Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/32ba672dab7766bb60f0b88e6ae0f9f7c49ad855
日本百名山に数えられる北アルプス薬師岳(富山市)の山頂、標高2926メートルの天空で、半世紀にわたり風雪に耐えてきた築52年の祠(ほこら)「薬師堂」が、老朽化のため建て替えが必要となり、ネット上で資金を募っている。病気平癒の仏、薬師如来をまつる祠。山小屋のマスターらは「コロナという疫病から登山者らを見守ってくれている仏様の祠。令和の時代にも守っていきたい」と願っている。 薬師堂は江戸時代後期、麓の村人たちが薬師如来をまつったのが始まり。何度も建て替えられ、現在の祠は昭和44年に落雷で崩れた先代を翌年、地元の観光協会が再建したものという。 安置されている薬師如来像は、冬場は麓の寺、大川(だいせん)寺で保管され、6月の夏山開きの際に担ぎ上げて祠にまつられる。その祠は長年の風雪で木枠の浸食が激しく、ガラスが抜けて板で覆っている状態で、このたび「令和の再建」を決めた。 ただ、高地での作業のため、高い場所で作業できる大工の確保をはじめ、通常の建築費のほかに資材を運ぶヘリコプターの費用や、荷物を担いで登る「歩荷(ぼっか)」の人件費などがかさむ。総額350万円が見込まれることから、クラウドファンディングに挑戦しようと有志で「薬師堂再建協議会」を結成した。 すでに支援金のほか、常連の山男たちから「何かできること、ありますか」「歩荷だったら手伝えます」など応援の声が寄せられているという。ネパールから研修に来ているシェルパとトレッキングガイドの2人も、「石垣の修復を手伝います」と申し出た。 協議会会長で薬師岳の山小屋「太郎平(たろうだいら)小屋」のマスター、五十嶋(いそじま)博文さん(82)は、薬師岳に登って65年。薬師岳では昭和38年の「サンパチ豪雪」の際、愛知大山岳部13人が遭難し行方不明となった。各新聞社が取材に押し寄せ、五十嶋さんは「サンケイ捜索隊」に協力したという。 こうした歴史も含め、長年にわたり登山者の安全を見守ってきた薬師如来。五十嶋さんは「これからも薬師さまに見守ってほしい。新しい祠ができたら、ぜひ薬師岳に登ってお参りにきてください」と話す。 現在の祠は9月末に撤去し、来年、新たな祠を建てる予定。詳しくはクラウドファンディングのサイト(https://readyfor.jp/projects/yakushidou)。
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