Source:https://news.yahoo.co.jp/byline/yoshizakieijinho/20220829-00312135
記憶にない、とご本人はいう。
「HPに記録が残っているなら出席したということでは?」とも。
一連の「自民党と統一教会」関連のスキャンダル。そのうち先週木曜日(25日)の山際大志郎経済再生担当大臣による釈明会見での話だ。
25日の会見では2016年のネパール、2019年の都内での統一教会関連イベント参加に加え、さらに2010年の韓国でのイベントの話も出た。
同日の会見で、山際大臣はこう答えた。
「正直に申し上げますね。2016年・2019年のものですら定かではないわけです。そこから、さらに前のものに対して、よっぽど強烈な印象に残っているイベントでない限りは、今の段階で『記憶をたどれ』と言われても、正直申し上げて難しい」
それについて「さすがに苦しい弁明では?」「あやふや」「言い逃れ」「後出しジャンケン」との意見が相次ぐ。海外に行った記憶、簡単に忘れられるものだろうか、と。
"HP情報"のちょっとした「盲点」
それならば、こちらで記録を辿ろう。25日の会見で新たに出た「2010年のイベント」についてだ。
該当するのはソウルで行われた「国際指導者会議(ILC2010)」。
教団の関連団体「天宙平和連合(UPF)」の主催により、2010年2月16日~20日に行われた。
25日の会見で山際大臣にぶつけられた「参加の証拠」は、主催UPFの英語版サイトに出ていた情報ではないかと思われる。
Opening Dinner and Orientation
テレビに映し出されたのは短い時間だったので改めてこちらに。確かに「WELCOME REMARKS=開会の辞」の欄に山際氏の名がある。実際にANNのニュースではこの記事が引用されている。
この情報から、大臣本人は会見でこう答えた。
「もしそういうことがHP等に載っているのであれば、今回のことと同様に、何もHPに嘘の情報を載せる必要はないでしょうから、そういうものに出席したというのは、そこに載っているのであればそうなのではないかと思います」
そうならば、そういうことなんでしょう、と。
ただしこの記事、よく見るとアップされた日付が「2020年1月15日金曜日」とある。イベントの開催時期は前述の通り2月中旬。記事を読んでいくと「来月にこういうイベントが開催され、こういう方々が来ます」という紹介だった。
つまり、厳密にいえば「参加した」という証拠ではなく、「参加予定者」のリストにあったということだ。
この証拠のみで、本人は「参加した」と認めたのだとしたら、別の資料や記憶があったか。あるいは出席は明らかなため「指摘を返すまでもない」と判断したか。
この点もまた、日本の各ニュースが指摘する大臣の「独特な言い回し」のように思う。
2010年のその時、自民党系地方議員も教団関連で訪韓していた
出席したのなら、もっとはっきりと言ってほしい。
当時の記憶を確認する術はまだある。2010年2月のこの時期、統一教会系のイベントで韓国にいた自民党系人物が複数いる。資料がなければ、聞いてみる。そういう手段もある。
当時の教団関連のイベントの記録が残っているのだ。まずは動画がある。2010年の同会議のものが、主催者側に残っている。
ここに山際氏とは別の、日本からの参席者が写っている。
山中燁子氏(96年~00年に新進党から当選、05年~09年に自民党から当選した元衆議院議員)
下記動画の1分5秒あたりから登場する。
ちなみにこの際、一行は同年にソウル市龍山にオープンしたばかりの教団関連施設「天福宮」を訪れている。そして文鮮明氏の三男文亨進(ムン・ヒョンジン)氏がここでペラペラの英語でスピーチをした…が、お忘れか。確かに後年はジム・ロジャーズ氏などを招待するこのイベント、2010年は「超目玉」と言えるようなゲストはいなかった。南米ガイアナ共和国の首相は訪れていたのだが。
もしお忘れなら、もう一つ確認の術を。
同年の同時期(2010年2月)の韓国。
この時、教団関連の別のイベントが開催されていた。そこに日本の自民党系の地方議員が参加している記録がある。
2010年2月18にソウル中心部の韓国言論財団プレスセンター国際会議場で行われた。テーマは「地方政治は住民優先・生活優先」。ここに少なくとも3人の自民党系議員が参加した点が、教団側の記録、そして韓国メディアの報道として残っている。
西村幸吉議員(当時は千葉県八千代市会議長、現同議員)
藤曲敬宏(ふじまがり・たかひろ)議員(当時は静岡県熱海市会議員、現静岡県会議員)
前野弘明氏(当時は岩国市会議員/本人が公式サイトで2010年2月に「韓国地方議員予定者に『地方力』をテーマに卓話」と言及)
ちなみに、当時日本側から話されたテーマは「日本の地方選挙での生活中心の選挙運動」だった。
セミナー時の写真がある。メディアの記事もある(聯合ニュース)。さらにUPFの韓国語版サイトには参加者全員で撮った懇談会の写真も。
同時期に自民党系の議員同士、「同じくソウルにいる」というのなら情報は巡っているものではないだろうか。「あの先生もいらしている」と。
教団側は日本政界との関係を誇りたい、という面もあるからどんどん情報を出している。だから「資料を1年ごとに捨てた」としても、当時を探るヒントは出てくるものなのだ。
(了)
【参考記事/筆者による】
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吉崎エイジーニョ 日韓比較文化論・朝鮮半島論・サッカー全般。20代より日韓両国のメディアで「日韓サッカーのニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりストレートにぶつかる日韓関係」を見てきました。もっとサッカーのことを書いているはずでしたが、人生ままならず。現在はK-POPから南北関係まで「外国語力を生かしたニュース提供」を志向。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。本名は吉崎英治。
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