Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/f0f06472ce6eb54ea5fe4497a9c820028a95e3c1
【列島エイリアンズ】 外国人の人材斡旋団体A(都内)は、就職希望の外国人には「面接受け放題」をうたい文句に高額な登録料を課し、一方で人材不足にあえぐ企業には、入管法違反になるような行為や、採用の意向がないにもかかわらず「形だけの面接」をするようそそのかしていることも分かった。 コロナ禍の人材市場の混乱につけ込む、不埒な団体Aに対し、筆者は取材を申し込んだ。するとしばらくして、「担当者」を名乗る人物から、筆者が伝えていた携帯電話番号に連絡があった。 筆者はまず、Aと契約した複数の外国人から契約不履行の「被害報告」が多数上がっていることについて質(ただ)した。 すると担当者は、「件数についてはこちらでは把握していないが、どんな企業でも顧客からクレームが上がることくらいはあるでしょう」と事も無げに言い放った。 さらに「こちらとしては契約書に書いてあることはやっているし、書いてないことはやっていない。こうしたトラブルはコミュニケーション上の行き違いが原因。相手は日本語が完ぺきではない外国人ですから、そういうことも起こる」と、全責任を押し付けるような発言をしたのだった。 しかし、外国人向けのサービスを手掛けるのであれば、コミュニケーション上の行き違いが起きないよう努める義務は企業側にあるのではないだろうか。 さらに筆者は、単純労働扱いのためにビザが発給されにくい現場作業員の採用を希望する建築会社経営の男性に、ビザ受給が比較的容易な「CAD(※設計や製図に使われるソフト)業務」人材として採用したかのように見せかけるという、入管法違反にも問われかねない行為をそそのかしていたこと。そして「採用しなくていいから面接だけしてやってくれ」と打診していたことについても問うた。 これに対しても担当者は、「建設業者の経営者はビザ制度に対して無知な人が多い。そういう人たちに正しい知識を持ってもらうためにわれわれは活動しているのだが、誤解されることも多い」と、相手に責任を転嫁する弁明に終始した。 揚げ句の果てには、質問を続ける筆者を遮り、「実は私はご連絡いただいた会社と同じスペースに入居する別会社の人間だ」と言い始める始末。 しかし、筆者は間違いなく団体Aが公開している電話番号に取材申し込みを行い、その担当者として当人が私の携帯電話に電話してきたのだ。 筆者は念のため、一旦電話を切ってもう一度団体Aに電話をかけた。すると受付のスタッフから電話を回されたのは、やはり同じ担当者だったのだ。何と言う茶番だろう。 彼は「うちは団体Aと電話番号を共有している。団体Aの担当者は不在だ。電話があったことを伝える」ということだったが、今の今までAの担当者からは返事がない。 ちなみにこの担当者が自身の所属として名乗った企業名は団体Zという。このZの名前をネット検索すると、A同様に外国人からとみられる複数の被害報告がヒットした。 外国人労働者の受け入れ拡大へと向かう日本だが、彼らをカモにするようなこうした悪徳業者を一掃することが急務である。 ■1都3県に住む外国人は120万人とも言われ、東京は文字通りの多民族都市だ。ところが、多文化共生が進むロンドンやニューヨークと比べると、東京在住外国人たちはそれぞれ出身地別のコミュニティーのなかで生活していることが多い。中韓はもとより、ベトナム、ネパール、クルド系など無数の「異邦」が形成されているイメージだ。その境界をまたぎ歩き、東京に散在する異邦を垣間見ていく。境界の向こうでは、われわれもまたエイリアン(異邦人)という意味を込めて。 ■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。著書に「ルポ 新型コロナ詐欺」(扶桑社)など。
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