Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/af1fea63095c10a291199b76ef780a3c4ff7393c
32年ぶりとなる一時1ドル=150円台を付け、政府・日銀の為替介入後も続く円安基調が、鹿児島県の経済に影響を及ぼしている。新型コロナウイルスの水際対策緩和も重なり、海外からの観光客受け入れでメリットを生む。反面、燃料や輸入商品の値上がりに拍車をかけ、企業活動や生活に影を落とす。 【関連記事】総合経済対策に電気代2割抑制 「少しでも助かる」…けど将来世代の負担も不安
「今は泣き笑いの状態」と表現するのは、鹿児島サンロイヤルホテル(鹿児島市)の池田司常務総支配人(69)。円安や飼料高とさまざまな理由で肉類やビール、食用油など食品、飲料の多くが10~15%値上がりした。価格改定を迫られたが、行政の需要喚起策によるクーポン利用に支えられているという。 宿泊は全国旅行支援のスタートで90%を超える稼働が続き、円安のおかげで外国人客も増えてきた。「施策の効果が大きく、年明け以降も続けてもらいたい」 外国人の労働者にとっても円安は良しあしだ。同ホテルで働くネパール出身のシャルマ・ナワラジさん(28)は「外国人のお客さまが増えて忙しくなりそう」と張り切る。一方で母国の家族への送金は2割近く目減りし、「今は送金を控えている。元のレートに戻ってほしい」と話した。 入国制限の緩和に伴い、南薩観光(南九州市)にはアジア圏から予約や見積もり依頼が入りつつある。円安で日本行きが割安になる国・地域からの観光客増加を期待したいが、菊永正三社長(53)は「鹿児島空港の国際線が再開されないと、受け入れの恩恵を享受し切れない」と嘆く。
燃料費の高止まりは、同社のスクールバスや観光バス事業に響いている。「行政の貸し切りバス向けの補助金はありがたいが、コスト増に追いつかない。今のところ円安はマイナスの側面が大きい」とため息をつく。 イタリアやフランス産など約500種類のワインを扱う岡山酒店(鹿児島市)では、円安や輸送コストの高まりで、上昇した価格と品質が釣り合わず販売を見合わせる商品もある。「円安の影響を受けない在庫を持つ輸入業者から調達するなど、工夫と努力でしのいでいる」と、岡山宏社長(63)は前を向く。 県内で10店以上を展開する鹿児島市のスーパーでは、ウクライナ侵攻の影響もあり、全体的に価格の上昇が続く。担当者は「正月用の数の子やカニなどは今後も値上がりが見込まれ、見通しが立たない」と話す。
南日本新聞 | 鹿児島
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