Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/07e8692217600fccb28e10d13a8e4d49c7092149
7月17日、「1分1ラウンド」で最強を決める総合格闘技エンターテインメント「BreakingDown(ブレイキングダウン)」の5回目の開催となる「BreakingDown5」が開催された。 【写真22枚を見る】全試合の対戦カード、てんちむ、木下優樹菜 今回もユニークなキャラクターを持った参加者を集め、試合の動画だけでなく、オーディションの動画を公開。さらに前日の記者会見や当日の計量を配信した動画を公開する意欲的な取り組みをした。その結果、計量のリアルタイム配信には一時10万人以上の同時接続を記録するなど、大盛況のうちに大会を終えた。オンラインでの視聴数、有料視聴チケット販売数の売り上げが過去最高を更新。Twitterの日本トレンドにも入った。関連動画再生数も4回大会を大きく上回り1億回を超えたという。 さらに次回大会の「BreakingDown6」が11月3日に開催されることが発表され、同大会に挑戦する選手を8月31日まで募集中だ。また、8月16日にはBreakingDown5.5として、10人ニキこと鈴木大輔さんと、DJ社長が対戦することも発表された。 BreakingDownをプロモートする朝倉未来さんのYouTubeチャンネルの登録者数は現在266万人を超え、格闘家が運営するチャンネルでは他の追随を許さない圧倒的な人気を博している。 BreakingDownの「1分1ラウンドで最強を決める」というコンセプトも朝倉さん自身が発案したものだ。きっかけは自身のYouTubeチャンネルで実施された漫画『グラップラー刃牙』シリーズの作者・板垣恵介さんとの対談だった。 朝倉さんはBreakingDownを通じて格闘技業界を盛り上げるべく、企画の立案からSNSを用いたマーケティングなど、あらゆる面で貢献している。YouTubeでの配信から視聴者のコメントに全て目を通し、修正すべき点を修正。常に改善を繰り返して大会の質を向上させてきた。徹底的に視聴者の視点に立ち、柔軟性をもって改善を続けているからこそ、BreakingDownは回を重ねるごとに規模を拡大できているのだろう。 朝倉さんは9月の『RIZIN』では、ボクシング世界5階級制覇のフロイド・メイウェザーとの対戦が決定した。メイウェザーといえばボクシング界の生ける伝説で、2018年の大みそかに同じくRIZINの舞台で那須川天心さんと対戦し、その実力を見せつけている。 メイウェザーとの1戦を経て「朝倉未来」の名前は世界レベルとなり、その影響力をもってBreakingDownのさらなる発展に尽力するはずだ。「BreakingDown」を運営、ブランディング、プロデュースするレディオブック(東京都渋谷区)の代表取締役CEO・YUGOさんはITmedia ビジネスオンラインの取材の中で、同大会の目標を世界展開だと明かし、朝倉さんは「BreakingDownを世界一の団体にしたい」と話す。 BreakingDown5を現地観戦していた経済アナリストの森永康平さんが、朝倉さんにインタビューした。
計量動画の同時接続数が10万人
――公開計量のYouTube動画は朝倉さんのYouTubeチャンネルで公開されました。結果は同時接続数が10万人、第一試合と第二試合の公開動画は17万人を超えていました。この盛り上がりを、どう評価していますか? 試合ではなく計量動画の同時接続数が10万人を超えていました。世界の格闘技団体を見渡しても、計量でこれだけの数字を稼ぐところがどれだけあるのかなと思います。興味を持ってくれている人が、これだけいるのはスゴいことかと感じています。 運営としては、ストーリーを紡ぐために何をどう伝えていくかが大事なことだと考えています。今回は初めて前日に記者会見を開きました。その模様も僕のYouTubeチャンネルで流したところ、7万~8万人ほどの同時接続数になっていました。単発の動画で終始するのではなく、いかに興味を持続させていくかがポイントだったかと思います。 ただ、いい大会になってきたとはいえ、まだまだ修正すべき点はあります。毎大会、確実にレベルアップしていく団体にしていきたいのです。 例えばジャッジの方法があります。今回は勝者を必ず出すために、ジャッジを5人にしました。中にはドローでもよかった試合もあれば、延長戦を見たかったなと思う試合もあったと思います。
