Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/9df5f5b04c68fd6dea5e41d6ee005f4b4f19a36a
【グラスゴー(英北部)=板東和正】2日に終了した国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の首脳級会合では、参加国が温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を相次ぎ表明するなど、国際社会の温暖化対策は一定の前進を見せた。ただ、パリ協定の目標達成に取り組み強化が不可欠な上、各国が掲げた「野心」の実効性も焦点となる。 COPで首脳級が集まったのはパリ協定が採択された2015年のCOP21以来6年ぶり。COPでは通常、事務的協議が中心だが、議長国・英国は首脳らを集め、各国から野心的な公約を引き出そうとした。 その結果、温室効果ガスの排出量が3番目に多いインドが70年までに実質ゼロにする目標を初めて表明したほか、ネパールなども実質ゼロを掲げた。これによって実質ゼロの目標期限を表明した国は130カ国以上となった。 一方、ジョンソン英首相は2日、首脳級会合の成果に一定の評価を示しつつ、気候変動を抑制する闘いの「道のりは長い」とも語った。 パリ協定は世界の気温上昇を産業革命前から1・5度に抑えることを努力目標とし、その実現には世界全体で排出量を30年に半減させ、50年に実質ゼロにする必要がある。国際エネルギー機関(IEA)によると、そのためには30年に石炭使用を20年比で5割減らす必要がある。 だが、インドの目標は50年から20年も遅い。ジョンソン氏は中国に対し、温室効果ガスを減少に転じさせる目標期限を、30年から25年に前倒しするよう求めているとも明らかにした。多くの先進国が目指す「50年実質ゼロ」の実現も楽観視できない。一部の国は「石炭を制限する計画を目標に盛り込んでいない」(英環境専門家)とされ、具体的手段への疑問も出ている。 参加首脳らが表明した森林保護に向けた共同宣言にも、実現性を問う声が上がる。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのルイス教授は英BBC放送で、14年の国連気候サミットでは20年までの森林喪失の半減などを目指す宣言が採択されたが、「森林破壊は全く止められなかった」と強調。国際合意だけでなく、森林保護のための各国内の法整備が重要とも指摘される。 メタン排出削減に向けた米国などの枠組みには、最大の排出国・中国やロシアが参加しておらず、効果は限定的との見方もある。 会合では、バイデン米大統領やドイツのメルケル首相らが途上国支援を拡大する方針を表明したが、年間1千億ドル(約11兆円)を支出するとした20年までの目標はずれ込む可能性が高い。バングラデシュのハシナ首相は「先進国は自らの排出削減目標と資金支援の両方の公約を果たすべきだ」と訴えた。
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