Source:https://courrier.jp/news/archives/298484/
Googleニュースより
Text by Emily Schmall
幼い少女たちから選ばれる、ネパールの生きた女神「クマリ」。かつてその一人として、王族や人々から崇められた女性がいま、この伝統に新しい風を吹き込んでいる。避けられてきた幼い「女神」への教育を、当たり前のものにしようとしているのだ。
女神から会社員へ
その6歳の女神が4日間泣き続けたとき、それはネパールにとって不吉な予兆と思われた。彼女の涙は、これから国に起こる悲劇を予見しているかのようだった。
2001年6月1日、その女神が泣き続けた最後の日、当時のネパール王太子は王族メンバー9人を殺害した。そこには王太子の両親、ビレンドラ王とアイシュワリヤ王妃も含まれていた。そしてその後、王太子自身も拳銃で自らの命を絶った。
事件から20年以上経ったいま、かつてまさにこの女神であったチャニラ・ヴァジュラチャリアは、首都カトマンズから数キロ離れた古都パタンにある何の変哲もないオフィスで、昔よりもずっと世俗的なことに携わっていた。
MBAを取得したばかりの彼女は、勤務先である金融関係の企業で、ローン審査を処理していたのだ。
彼女のように、ヒンドゥー教の「生きた女神」として崇められる思春期前の少女たちは「クマリ」と呼ばれる。ヴァジュラチャリアには会社員として働く能力があり、彼女はその点で、ほかの元クマリたちと一線を画している。というのも、大半のクマリは教育を受けさせてもらえなかったのだ。
「かつて人々は、私たちが『女神なんだから何でも知っているはずだ』と思っていました」と27歳になったヴァジュラチャリアは言う。「女神に何かを教えるなどという恐れ多いことを、誰がするでしょうか」
彼女は実家のあるこのパタンの地で10年間、クマリとしての務めを果たした。
幼い少女が唇を真っ赤に塗り、墨でアイラインを引くのがクマリの正装だ。在任中、彼女の前には人々が長蛇の列をなし、地面につけることを許されない彼女の小さな足にひざまずいた。
なぜ幼い少女が女神になるのか
彼女のように、ヒンドゥー教の「生きた女神」として崇められる思春期前の少女たちは「クマリ」と呼ばれる。ヴァジュラチャリアには会社員として働く能力があり、彼女はその点で、ほかの元クマリたちと一線を画している。というのも、大半のクマリは教育を受けさせてもらえなかったのだ。
「かつて人々は、私たちが『女神なんだから何でも知っているはずだ』と思っていました」と27歳になったヴァジュラチャリアは言う。「女神に何かを教えるなどという恐れ多いことを、誰がするでしょうか」
彼女は実家のあるこのパタンの地で10年間、クマリとしての務めを果たした。
幼い少女が唇を真っ赤に塗り、墨でアイラインを引くのがクマリの正装だ。在任中、彼女の前には人々が長蛇の列をなし、地面につけることを許されない彼女の小さな足にひざまずいた。
人々が現金やフルーツを真鍮の鉢に入れると、ヴァジュラチャリアは無言で赤いサテンに覆われた腕を伸ばし、彼らの額に朱色の粉で「ティカ」と呼ばれる印をつけ、祝福を施した。
ネパール語で「処女」を意味するクマリの制度は、7世紀も前に遡る。この制度は、王に助言を与えていたヒンドゥー教の女神タレージュの物語に端を発している。
物語はこうだ。ある日、女神と会った王は、彼女を陵辱しようとした。すると女神は消えてしまった。王は深く悔い改めた。それを見た女神はこう言った。「私は二度と肉体を伴って現われません。その代わり、幼い少女を崇めなさい。その少女を通じて、私はあなたに助言を与え続けるでしょう」
そうして14世紀以降、わずか2歳ほどの少女たちが、カトマンズ盆地に住むネワール人コミュニティの仏教徒家庭から、女神として選ばれるようになったのだ。
常時、十数人のクマリが存在するが、フルタイムで活動するのは3人だけだ。彼女たちはカトマンズ盆地にある3つの古代王国を代表しており、そこにパタンも含まれる。ヴァジュラチャリアによれば、他のクマリは「パートタイム」で活動しているのだという。
ネパール語で「処女」を意味するクマリの制度は、7世紀も前に遡る。この制度は、王に助言を与えていたヒンドゥー教の女神タレージュの物語に端を発している。
物語はこうだ。ある日、女神と会った王は、彼女を陵辱しようとした。すると女神は消えてしまった。王は深く悔い改めた。それを見た女神はこう言った。「私は二度と肉体を伴って現われません。その代わり、幼い少女を崇めなさい。その少女を通じて、私はあなたに助言を与え続けるでしょう」
そうして14世紀以降、わずか2歳ほどの少女たちが、カトマンズ盆地に住むネワール人コミュニティの仏教徒家庭から、女神として選ばれるようになったのだ。
元クマリの女性たちの苦労
常時、十数人のクマリが存在するが、フルタイムで活動するのは3人だけだ。彼女たちはカトマンズ盆地にある3つの古代王国を代表しており、そこにパタンも含まれる。ヴァジュラチャリアによれば、他のクマリは「パートタイム」で活動しているのだという。
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