で避難を促す画面 映像は、発生が懸念される南海トラフ巨大地震を想定し、2022年7月から制作を始めた。災害時は生放送が基本だが、サンテレビは人員の問題などで時間帯によっては早急な緊急放送が難しい。視聴者にできるだけ早く避難を促すことができるよう、事前に収録することにした。 言語は神戸市内に住む外国人の人数を参考に英語、ベトナム語、中国語、韓国語、ネパール語、ポルトガル語、タガログ語とした。各言語の話者らが順に出演し、「津波が来ます。命を守るために今すぐ逃げて」という内容を、声と手書きのフリップで繰り返し訴える。 企画した藤岡さんは洲本市出身で、10歳の時に阪神・淡路を経験した。弟と寝ていたところに祖母が覆いかぶさり、守ってくれたことが記憶に残る。04年の台風23号では実家が全壊。こうした経験からも、災害報道への思い入れは強い。 11年の東日本大震災発生の際は、アナウンサーとして青森朝日放送に勤務していた。生放送で避難を呼びかけたが、今振り返れば、淡々とした口調で大津波警報が発表されたことを強調する内容になっていた。「もっと強く『逃げろ』と言うべきだった」と悔いる。 サンテレビには15年に入社。阪神・淡路では外国人や聴覚障害者が情報を理解できなかったという話を聞き、多言語発信の重要性を感じた。 映像制作に当たり、多言語コミュニティー放送局「FMわぃわぃ」(神戸市長田区)の代表理事、金千秋さんに協力を依頼。各国の出演者を集めてくれた。手直しを加え、映像は23年12月に完成したばかり。元日の地震に金さんは「作っていてよかったと思う半面、必要になったことにぼうぜんとした」と振り返る。 「文字と音声両方での発信はテレビだからできる。自国の仲間の呼びかけは、自分事として届く」と金さん。タガログ語を担当した野田メアリジーンさん(52)=神戸市垂水区=も「放送を通してフィリピンの友人にも危険を理解してもらえた」と手応えを語る。 放送後、SNSでは「素晴らしい」「さすが阪神・淡路を経験した局」などの好意的なコメントとともに画像が拡散。一方で、警報の対象地域外に住む外国人が勘違いしたという声や、「別の言語も必要では」などの指摘もあったという。 サンテレビは津波警報だけでなく、県内に大津波警報が出た場合や地震後の注意点を啓発する映像も用意している。藤岡さんは「災害時に迅速に、確実に放送できるよう工夫していきたい」と語った。
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