Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/80b887a9010ec143ffe32e9988bd5fab5e5e1eac
エリクソン・ジャパン(以下、エリクソン)は2022年7月8日に記者説明会を開催し、同年6月に発行した、世界の移動通信市場のトレンドに関する調査報告書「エリクソンモビリティレポート」最新版の概要について説明した。 セルラーIoT接続数の推移[クリックで拡大] 出所:エリクソン・ジャパン
既に全人口の35%をカバーする5G
同レポートによると、5G(第5世代移動通信)は現状、商用ネットワークが世界で214(2022年4月時点)あり、世界の人口カバレッジは35%(2021年11月時点)まで拡大しているという。5G SA(standalone)ネットワークの導入も増加し、24事業者(2022年4月時点)が商用運用を開始している。また、韓国の5Gによる月間データ利用量は27ギガバイト(GB、2022年4月時点)で、全トラフィックにおける5Gの割合は69%(同)を占める状況となっている。 5G対応デバイスによる5G加入契約数は、2022年第1四半期中に7000万件増加し、約6億2000万件に到達。2022年末までに10億件を超え、2027年には全加入契約の約48%にあたる44億件にまで拡大することが予測されている。エリクソンのCTO(最高技術責任者)を務める藤岡雅宣氏は、「立ち上がりから4年で10億件に到達する見込みであり、このペースは4Gより2年ほど早い」と説明した。この主な要因としては、複数のベンダーが4Gの時よりもデバイスをタイムリーに提供し、急速に値段が下落したことや中国における5Gの大量で早期の導入などが挙げられるという。 現在、5Gの普及率が最も高いのは北米と北東アジアで、湾岸協力会議諸国(Gulf Cooperation Council:GCC)と西欧がそれに続く。2027年の普及率は北米が90%、西欧が82%、GCCが80%に達する見込みだ。 世界の総モバイルデータトラフィック(FWA[固定無線アクセス]を含める)は、2021年末時点で84エクサバイト(EB)だったが、2027年の終わりには368EBにまで達する見込み。特に、5Gのモバイルデータトラフィックは2021年には全体の約10%だったのが、2027年には60%にまで成長すると予測されている。また、5Gの人口カバレッジは2027年には75%に拡大する見込みだという。 そのけん引役であるスマートフォン1台当たりの世界の月間平均データ利用量は2021年時点で12GBだったのが、2027年には40GBに達する見込みだ。2027年の月間平均データ利用量を地域別でみると、無制限のデータプランやカバレッジ/容量の改善などの要因から2027年の5G普及率90%が見込まれる北米が52GBとなるほか、西欧も同様に52GBに拡大。GCCやインド、ネパール、ブータン(インド地域)も50GBにまで増加することが見込まれている。
急加速が見込まれる、インドの5G
エリクソンは、今回のレポートで特にインドを「最も急速に経済成長している国の一つ」として取り上げている。藤岡氏は、「インドでは固定網があまり発展していないことから、モバイルに重きを置いており、急速に拡大している」と説明。同国では過去5年間で、スマホの急速な普及と4Gへの移行が見られ、インド地域全体で見るとモバイル加入契約数に占める4Gの割合は、2016年の9%から2021年には68%にまで急増したという。さらに、同地域全体では、モバイルデータトラフィックは過去5年で15倍を超えて増加したうえ、今後3年でさらに2倍を超えて増加すると予測している。 インド地域において5Gはまだ商用化されていないが、エリクソンの調査によると、5G導入への消費者の関心は高く、サービス開始の初年に4000万人のユーザーが5G利用を開始する可能性があるという。結果、2027年末までに同地域のモバイル加入契約の39%にあたる5億件に達するとも予測。それまでに同地域のモバイルデータの56%は5Gによるものになり、スマホユーザーは1カ月あたり平均50GBのデータを消費するようになる見込みだ。
5Gで加速するFWAサービス
FWAの展開も拡大している。レポートの調査対象となった100カ国の通信事業者のうち既に75%以上がFWAサービスを提供。全地域で50%以上の事業者がFWAサービスを提供しており、うち北米では全事業者がFWAを提供しているという。さらに、5G FWAサービスを提供する通信事業者数は過去半年で57社から75社へと約30%増加。特に北米での伸びが大きく、調査対象の全通信事業者の60%が5G FWAサービスを提供している。 同社の調査によると、2021年末までに9000万件近くのFWA接続があったという。この数字はさらに拡大し2022年には1億件を超え、2027年には約2億3000万件にまで達することが予測されている。なお、この2億3000万件のうち、5G FWA接続数は約1億1000万件と半数近くを占める見込みだという。
5Gデバイス機能進化のロードマップ
5Gデバイス機能進化のロードマップについては、2022年にこれまで導入されたデバイスには、SA向けに2から3のNR(New Radio)キャリアに拡張されたキャリアアグリゲーションや、NRデュアルコネクティビティなどの機能改善がみられたと説明。今後、2023年には4つのCCを使ったキャリアアグリエ―ションや上りリンクキャリアアグリゲーションが登場するほか、ミリ波についても「2023年あるいは2024年ぐらいから立ち上がるだろう」(藤岡氏)としている。
2023年には2G、3G上回るマッシブIoT
セルラーIoT(モノのインターネット)接続のデバイス数も増加を続けており、2027年には55億個にまで達するという。 同社はレポートにおいて特に、「2021年にマッシブIoT(NB-IoTやCat-M)が大幅に成長した」と説明。NB-IoTおよびCat-Mによって接続されるデバイス数は、2021年に約80%増加し、約3億3000万台近くに達したという。このデバイス数は2023年には2Gおよび3Gで接続されたIoTデバイスを上回るうえ、2027年にはブロードバンドIoT(4Gおよび5G)をも上回り、全モバイルIoT接続の51%を占めることになると予測している。
EE Times Japan
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