Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/c20e4f5683c08a9ef73118b3fa86c5a82981ff9d
[シャルムエルシェイク(エジプト) 9日 ロイター] - エジプトで国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)が開催されているが、気候変動による具体的な影響は国ごとに異なる。 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は今年2月に発表した地球温暖化に関する報告書で、氷河の融解から海面の上昇、森林火災まで地域ごとに異なる脅威と、必要な対応について詳述した。 つまり、地域によって異なる投資や解決策が必要となる。気候変動が、各地域に及ぼす脅威についてまとめた。 ◎アジア 報告書によると、中国、インド、ネパール、パキスタンを含め、ヒマラヤ山脈やそのふもとの地域は、突然の洪水に見舞われる恐れがある。氷が解けてできた水が岩の多い山頂部に湖を形成し、岩が崩れると水が噴き出して下流地域がリスクにさらされる。 もっと南では、温暖化と豪雨により、デング熱やマラリアを運ぶ蚊が亜熱帯アジアの新たな地域にも広がると予想される。 この結果、数億人の人々が移動しそうだ。世界銀行は9月の報告書で、水不足や穀物の収穫量減少が原因で、2050年までに約2億1600万人が母国からの脱出を余儀なくされるとの見通しを示した。 ◎アフリカ 最も暑い大陸であるアフリカは、熱中症のリスクがとりわけ大きい。産業革命前に比べた地球温暖化が1.5度以上に達すれば、酷暑により死亡する人の数は10万人当たり少なくとも15人増えるとIPCCは予想している。 21世紀にアフリカの人口は他のどの地域よりも急速に増える見通しで、その多くは沿岸部に住んでいる。2060年までにアフリカで2億人以上が海面上昇の影響を被る見通しだ。 ◎中南米 アマゾンの熱帯雨林と、それが育む多様な植物と動物は、干ばつと森林火災の影響を受ける恐れが非常に強い。農業のための樹木伐採がこうした災害に拍車をかけている。 干ばつや嵐、洪水はアンデス地域の一部、ブラジル北東部、中米の一部で悪化しそうだ。このことは地政学的・経済的な不安定さと相まって、大量の移民を生み出す可能性がある。 また、蚊が媒介するジカ熱やチクングニア熱、デング熱を患う人の数も増える恐れがある。 ◎欧州 2019年夏に欧州を襲った熱波は、産業革命前と比べた地球温暖化が3度に達した場合の脅威を垣間見せた。温暖化が1.5度にとどまった場合と比べ、熱中症など暑さが原因で死亡する人の数は倍増しそうだ。 沿岸部の氾濫による損害は、イタリアの都市・ベニスが水没する程度では済まず、今世紀末までに少なくとも10倍に増える見通しとなっている。 欧州は比較的裕福な地域であるにもかかわらず、現在の気候変動適応は不十分だ。科学者は今後数十年間、欧州南部が干ばつに見舞われる時期には熱波による死亡や穀物の不作、水の配給制が続くと予想している。 ◎北米 米国とカナダの西部では大規模な森林火災が続き、自然・生物の破壊と水質・大気汚染を招くだろう。 地球温暖化が1.5度に抑えられたとしても、米国の多くの場所は激しい嵐やハリケーンに襲われるリスクが高く、海面上昇や高潮による氾濫にも見舞われそうだ。 米政府は7日に発表した第5回国家気候変動評価報告書で、こうした災害により「米国民が最も価値を置いている」安全な住居、健康な家族、公共サービス、持続的な経済が脅かされると警鐘を鳴らした。 IPCCも、こうした気候変動により世界のサプライチェーン(供給網)や国際貿易が混乱を来すと予想している。 北極圏では海氷の溶解、気温上昇、永久凍土層の溶解により、多くの種が絶滅の危機にさらされるだろう。7日に発表した報告書で科学者らは、夏の海氷は2030年までに完全に姿を消すと予想した。 ◎オーストラリア オーストラリアのサンゴ礁「グレートバリアリーフ」と藻場は、地球温暖化が1.5度を超えると適応の限界を越え、海洋熱波によって不可逆的な変化が起こる見通しだ。観光業の収入は激減するとIPCCは予想している。 オーストラリア南部と東部、ニュージーランドの一部は、異常な森林火災に見舞われるだろう。 オーストラリアの森林が乾き切ってしまうと、ユーカリなどの森林がほとんど崩壊することになるだろう。
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