2020年4月14日火曜日

ハンストで半減?入管収容者 死亡例受け仮放免増加 出所後も自由なく困窮

Source: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200406-00010006-nishinpc-soci
4/6(月) 11:03配信、ヤフーニュースより
西日本新聞
 強制退去処分となった外国人を収容する西日本唯一の施設「大村入国管理センター」(長崎県大村市)の収容者が昨年6月末の128人から、今年4月は63人に半減した。昨年、仮放免申請を繰り返し却下されていた長期収容者がハンガーストライキの末に死亡。収容者の間に抗議のハンストが広がったため施設側が警戒し、仮放免する事例が増えたとみられる。ただ、外に出ても困窮する外国人は多く、識者は「仮放免では収容者の人権救済につながらない」と指摘する。

【写真】畳敷きの部屋が並ぶ居住区 大村入国管理センター

 「ハンストはだめですよ」。2月、施設の面会室。収容者を支援する同市の川田邦弘さん(68)はネパール人男性を諭した。男性は糖尿病で手足に神経障害があり、ハンストは命にかかわるからだ。

 昨年6月、不法滞在で収容されていたナイジェリア人男性が死亡。「日本人女性との間にできた子どもに会えなくなる」と帰国を拒んだ男性は、収容中の3年7カ月間で4回、仮放免を申請し、いずれも却下されていた。最後は食事を取らず衰弱していた。これが知れ渡ると抗議のハンストが急増。国内にもう一つある東日本入国管理センター(茨城県)でも広がった。
 出入国在留管理庁によると、大村では翌7月以降の半年間だけで延べ44人を仮放免。6人だった前年同期に比べ大幅に増加した。新規収容者は前年の71人から32人に減少。東日本も同じ傾向にあり、昨年6月末と比べ、今年4月の収容者数は2割近く減少している。

 仮放免増加や新規収容減少について、同庁関係者は取材に対し「ハンストによる収容者死亡が(審査に)影響している」と認めた。

 大村のセンターには7年前から常勤医師がいない。非常勤医師が交代で収容者を診察しているが、ハンストには対応できなかった。川田さんは、再び犠牲者が出ることを懸念する施設側が「やむなく仮放免で外に出している」とみる。
 一方で、仮放免されても不法滞在扱いで就労はできず、医療費は全額自己負担になる。長期収容で体調不良の人にとっては生活困窮が避けられず、行方不明になるケースもあるという。

 大村に収容中、体調を崩した日系ブラジル人男性は3月に仮放免されたが、外では通院治療を要する。日本に住む両親は収入が少なく、医療費は家計を圧迫する。取材に「外に出ても自由はない」と嘆いた。

 在留外国人の生活実態を調べる宇都宮大の田巻松雄教授(国際社会論)は「仮放免は自由が制約され、人間的な生活はできない。国は収容者の事情を考慮して特別に在留を許可し、労働や移動の自由を保障するなどの措置が必要だ」と指摘する。 (西田昌矢)
【ワードBOX】仮放免
 出入国在留管理庁の施設に収容されている外国人の身柄を、健康や人道上の理由で一時的に解放する制度。本人や親族の請求によるもので、身元保証人や保証金を要する。審査を経て仮放免されても、原則として請求時に届け出た居住地の都道府県の外には出られない。仮放免中も定期的に入管施設への出頭を命じられ、施設の判断で再び収容されることもある。殺人や強盗など重大犯罪を犯した収容者は原則として対象にならない。

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