Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/1d9ff2d561e841bb0ce2341c18a67450b2869b42
【列島エイリアンズ】 ここ数年、摘発が相次いでいる地下銀行。その名の響きから、おどろおどろしさを感じさせるが、手数料の安さや税務当局に捕捉されない安心感などを理由に、在日外国人の利用者は少なくない。 その1人、関東某県でスナックを経営する中国人女性の宗麗華さん(仮名、34)によると、「最近、地下銀行の数も、それを利用する人も増えている」という。 彼女は、「理由は2つある」と話す。 「まずはコロナの影響が大きい。以前は、自分や親族が日本と母国を行き来する際に現金を運ぶ人が多かったが、パンデミックのせいで自由な往来ができなくなり、地下銀行に頼る人が増えた。そして、もう1つの理由が円安。日本円で持っていると母国の通貨に対して価値がどんどん減っていくので、定期的な送金をする必要がある人は、以前よりもこまめに送金するようになり、地下銀行の出番が増えた」(宗さん) 〝銀行〟を名乗っているものの、その仕組みは単純だ。日本に所在する地下銀行として、例えば、A国にある銀行口座に1万円相当の送金依頼を請け負った場合、結果的にA国内の銀行口座に1万円相当の残高があればいい。依頼人から日本で1万円と手数料を受け取り、それに相当する金額をA国内の銀行口座から指定口座に国内送金すれば、完了だ。 ネットバンキングがなかった時代には、A国内の銀行窓口に行って振り込み手続きを行ってくれる協力者が必要だった。ところが今はスマホ1台あれば、1人でも地下銀行の運営が可能だ。 しかし、そんな怪しげな連中にカネを預けて、だまし取られることはないのだろうか。 「中国系の地下銀行はWeChatの招待制のコミュニティー内で集客をしていることが多いが、そこで評判の良いところを選べば、詐欺のようなことはめったにない。数十万円とか数百万円程度をだまし取って信用をなくすよりも、長く商売を続けた方が儲かるから」と宗さん。 地下銀行も正規の銀行同様、信用第一というわけか…。 =つづく ■1都3県に住む外国人は120万人とも言われ、東京は文字通りの多民族都市だ。ところが、多文化共生が進むロンドンやニューヨークと比べると、東京在住外国人たちはそれぞれ出身地別のコミュニティーのなかで生活していることが多い。中韓はもとより、ベトナム、ネパール、クルド系など無数の「異邦」が形成されているイメージだ。その境界をまたぎ歩き、東京に散在する異邦を垣間見ていく。境界の向こうでは、われわれもまたエイリアン(異邦人)という意味を込めて。 ■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。著書に「ルポ 新型コロナ詐欺」(扶桑社)など。
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