2019年12月12日木曜日

最新の生理用品「月経ディスク」は快適? 使い心地を聞いてみた

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191207-00068871-gendaibiz-life
12/7(土)、ヤフーニュースより

 「月経カップ」より進化した生理用品として、2016年にアメリカで誕生した「月経ディスク」。

【写真】「こんなに大きいの?」月経ディスク、驚きのフォルム

 日本で使用している人はまだ少ないが、その数少ない使用者であるバルドゥッチ淳子さん(デリケートゾーンのお手入れブランド「トレスマリア」代表)から、使用感などについてお話を聞くことができた。

 淳子さんは、普段は月経カップを愛用しており、旅行など特別なときに、月経ディスクを使用していらっしゃるとのこと。
「第3の生理用品」月経カップ
 「月経ディスク」の話に入る前に、ナプキン、タンポンに次ぐ「第3の生理用品」として、日本でも徐々に使用者を増やしている「月経カップ」の話から始めたい。

 月経カップは、文字どおりカップ型(鈴型という表現もある)をしており、膣内に装着して経血を溜めるというしくみ。

 最長で12時間(「ローズカップ」説明書より)装着できるので、朝、装着して出かけ、夜、帰宅してから取り外し、溜まった経血をトイレに捨てればよい。

 ナプキンやタンポンは、昼間少なくとも数回は交換する必要があるため、替え時を頭の隅で意識していなければならないが、月経カップはその必要がない。

 また、経血は空気に触れることで臭いを発生するが、カップに閉じ込められた経血は臭わない。さらに、カップに溜まった経血を見ることで健康管理に役立つという意見もある。皮膚が弱く、ナプキンを使うとかぶれやかゆみが生じるという人も、カップならその心配はない。

 タンポン同様、挿入中に違和感を感じることはなく(正しく装着していればだが)、水泳や入浴も可能であるため、「制限のない生理用品」と言われている。

 値段は1つ2000円から6000円と、タンポンやナプキンに比べると高いが、繰り返し使えるので、コストパフォーマンスはよい。また、繰り返し使えるということは、ゴミが出ないということだ。月経カップ愛用者のバルドゥッチ淳子さんも、この点を特に評価している。
国産の月経カップも登場
 日本で月経カップが知られるようになったのは、せいぜいここ10年といったところだが、その歴史は意外と長く、アメリカで誕生したのは1930年代である。日本で生理用ナプキンが誕生したのが1961年なので、それより30年も早い。

 1980年に『婦人公論』に掲載された「生理用品国際比較」(渡辺圭著)という記事には、アメリカの「タサウェイ」という月経カップが、「ここ数年は『いちじくの葉以来の発明』との評判もとっている」とあるので、この頃すでにアメリカではよく知られていたことがわかる。

 日本では、インターネットの普及とともに、月経カップの存在が知られるようになったが、それ以前はごく一部の女性が、アメリカ製の「キーパー」や「ムーンカップ」、カナダ製の「ディーバカップ」といった外国製の月経カップを入手し、使用していた。

 私が『生理用品の社会史』の単行本を出版した2013年時点では、周囲に月経カップの使用者は1人もいなかったが、数年前から、「月経カップを使ってます」という女性が珍しくなくなってきた。

 そして、2017年には「日本人の体型に合わせた、使いやすい仕様」を謳う初の国産月経カップ「ローズカップ」が登場している。

 今年に入ってから、女性誌が次々と“生理特集”を組み、そのなかで月経カップを紹介していることから、今後、若い女性を中心に月経カップ人口は増えていくだろう。
閉経後も使える月経カップ
 バルドゥッチ淳子さんをはじめ、私の周辺で月経カップを使用している人たちは、みな一様に月経カップを「すばらしい」と言う。

 これほど評判のよい月経カップをなぜ私が使ったことがないかと言うと、その存在を知ったときすでに40歳近くになっており、「今から買っても、元が取れないかもしれない……」と思ったからである。

 さらに、その後しばらくして、布ナプキンのエキスパートの女性が、月経カップの実物を見せてくれたのだが、思っていたよりもサイズが大きかったので、「無理」と思ってしまったのだ。

 月経カップを見て、同様の反応をする女性は少なくない。カップの縁にあたる部分の直径は4センチもあり、タンポンのレギュラーサイズ約3本分の太さだ。

 私はあとから、「なーんだ、折りたたんで入れるのか」と知ったが、そうとは知らず、サイズだけで「食わず嫌い」をしている女性もいるかもしれない。

 ところで、私は閉経したら月経カップは必要ないと考えていたので、「元が取れない」と思ったのだが、淳子さんによれば、「いつ生理がくるかわからない更年期こそ、カップが便利なんですよ。カップは、ライナーの代わりにもなります」とのこと。

 下着が汚れるという理由で、1年中ライナーをつけている女性もいるが、月経カップにすれば頻繁にライナーを購入する必要はない。また、いつもカップをつけていれば、突然生理が始まっても慌てなくて済む。
月経カップよりも快適な月経ディスク
 本題の「月経ディスク」の話に入ろう。そのフォルムはいたってシンプル。ゴム製のリングに、経血を溜めるフィルムがついている。月経カップと同様、最長12時間の装着が可能で、使用後は捨てる。

 日本では販売しておらず、淳子さんは「フレックス(Flex)」という月経ディスクをアメリカのアマゾン(amazon.com)で購入している。12個入りで、3000円前後(送料込み)とのこと。

 実物を淳子さんからいただいたのだが、「こんなに大きいの?」という驚きは、初めて月経カップを見たとき以上だった。リングの直径は7.5センチもあるのだ。しかし心配は無用だった。

 リング部分はやわらかく、これを細長く押しつぶしながら縦に挿入するので、実質、タンポンを挿入するのと大差ないとのこと。

 「カップも不快ではありませんが、何となく存在感があります。ディスクは素材が軽く柔らかいため、使っていることを忘れてしまうほど快適です。ちょうど、カップは眼鏡、ディスクはコンタクトレンズといったところです」

 このように、淳子さんは快適さはディスクの方が勝るとしながらも、エコと倹約の観点から普段はカップを愛用している。

 「月経ディスクは、言わば使い捨ての月経カップです。カップは生理が終わったあと、煮沸消毒する必要があるので、旅行のときなどは、使い捨てができるディスクを持っていきます」

 淳子さんは状況に応じて、カップとディスクを使い分けているのだ。

 煮沸消毒が必要ない分、ディスクはカップ以上に「制限のない生理用品」と言えるかもしれない。
生理用品はこの先どう変化していくか
 では、月経ディスクも今後、月経カップのように日本で普及していくのだろうか。

 快適さ、便利さいう点でディスクは優れているが、如何せん、値段が高い。月経カップと同様、最長で12時間装着できるものの、12個で3000円前後となると1個250円である。

 今後、値段が安くなったとしても、ディスクが普及する頃には、もはや日本の女性たちは医学的に生理をコントロールしており、生理用品自体が必要なくなっているかもしれない。

 先進国では、女性の生理を取り巻く環境は、刻一刻と変化している。一方で、インドやネパール、アフリカには、いまだ根強い月経不浄視のもと、生理中は小屋や穴蔵に隔離されている女性が大勢いる。隔離を解かれたところで、適切な生理用品がないため、身の置き場がない。不衛生なボロ布で処置し、病気になる女性もいる。

 生理用品には、その社会の月経観や女性観はもちろんのこと、政治や経済も反映される。生理用品は、社会を計る指標と言えるのだ。
田中 ひかる

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