視聴者参加型の判定機能を導入
――朝倉さんとしては、「ドローはあった方が良い」という感覚なのでしょうか。人によっては、ドローは白黒つかずにいやだと思う人もいますよね。 個人的に見ていても、今大会では歯がゆい試合もありました。不良同士の喧嘩(けんか)では「ドロー」なんてありません。もっとハッキリさせてほしかったのです。 (「アウトローのカリスマ」との異名を持つ)瓜田純士さんと(施設育ちのボクサー)平石光一さんの試合や、(K-1ファイター安保瑠輝也さんの弟子)ジョリーさんと(自称日本に住む最強中国人)チョン・ツーウェイさんの試合は、不完全燃焼な感じがありました。 延長が1ラウンドあってもよかったと感じています。 ――今回から配信プラットフォーム「Breaking Down LIVE」限定の特典として、視聴者参加型の判定機能を導入しました。審査員4人に加えて、視聴者によるオーディエンス投票の結果を1枠加えることによって、視聴者の声をジャッジに取り入れたのは面白い取り組みでしたね。 これは僕たちの思い付きでやってみたことです。 ただ、試合が終わってから判定が出るまでの時間が長かったという反省点もありました。また、オーディエンスをジャッジに入れてジャッジが5人になったことによってドローがなくなってしまった部分もあります。 ここは視聴者の声を聞きながらですが、もしかすると次回は変えるかもしれないですね。 ――他にも修正すべき点を述べられていましたね。 メインカードは初代「K-1WORLD GP 2017」ファイナリストのモハン・ドラゴン選手(ネパール)と、「Mr.アウトサイダー」として知られる啓之輔選手の戦いでした。 プロ同士の戦いでしたので、試合用のオープンフィンガーグローブを使ってもいいかと思いました。この試合だけは「1分×3ラウンド」にしてもよかったかもしれません。 歯がゆい感じで終わるのはいやですし、不良同士の喧嘩で中途半端に終わるのはよくないと思います。その辺りも今後は試行錯誤していきたいと考えています。視聴者も参加者もスッキリいく試合にした方がいいのではないでしょうか。 ――朝倉さんは今大会のベストバウトとして、歌舞伎町ナンバーワンホストの咲人選手と、少林寺拳法で日本一になった経歴を持つ山川そうき選手の「イケメン対決」を挙げていましたね。 SNS上で「負けたら、坊主(ぼうず)と『負け犬タトゥー』」をかけていて面白かったですね。試合もパフォーマンスではなくて、本当に喧嘩をしていたと思います。意地と意地のぶつかり合いになっていたので、試合としても面白かった。あのような試合が増えてほしいと感じています。
PPVの売り上げが伸びない理由
――今大会から初めての試みとして女子戦も導入しました。 女子に関しては、応募の時点でBreakingDown自体がどんなものかイメージが沸かなかったと思います。だから今回は応募してくる人は少なかったかもしれません。 ただ、今回で実際に女子の試合を見せることができました。例えばですが、女子刑務所出身の人とか、レディースの人とか、そういう「ガチのアウトロー」のような女性が、応募してきてくれることを期待しています。 ――「BreakingDown」を運営、ブランディング、プロデュースするレディオブックの代表取締役CEO・YUGOさんにインタビューしたなかで、世界展開を視野に入れていると聞きました。今後のビジョンはありますか? 内容としては団体の対抗戦をやりたいと考えています。僕が一番売り出したいのは中国ですね。ビジネス的な観点から注目しています。1分の闘いはパッケージとして、どこの国でもバズると考えています。市場的に大きい国に興味を持ってもらいたいと思っています。 ――大会の振り返りのコメントでも「BreakingDownを団体として世界一にしたい」とおっしゃっていました。世界一の団体にするためのビジョンはありますか? 手応えは既に感じています。