Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/fec6fa62e6a854e2106268b0bd086e4e35ff1cfb
田村専門委員の「まるごと医療」
日本に住むベトナム人の9割以上が新型コロナワクチンの接種を希望している一方、人も6割にのぼるという調査結果が、京都の病院に勤めるベトナム人医師が駐日ベトナム大使館などを通じて実施した全国アンケートで分かった。 ワクチン接種をめぐる状況が日々変化しているなかで、外国人にとって言葉の壁が情報不足の大きな要因となっている。調査を公表した京都府保険医協会は、ベトナム人に限った問題ではなく、約300万人の在日外国人に共通する課題であるとして、接種を希望する外国人が言葉の壁などが理由で接種を受けられないことがないよう、国や自治体に対し対策を求めている。
日本語での接種案内「読めない」、予約も「できない」
調査は、京都民医連中央病院に勤務するファム・グェン・クィー医師らが、在日ベトナム大使館や20以上の在日ベトナム人コミュニティーやネットワークを通じ、今年3月にインターネットでアンケートした。東京、大阪、埼玉、愛知、神奈川をはじめ全国から2062人の回答があった。 回答者の内訳は、技能実習生、人文知識・技術等や高度人材の労働者、留学生・研究生などで、20歳代が7割近くを占めた。日本語能力試験では5段階で上から2、3番目のN2~N3レベルが約半分だったが、資格がない・ほぼ分からないと答えた人も約4分の1いた。また、日本語能力試験はよくできても、医学用語は分からないことがあるという。 「予防接種を受けたいかどうか」の設問では、93.5%が「受けたい」と答えた。一方、「無料で接種できることを知っているか」との設問には、59.9%が「知らない」と回答した。「外国人向けの予防接種の情報不足について心配か」の設問では、「とても心配」「心配」が合わせて66.0%で、「少し心配」「全く心配しない」を上回った。 具体的な心配やバリアについて訪ねたところ、日本語がわからないために、「自宅へ郵送される案内が読めない」ことや「接種の返事や予約ができない」のではないかなどの答えが多くみられた。 さらに、「予防接種の副反応に対する心配」「副反応が出た場合の対策」や「仕事が中断される」こと、「入院治療が必要になった時の経済的負担」などを心配する声も強かった。
接種券配布時の外国語による説明書、各言語と日本語併記の予診票を
予防接種に関する希望について尋ねた設問では、「便利な接種場所」や「ベトナム語での有効性や副反応の資料」「ベトナム語で相談できるホットライン・窓口」などの答えが多く挙げられた。また、情報窓口の手段としては、フェイスブック・メッセンジャーを希望する声が多かった。 アンケート結果を受けて、京都府保険医協会は4月、国や自治体に対し、接種券配布時の外国語による説明書の一律添付、在日外国人のための集団接種会場の設置、各言語に日本語表記を併記した予診票の作成などを求める要請書を提出している。京都市のホームページでは、ワクチン情報の外国語対応として英語、中国語、韓国語の他にベトナム語も加えられている。
在留資格の有無にかかわらず
7月には65歳未満の人への接種が本格化する見通しで、技能実習生らを含む在日外国人の接種についても早急な対応が求められる。 読売新聞(6月18日)によると、政府は在留資格の有無にかかわらず、ワクチンの接種を希望する人が確実に接種できるよう支援する考えだ。https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20210618-OYT1T50204/ 「外国人在留支援センター(FRESC)」は、コロナの影響で困っている外国人のための電話相談窓口を設けている(フリーダイヤル 0120・76・2029(月~金曜日、午前9時~午後5時))。14言語(やさしい日本語、英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語、ネパール語、タイ語、インドネシア語、フィリピノ(タガログ)語、ミャンマー語、クメール(カンボジア)語、モンゴル語)で対応している。http://www.moj.go.jp/isa/support/fresc/fresc01.html
田村 良彦(たむら・よしひこ)
読売新聞東京本社メディア局専門委員。1986年早稲田大学政治経済学部卒、同年読売新聞東京本社入社。97年から編集局医療情報室(現・医療部)で連載「医療ルネサンス」「病院の実力」などを担当。西部本社社会部次長兼編集委員、東京本社編集委員(医療部)などを経て2019年6月から現職。
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