2020年4月22日水曜日

アパマン経営「外国人入居者受け入れ」を収益に直結させる方法

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200416-00026198-gonline-bus_all&p=2
4/16(木) 12:00配信、ヤフーニュースより
幻冬舎ゴールドオンライン
在留外国人の増加に伴い、外国人の賃貸住宅へのニーズは右肩上がりに増えています。しかしながら、アパマン経営者にはまだ受け入れのノウハウの蓄積がありません。しかし、ポイントを押さえることで、着実な集客・収益アップにつなげることは可能です。※本記事は、幻冬舎MC『入居希望者殺到の人気物件に化ける 築古マンション超復活メソッド』より一部を抜粋・編集したものです。
外国人のいる世帯の66%は「賃貸住宅に居住」
日本人の人口が減少するなかで、外国人人口が増加しています。法務省入国管理局が発表した資料によると、2016年末における中長期在留者数は204万3872人、特別永住者数は33万8950人で、これらを合わせた在留外国人数は238万2822人。前年末に比べて15万633人(6.7%)も増加しており、過去最高を記録しました。

建設労働者の人手不足や政府による高度外国人人材の受け入れ方針、さらに「外国人留学生30万人計画」の推進などによる影響がこれらの数値に表れています。「東京オリンピック&パラリンピック」が近づくにつれて建設工事ラッシュがさらに加速するため、この数字はますます伸びていくと考えられます。

ちなみに、法務省の発表による2017年6月末時点の、在留カードなどに表記された国籍・地域別で見た場合の在留外国人数の上位7カ国は以下のとおりです。

⓵中国:65万6403人(前年比0.2%増)

⓶韓国:49万7707人(同0.7%減)

⓷フィリピン:22万4048人(同3%増)

⓸ベトナム:12万4820人(同25%増)

⓹ブラジル:17万3038人(同1.4%減)

⓹ネパール:4万8403人(同14.3%増)

⓺米国:5万1523人(同0.5%増)

韓国とブラジルを除いた5つの国が前年比増を記録しました。特に目立つのがベトナムとネパールで、ともに前年比で2ケタ増を記録して他国を大きく上回りました。在留外国人の居住場所も気になるところです。

国勢調査によると、外国人のいる世帯の66%が賃貸住宅に居住しています。日本人を含めた全体の賃貸住宅居住比率が37%であるのに比べ、外国人が賃貸住宅に居住する比率が必然的に高いのが分かります。外国から来た労働者や留学生が一戸建て住宅やマンションを購入するケースは想定しにくいので、この数字は妥当と思われます。

このように在留外国人の数が増えていることに加えて、今後の増加も見込め、さらに賃貸住宅への高いニーズを示しています。賃貸住宅オーナーにとって、外国人は無視できない存在であるといえます。あらためて述べますが、10年後、20年後、日本の生産人口はどんどん少なくなっていきます。国が国力を維持するためには、人口を増やさなければいけないのです。

高齢者や女性の雇用を促進しても追いつく数字ではなく、外国人の受け入れは必須になります。手遅れ感はいなめませんが、それでも法整備は急に行われます。その時に慌てるのではなく、今からきちんと準備しておく必要があります。

国力を維持して経済大国のままでいることを目指すのか、国力維持を諦めて自給自足の生活に戻るのか、日本は岐路に立たされているのです。そしてもちろん、今さら自給自足の生活に戻れるわけはありません。
外国人のコミュニティが「集客のチャンス」に
そんな外国人を居住者として受け入れた場合にはどんなデメリットがあるでしょう。ここに具体例を示しておきます。

●言語や文化が異なるため意思の疎通を図りにくく、ゴミ出しや騒音などに関するルールの徹底がはかりにくい

●連帯保証人を見つけにくい

●収入が安定しない場合は家賃滞納の可能性がある

●いつの間にか居住者が増えているケースがある

●ほかの入居者や近隣住民に警戒されることもある

●文化(特に食生活)の違いから室内が汚れることがある

こうしたデメリットへの対応策としては、外国人居住者のノウハウが豊富な管理会社に相談するのが最適の方法です。こうした管理会社には外国語に堪能なスタッフがいることが多く、なんらかのトラブルやアクシデントが発生した場合でも迅速に対応してくれます。

賃貸住宅オーナーが親身になってコミュニケーションを取り、日本の常識や価値観、生活様式などをていねいに教えるのも良い方法です。親切な大家さんに対しては外国人居住者も心を開いて会話を交わすようになります。こうした親切心溢れる対応が、外国人居住者を受け入れるメリットにつながる事例は豊富にあります。

外国人は、同じ国・地域の出身者で集まる傾向があります。古いところでは、横浜や神戸に中華街ができて多くの台湾人や中国人が集まりました。生産工場が立ち並ぶ群馬県の大泉町には、ブラジル人やペルー人など南米系の人が集まっています。多くの外国人が居住する東京では、韓国人が多い新大久保、インド人が多い西葛西などが有名ですが、最近は高田馬場にミャンマー人が集結しているそうです。