さきほど申し上げたように、計量や前日のインタビューの動画が400万、500万と再生される団体が世界にあるのか。僕は無いと思います。米国の総合格闘技団体「UFC」でさえ、そこまではいかないかもしれない。 日本だけで見ても、これだけ多くの人の興味をひけているわけです。これが世界展開したらスゴいことになるのではないでしょうか。 ――ご自身のBreakingDown参戦にも言及していましたね。 最近はプロ格闘家の方からも「BreakingDownに参戦したい」という声を聞いています。オーディションで暴れている子たちのような「エンタメ枠」も、それはそれで興味はひくし、面白いとは思っています。 一方でPPV(ペイパービュー)の売り上げが天心・武尊戦があった「Yogibo presents THE MATCH 2022」のようには伸びない現実も受けとめなければなりません。僕はその理由を「(素人同士の)試合は面白くない」と思われているからだと考えています。 メインカードや、メインまでの数試合はプロ同士のカードだけにしてもいいかもしまなせん。いずれにしろ1分間の闘いという仕組みに自信を持っています。団体戦も含めて自分でもやってみたいなと思います。 対戦相手は誰になるか分かりません。海外との団体対抗戦のときは、一番強い選手と対戦したいです。日本人とやるなら面白い試合になる人とやってみたい。こういう発言をすることによって、「朝倉とやりたい」という人が現れると思いますから、その都度考えていきたいと思います。
朝倉未来が考える「格闘技を盛り上げるために必要なこと」
――朝倉さんは選手でありながら、常に視聴者からの視線を意識していますよね。前日の会見時には「会見的に面白くない」と選手たちに対してダメ出しをするなど、一貫してプロデューサー目線で大会を見ていると感じました。今後の格闘技ビジネスを盛り上げていくために必要な要素をどう考えていますか? 視聴者との感覚のすり合わせが重要だと思っています。 僕たちはYouTubeを配信プラットフォームとして使っています。視聴者のコメントを見ながら、毎大会トライアンドエラーを重ねていき、レベルアップさせていく姿勢を大事にしています。 ――そもそも1分の闘いというBreakingDownの仕組み自体が、朝倉さんのYouTube動画で漫画『グラップラー刃牙』の板垣博之さんと対談したことがヒントになったそうですね。そういう意味では朝倉さんの発案と言えますか? そうですね。これは僕が発案しました。 ――前回大会での「計量を公開する」という施策も、朝倉さんからのアイデアだと聞きました。その結果、今大会では同時接続10万人という記録を打ち立てています。必ず結果を出すのが朝倉さんの人並外れた資質ですよね。格闘家としても、YouTuberとしても、プロデューサーとしても軒並み結果を出しています。そして、9月にはフロイド・メイウェザーさんとの対戦も決まっているわけですが、なぜ朝倉さんはここまで時代と調和できているのでしょうか? 柔軟性がある部分が良いのかなと思います。ただ、自分が特別に賢いとは思っていません。配信プラットフォームとして持っているYouTubeを通して、常にたくさんの人の声に耳を傾けているのです。 例えば僕は、自分のYouTubeチャンネルのコメントは全て読んでいます。それだけで何万人もの声を聞くことができるわけです。視聴者は、こちらから聞かなくてもわざわざ意見を教えてくれているのです。自分一人で考えるよりも何万人もの意見を聞いて、考えられる環境は恵まれていると感じています。その膨大な意見を基に、試行錯誤しています。 その上で、取捨選択のうまさはあるのかもしれないですね。
柔軟に変えていく
――もともとBreakingDownは1分1ラウンドということがコアコンセプトとしてあると思いますが、そこすらも柔軟性を持って変えていくのでしょうか? 先ほども申し上げましたが「1分3ラウンド」というのがあってもいいと思いますし、「延長は30秒」という追加ルールがあってもいいのではないでしょうか。その辺りは本当に柔軟に考えていくつもりです。 (経済アナリスト森永康平、アイティメディア今野大一)
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