Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/b441e248b66bb7e5d07c87538ce0e413f46ef14b
1日の能登半島地震の発生直後、兵庫県の一部に津波警報が発表され、同県を放送エリアとするサンテレビ(神戸市)は日本語以外に7言語でも避難を呼び掛けた。映像は事前に収録されたもの。地方の独立放送局は態勢が手薄で緊急時に即応しにくい課題を抱える中で、阪神・淡路大震災で被災し、東日本大震災も知る局員の発案から生まれた。 【写真】緊急放送用に映像の収録を発案したサンテレビの社会報道部ニュースキャスター、藤岡勇貴さん 今回の地震で石川、富山、福井、新潟各県には、予想される津波の高さが3メートル以上の大津波警報や1~3メートルの津波警報が発表された。兵庫県北部の一部沿岸にも津波警報が出たため、サンテレビは発表から約7分後の午後4時29分に緊急放送を開始した。 まず、アナウンサーが日本語で「命を守るため今すぐ逃げてください。できる限り高いところに逃げてください」などと呼び掛け。同じ内容を、英語▽中国語▽韓国語▽ベトナム語▽ネパール語▽タガログ語▽ポルトガル語―という、放送エリア内に多い在留外国人の母国語でも伝えた。ネーティブスピーカーが順々に登場して発信し、5時50分にニュースが始まるまで繰り返し放送した。 映像は日本語の呼び掛けを含めて事前に収録されたもので、社会報道部ニュースキャスター、藤岡勇貴さん(39)が発案した。兵庫県洲本市出身で、10歳のときに阪神・淡路大震災(平成7年)で被災。大学卒業後にアナウンサーとして就職した青森朝日放送(青森市)では、東日本大震災(23年)の際に津波からの避難を訴えた。 「災害時はスタジオから生放送で、最新情報を伝えるのが基本だ」と語る藤岡さん。しかし、社員約100人のサンテレビは、夜間や休日はアナウンサーらが局にいない時間帯もある。東京のキー局系列ではない独立局のため、態勢が手薄なとき、代わりに避難を呼び掛けてくれる局もない。ましてや地震は元日に発生した。 いつでも、すぐ放送できる映像の収録を思いついた。「収録だからできることがある」という発想で、多言語による呼び掛けも取り入れた。阪神大震災当時「日本語が分からず困った」という外国人がいたことを取材を通じて知り、必要性を感じていたものだ。 大学教員や留学生らの力を借りて収録した大津波と津波、火災への注意を呼び掛ける計3パターンの映像は、昨年12月に完成したばかりだった。放送後、局には「母国語で伝えてくれることで安心できた」という声が寄せられたが、課題も浮かび上がった。
サンテレビが緊急放送を始めるまでに要した時間は約7分。藤岡さんは「うちではありえないスピード」と振り返るが、「たまたま社会報道部長が局内にいたことが大きい」とも。放送を流す最終判断を出せる幹部がいなかったら、開始が遅れた可能性があった。
藤岡さんは「避難の呼び掛けは、遅いと何の意味もない。迅速に放送できる態勢を整える必要がある」と話している。(藤井沙織)
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