Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/b1b7baf9ae8d72869058ff522f8babc80d81aee2
インフルエンザの流行がほとんどみられなかった昨シーズンとは打って変わって、今シーズンは大きな流行になる可能性が指摘されている。新型コロナウイルス感染症と同時流行した場合、どうなるのか。ワクチン接種のスケジュールや発症した場合の注意点について、専門家に聞いた。 【画像】軽症~重症まで 新型コロナウイルスの治療薬の種類はこちら
* * * 今冬は、インフルエンザの流行が世界各国で警戒され、英国政府は例年の1.5倍の大きな流行になる可能性を指摘している。インドやバングラデシュ、ネパールなどの日本から比較的近い国では、今夏も流行しているため、入国規制が緩和されれば、当然インフルエンザウイルスも入ってくる可能性がある。さらに、昨シーズンの感染者が少なかったことから、社会全体で集団免疫が低下しているため、流行しやすくなることも危惧されている。 日本感染症学会のインフルエンザ委員会委員を務める菅谷憲夫医師(神奈川県・けいゆう病院)が問題視しているのは、インフルエンザの流行による医療崩壊だ。 コロナ禍で、インフルエンザ重症化のリスクが高まる 「インフルエンザは流行し始めると、1カ月くらいでピークを迎えます。例年は12月ごろから増え始めて、1月下旬から2月上旬にピークを迎える傾向があります。新型コロナウイルスの陽性者数は累積で約170万人(2021年10月時点)ですが、インフルエンザは大きな流行があったシーズンで1000万人以上、小さな流行だったシーズンでも600万人程度がかかります。新型コロナとインフルエンザ、同時に流行すれば、医療崩壊を起こすことが考えられます」 インフルエンザはたとえ発症したとしても、迅速診断や抗インフルエンザウイルス薬による早期治療で、重症化を抑えられる。抗インフルエンザウイルス薬は、発症から48時間以内に服用を開始すると効果的だが、それ以上経過してから服用しても十分な効果を期待できない。新型コロナとインフルエンザが同時に流行し、医療機関ですぐに診断してもらえないような状況になれば、治療開始が遅れ、重症化することが考えられる。
「新型コロナとインフルエンザは、たとえ医師でも症状から見分けることはできないので、同時に流行すれば混乱することが目に見えています。そうならないためにも、発熱外来だけではなく、一般的な病院やクリニックでも積極的に発熱患者を診る体制をつくっておく必要があると思います。同時にインフルエンザワクチンの接種を進めていくことが大事です」 新型コロナのワクチンをこれから打つ予定の人は、接種スケジュールも気になるところだ。欧米ではすでに、右腕にコロナ、左腕にインフルといったふうに、腕を変えての同時接種が始まっている国もある。しかし日本の場合、現時点では新型コロナのワクチンとそれ以外のワクチンは、2週間の間隔をあけることになっている。ではどちらのワクチンを優先すべきか。 「現時点では、死亡率の割合が高い新型コロナのワクチンを優先したほうがいいでしょう」 自宅療養時の注意点 どちらも流行している場合、発熱すると両方の検査を受けることになる。現在は共通の検体で新型コロナとインフルエンザを同時に検査できるキットもある。陽性となって自宅療養する場合、どのような点に注意すればいいのか。 「インフルエンザは解熱後もウイルスを排出すると言われているので、発症後5日間、かつ解熱後2日間は自宅療養となっています。一方新型コロナは発症後1週間ほどたってから肺炎が重症化しやすいという特徴があるので、発症後10日目くらいまでは症状の再燃、悪化に注意すべきです」 インフルエンザと新型コロナは同時感染すると、重症化しやすいという報告もある。新型コロナ感染者の減少傾向は続いているが、第6波に向けた備えも必要だ。インフルエンザの予防もその1つといえるだろう。 (文/中寺暁子)
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