Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/fd70b6e8d368d49dd4432cabc6018e84bec9253d
【列島エイリアンズ】 少子高齢化による人手不足を食い止めるため、高度外国人材の受け入れ拡大へとかじを切ったのは故・安倍晋三元首相の政策だった。しかし、そこにいま大きな問題が立ちはだかっている。諸外国と比較すると賃金水準が低下しており、円安も進行中の日本は、外国人労働者にとってもはや魅力的な場所ではなくなってきているのだ。 日本の大学を卒業し、都内の不動産会社に8年間勤務した30代の中国人男性Lさんは、退職して帰国することを決めたばかりだ。 「今の額面の給料は600万円程度ですが、入社5年目からはほとんど上がらなくなった。それに最近は円安が進んでいて、人民元に換算したときの金額がどんどん下がっていっている。高校の時の同級生たちは、みんな中国で大企業に勤め、日本円にすると800万円以上稼いでいる。日本と中国の経済の先行きを比べても、帰国した方がいいと思い、決断しました。帰国後は上海の企業で働くことが決まっています。年収500万円程度からのスタートですが、2年目からは今以上の給与になる見込みです」 さらにLさんによると、都内の金融機関で働いていた知人の中国人男性は先月、シンガポールの証券会社に約2倍の給与でヘッドハンティングされ、日本を去ったばかりだという。 同様の現象は、裏社会でも起きている。中国系裏風俗に詳しいA氏が明かす。 「コロナの収束ムードとともに、都内の盛り場もにぎわいを取り戻し始めましたが、中国エステを中心とする外国人系裏風俗が頭を悩ませているのが人手不足。かつてはタイやベトナムの女の子を留学ビザなどで呼び寄せて働かせるというのが典型的なやり方だったが、今やもう大した稼ぎにならないから日本に来たがらない。すでに働いていた女の子たちも、帰国したり、オーストラリアなどの第三国に出国したりと、日本を去る女の子が続出しているんです」 国際的地位の低下が続く日本は、出稼ぎ風俗嬢からも見放されてしまったというわけだ。その一方で、日本を去った外国人風俗嬢を意外な国籍の女性たちが補完している。 =つづく ■1都3県に住む外国人は120万人とも言われ、東京は文字通りの多民族都市だ。ところが、多文化共生が進むロンドンやニューヨークと比べると、東京在住外国人たちはそれぞれ出身地別のコミュニティーのなかで生活していることが多い。中韓はもとより、ベトナム、ネパール、クルド系など無数の「異邦」が形成されているイメージだ。その境界をまたぎ歩き、東京に散在する異邦を垣間見ていく。境界の向こうでは、われわれもまたエイリアン(異邦人)という意味を込めて。 ■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。著書に「ルポ 新型コロナ詐欺」(扶桑社)など。
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