こうしたコミュニティでは住宅に関する情報交換が盛んです。家賃に関する情報はもちろん、管理体制についてもしっかりチェックしています。ゴミ出しなどのマナーに関して厳密な賃貸住宅は敬遠されがちですが、その一方で親切な大家さんのいる賃貸物件は歓迎されます。大家さんと日常的に会話することで日本語の習得が早まり、日本独特の文化や風習にもなじめるからです。
文化が違うのは当然、積極的な交流で理解を深めよう
外国の人たちは、もともと育ってきた文化が違うので、地域で力を合わせて日本の文化、生活習慣を伝える必要があります。そして、ゆるい物件と規律のしっかりした物件では、入居者の質が全く変わってきてしまうのです。

親密度がより深まれば、互いのコミュニティを紹介し合うこともできるでしょう。手料理を振る舞ったり、習い覚えた母国の伝統芸能をお披露目するようなチャンスがめぐってくることも想定できます。運が良ければ、そうした交流からなんらかのビジネスチャンスが生まれるかもしれません。

また、居住する外国人が大家さんの良いエピソードを広めてくれる効果も期待できます。今の時代、信頼できるのはクチコミです。「親切な大家さんのいる賃貸住宅」のクチコミはあっという間に広まり、空室が出た場合でも瞬時に埋まるでしょう。日本人居住者が入居希望者を紹介することはほとんどありませんが、地域でコミュニティを形成する外国人居住者にはタテ・ヨコのつながりがあり、本当に良い物件には高いニーズが見込めるのです。
外国人ニーズの高い物件にする「二つの視点」
コミュニケーションの取れる物件に引っ越そうと思う外国人は、やはりオーナーにとって良い入居者だと考えられます。こうした事例を知り、永続的なニーズがあるのなら積極的に外国人居住者を迎え入れたいと考える賃貸住宅オーナーもいるでしょう。所有する賃貸住宅を外国人ニーズの高い物件に変えるにはどんな方法があるのか。外国人居住者の受け入れには、二つの視点が浮かび上がります。

一つは初期費用です。日本で賃貸物件を借りる場合、前家賃に加えて敷金と礼金を支払うのが一般的です。これを各国の事情に照らし合わせると、敷金は保証金として支払うケースが多いのですが、礼金という習慣のない国・地域が多数あります。このため、礼金の支払いに納得できない外国人も多いのです。

日本の習慣だからと押し通すのは簡単ですが、それまで不人気で困っていた賃貸住宅の礼金をゼロ円にしたとたん、ほとんどの空室が外国人居住者で埋まったという例もあります。「礼金問題」はよく考えてみる必要がありそうです。

もう一つは、外国人の目線を意識した住宅にしないという選択です。ほとんどの外国人には入浴の習慣がなく、たいていの場合シャワーで済ませてしまいます。3点ユニットバスは日本人に不人気ですが、外国人が住む場合は3点ユニットバスでまったく問題ありません。そのぶん、家賃が低ければよいのです。

年季の入った障子や畳に古き良き日本への郷愁を感じ取る外国人もいます。日焼けして色調がどんよりと濁った畳敷きの和室は日本人なら敬遠したいところですが、そこに魅力を感じる外国人がいるのも事実です。

ターゲットを絞ってアピールすれば、老朽化した賃貸住宅をリフォームせずに人気物件にできる可能性があるのです。今後は外国人も日本人と同じで通常の借り手と同じように考えるべきですし、そのためにオーナーとして何ができるか、そのノウハウを持っている管理会社が特に必要になっていくでしょう。

「郷に入っては郷に従え」という言葉どおり、私たちのルールにしっかり従ってもらい、ともに新しい未来を築いていきましょう。頭から外国人を否定する行動や、対策をなんら取らない管理会社は、自分たちの義務を放棄しているのに等しいのです。
住宅確保要配慮者用として登録し、補助金を得る方法も
このほか、「登録制度」を利用する方法もあります。オーナーが所有する物件を「住宅確保要配慮者」の入居を拒まない賃貸住宅として登録すれば、家賃を安く抑えることを目的とした補助金が国と地方公共団体から支給されます。また、入居者が暮らしやすくなるように改修工事などを行う際にも費用の一部を国と地方公共団体が補助するほか、住宅金融支援機構からリフォーム費用の融資を受けることもできます。

住宅確保要配慮者には外国人も含まれているため、住宅金融支援機構による家賃債務保証保険提供の対象にもなります。住宅金融支援機構が住宅確保要配慮者の家賃債務保証について保険引き受けを行っているため、家賃滞納や夜逃げといったアクシデントが発生した場合も大切な家賃を取りはぐれる心配は無用です。

ここまで高齢者と外国人を居住者として受け入れる方策について解説してきました。賃貸住宅を造れば自然に居住者が集まるような時代ではありません。大きく変動する情勢をきちんと見極め、情報収集をしたり対策を練ったりする経営努力が求められています。そのサポートを行うのが管理会社です。やる気と高い能力に満ちた管理会社を確保し、永続的に居住者を確保できる方法を一緒に考えていくことが必要なのです。

小山 友宏
株式会社アークマネージメント 代表取締役

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