三菱UFJモルガン・スタンレー証券の元社員でカナダ出身のグレン・ウッド氏(50)が、育児休業から復帰後、業務から不当に外され、うつ病を発症し休職・解雇に追い込まれたとして、約1300万円の慰謝料や社員としての地位確認などを求めた訴訟の判決が4月3日、東京地裁であり、佐久間健吉裁判長は請求を棄却した。
【写真】ラーメン戦争、舞台は裁判に
ウッド氏は2017年12月、記者会見を開き、育児休業前後の会社の対応が「パタハラ(パタニティ・ハラスメント)」に当たると主張するなど、注目を集めていた。ウッド氏は、近く控訴する予定。
●ウッド氏「パタハラを受けた」と主張
ウッド氏は同社で外資系機関投資家向けのセールスチームを統括する特命部長として勤務していたが、パートナーがネパールで子どもを出産したことを受け、2015年11月から育休を取得すると申請した。
だが、同社は母子手帳の提出がないことなどを理由に拒否し、父子関係を示すDNA鑑定の結果を提出した後の2015年12月に育休取得が許可されたという。
2016年3月に復帰したが、うつ病を発症したため、2017年1月から休職。療養後の2017年7月に復職を申請したものの、同社から業務の変更などを提案され、ウッド氏がこれに応じなかったところ、同社は2017年10月、ウッド氏に休職命令を発令した。
ウッド氏はその後、地位確認などの仮処分の申し立てを経て、2017年12月、提訴に踏み切り、記者会見をおこなった。同社は記者会見を開くなどのメディア対応を問題視し、就業規程に基づく解雇事由に当たるとして、2018年4月にウッド氏を解雇した。
ウッド氏は、育休取得を妨害されて一時的に欠勤扱いとされたことや正当な理由もなく業務を減らされたことなどは「パタハラ」に当たると主張していた。
●会社側「事実に反する発言を繰り返し、職場秩序を損なった」
これに対し、同社は、育休取得前の欠勤は「特別欠勤」として、育休給付金相当以上の額を支給しており、また業務の変更などは育児を担うウッド氏の負担軽減等を考慮した措置であるとして、「パタハラ」との主張を否定していた。
その上で、ウッド氏が会見を開くなどして同社がハラスメントをしたかのような事実に反する発言を繰り返したこと、それにより上司の人格を傷つけ職場秩序を損なったことなどが就業規程に基づく解雇事由に当たると主張していた。
●裁判所「パタハラとは認められない」
判決は、ウッド氏の育児休業取得前における同社の対応について、「法律上の親子関係が確認できない中で、可能な限りで原告の意向に沿うように対応したもの」であり、特別欠勤の扱いも不相当なものとはいえず、育休取得妨害があったとはいえないとした。
また、正当な理由もなく業務を減らされたなどの主張については、「育児休業取得を理由として従前の業務から原告を外したとは認められない」などとし、パタハラであるとのウッド氏の主張を全面的に退けた。
その上で、ウッド氏が記者会見などで述べた内容などが、会社の信用を傷つけ又は会社の利益を損なう行為であると認定。同社の就業規程に基づく解雇は、「社会通念上相当であると認められる」とした。
【写真】ラーメン戦争、舞台は裁判に
ウッド氏は2017年12月、記者会見を開き、育児休業前後の会社の対応が「パタハラ(パタニティ・ハラスメント)」に当たると主張するなど、注目を集めていた。ウッド氏は、近く控訴する予定。
●ウッド氏「パタハラを受けた」と主張
ウッド氏は同社で外資系機関投資家向けのセールスチームを統括する特命部長として勤務していたが、パートナーがネパールで子どもを出産したことを受け、2015年11月から育休を取得すると申請した。
だが、同社は母子手帳の提出がないことなどを理由に拒否し、父子関係を示すDNA鑑定の結果を提出した後の2015年12月に育休取得が許可されたという。
2016年3月に復帰したが、うつ病を発症したため、2017年1月から休職。療養後の2017年7月に復職を申請したものの、同社から業務の変更などを提案され、ウッド氏がこれに応じなかったところ、同社は2017年10月、ウッド氏に休職命令を発令した。
ウッド氏はその後、地位確認などの仮処分の申し立てを経て、2017年12月、提訴に踏み切り、記者会見をおこなった。同社は記者会見を開くなどのメディア対応を問題視し、就業規程に基づく解雇事由に当たるとして、2018年4月にウッド氏を解雇した。
ウッド氏は、育休取得を妨害されて一時的に欠勤扱いとされたことや正当な理由もなく業務を減らされたことなどは「パタハラ」に当たると主張していた。
●会社側「事実に反する発言を繰り返し、職場秩序を損なった」
これに対し、同社は、育休取得前の欠勤は「特別欠勤」として、育休給付金相当以上の額を支給しており、また業務の変更などは育児を担うウッド氏の負担軽減等を考慮した措置であるとして、「パタハラ」との主張を否定していた。
その上で、ウッド氏が会見を開くなどして同社がハラスメントをしたかのような事実に反する発言を繰り返したこと、それにより上司の人格を傷つけ職場秩序を損なったことなどが就業規程に基づく解雇事由に当たると主張していた。
●裁判所「パタハラとは認められない」
判決は、ウッド氏の育児休業取得前における同社の対応について、「法律上の親子関係が確認できない中で、可能な限りで原告の意向に沿うように対応したもの」であり、特別欠勤の扱いも不相当なものとはいえず、育休取得妨害があったとはいえないとした。
また、正当な理由もなく業務を減らされたなどの主張については、「育児休業取得を理由として従前の業務から原告を外したとは認められない」などとし、パタハラであるとのウッド氏の主張を全面的に退けた。
その上で、ウッド氏が記者会見などで述べた内容などが、会社の信用を傷つけ又は会社の利益を損なう行為であると認定。同社の就業規程に基づく解雇は、「社会通念上相当であると認められる」とした。
弁護士ドットコムニュース編集部
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