Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/43afa3d3b1013b1a0f4ee3a39a51abe0a252ca2a
米国務省は10月27日、性別(ジェンダー)欄で「M(男性)」「F(女性)」ではなく、いずれの性別も選択しない「X(不特定)」と記載したパスポート(旅券)を初めて発行したことを発表した。すでにドイツやカナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどでは、男女以外の第三の選択肢を選べるようになっている。パスポートの規格を定める国際民間航空機関が「X」の記載を認定していることから、日本での実現可能性もゼロではない。(オルタナ副編集長=吉田広子) 「X(またはXジェンダー)」とは、男女に限定しない性別を意味する。 カナダでは2019年6月から、パスポートをはじめとした公的文書の性別欄で「X」を選べるようになった。オーストラリア、ニュージーランド、ドイツ、デンマーク、バングラデシュ、インド、ネパール、パキスタン、マルタなどでも、パスポートの性別欄で第三の選択肢を選べる。 パスポートの規格を定めているのは国連の専門機関である国際民間航空機関(ICAO)だ。ICAOは旅券規格「Doc9303」のなかで、性別欄の表記として「M(男性)」「F(女性)」に加え、不特定の場合は「X」と記載できることを明記している。 日本でも、こうしたパスポートの性別欄の「X」記載を求めた動きがある。 一般社団法人gid.jp日本性同一性障害と共に生きる人々の会(東京都日野市)は、性別欄再考事業を展開。2013年4月には、「必要性を検討することなく設けられている性別欄は多くの性同一性障害当事者に生きづらさをもたらす」として、岸田文雄外務大臣(当時)に要望書を提出した。 ■要望の要旨 1.旅券に記載する性別は、少なくとも身体の状態に合わせた性別表記としてください。更に、社会生活上の性別を基準とすることを検討してください。 2.パスポートの性別欄に、MとFだけでなく国際民間航空機関(ICAO)でも認められている 「X」記載を選択できるようにしてください。 同会の西野明樹代表理事は米国での「X」記載パスポートの発行を受けて、「『合理的配慮』の一環として、できれば性別欄の削除が望ましいが、性自認が身体と一致してしておらず、性別を決めらない人もいるため、日本でも『X』という選択肢が持てるようになることを期待している」と話した。 民間企業の動きとしては、履歴書からの性別欄排除がある。 ユニリーバの日本法人は2020 年度の採用活動からは、全ての採用選考の過程で、顔写真の提出や応募者への性別に関する一切の項目を排除した。ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティングのサンジェイ・サチュデヴァ社長は「個人の適性や能力に焦点を当てた採用方針を徹底するため」と説明する。 当事者団体からの要望を受けて、厚生労働省は2021年4月16日、新たな履歴書の様式例を公表した。性別欄が「男・女」のいずれかを丸で囲う選択式から、「任意」で記載する項目に変更し、性別を未記載とすることも可能になった。 今年の第204通常国会で、「性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案」(「LGBT理解増進法案」)の提出は見送られたものの、LGBTQの差別を解消する動きは日本でも徐々に広がっている。
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