Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/05b8595f77a21f5fa2c757ef59cfb8a97457a657
新型コロナウイルス感染拡大は、外国人留学生の就職活動にも大きな影を落としている。外出自粛の長期化やインバウンド(訪日外国人客)の激減により、宿泊、観光をはじめとする多くの業界が、採用を見送っていることが背景にあるようだ。日本での就職がかなわなかった学生は例外的に進級し、留学ビザを更新して就活に臨むが、不透明な状況が続く。
■採用止められ
「面接に進んでも、コロナ下で採用活動を止められてしまうことがあった」。ネパール出身で、群馬県の県央地域の専門学校に通うニラウラ・リージャンさん(28)は今月上旬、就職先が決まらず、大きな不安と焦りを感じていた。
同校によると、卒業生の就職率は例年100%だったが、3月時点で6割まで落ち込んだ。就職できなかった学生の2割が進級・進学し、1割強が「特定活動」の在留資格を取得して就活を続けているという。
ニラウラさんはホテルや旅館での就職を希望していたが、昨年の就活では内定が得られず、3年に進級した。「内定をもらえていない友人も多い。もし卒業までに就職先が決まらなかったら」と不安な気持ちを口にした。
インバウンドに期待する宿泊、観光業界では本来、国際感覚豊かな外国人留学生は「貴重な人材」(旅館関係者)だった。しかし、状況はコロナで一変。厳しい現状に直面した。草津温泉のあるホテルの担当者は「売り上げは5割落ちた。ホテル自体の存続にも関わるこの状況では、従業員の雇用を維持することで精いっぱい」と説明する。
■収束後見据え
人材サービス大手のパソナグループ(東京都)の担当者はコロナの影響で観光や宿泊関連で人材紹介の需要が減り、打撃を受けていると指摘。同社は留学生の就労支援にも力を入れており、「留学生は慣れない日本での就活で、就職関連の情報を得ることが難しい。コロナ下で学校に行けないなど、課題が一層大きくなっている」と話した。
一方、コロナ後を見据えた動きも。ある専門学校では7日、さいたま市内の人材派遣会社が採用活動をしていた。この日は留学生25人を面接し、「早めに荷物をまとめられますか」「群馬、神奈川、静岡、どの旅館に行くかは今は分かりませんが、それでも大丈夫ですか」といった説明が繰り返されていた。
同社によると、今後は専門学校の夏季休暇期間を使って、各地の旅館で本格採用に向けたアルバイトに取り組んでもらうという。
採用面接を受けたインドネシア出身の留学生(23)は言った。「旅館はこれまで募集があまりなくて大変だった。どこに行っても一生懸命働きます」
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【メモ】日本学生支援機構によると、2019年4月~20年3月に専門学校や大学などを卒業した外国人留学生のうち、日本国内で就職したのは37%に当たる約2万3000人。私費留学生を対象に同機構が行った19年度の実態調査では、日本での就職を希望する留学生が全体の55%を占めた。
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